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2016年 10月 9日開催 『 自由練習会 』 参加者 各位



自由練習会だからこそ、得られた事 !

自習練習イベント 『 自由練習会 』を振り返り、このイベントの感想と今後の方向性、
そして参加された方々へのアドバイスなどを書きます。参考になれば幸いです。


【 充実の練習会でした 】

GRAの『自由練習会 』は、別な言い方をすれば「自習練習会」です。
参加する一人ひとりが、練習したい事ややりたい事があるけど、他ではできないそれらの事を、専用の会場をシェアして目的を達成する場所であり一日です。

それは、図書館での自習の様に、それぞれの目的意識の高さによって、本人だけでなく周りの人に良い影響も悪い影響も与えてしまうものですが。今回の 10月9日の自由練習会は、ようやく求めていた本来の自由練習会に出会ったと感じています。

一人ひとりが抱えている課題や問題をとことん追い求めてこそ、本当の練習であり、本来の学習になるものです。

 

【 今後の自由練習会は・・ 】

そんな人々があつまる自由練習会(自習練習会)は、間違いなく最も上達や学習の最善の機会の一つです。

だから、今後も『自由練習会』は継続開催していきます。
また、講習イベント・『GRA講習』であっても、やりたい事や知りたい事を“わがまま”
(要望)出しを求めているので、そんな課題や意欲を持つ人々の良い機会になるでしょう。

願わくは、全国のより多くの人に“やりたい事”“知りたい事”をとことん追求する大切さを知ってもらう事であり、GRAの開催イベントに初めて参加する人にもそんな目標意識や意欲を持つ大切さを知ってもらう事です。

NPO法人 GRA  小林 裕之




  アドバイスを届けます !aa
当日参加された方へ、アドバイスを致しますので、
参考にしてもらえると幸いです。
大阪府  SR400 の Nさん 】
知的好奇心の強さにモノ作りへの強い探究心が加わり、車両が本来持つ特性を正確に再現した後で、自身で信じている良き操縦特性の実現の為に、いつも熱心に取り組んでいる姿には関心させられています。

今は、フロントサスペンションの操縦特性改善のためのセットアップに苦労されている最中だと思いますが、参加の度に徐々にノイズ成分が消え、核心部分に近づいている様子ですね。
そこからは、17インチタイヤと較べて方向安定成分の大きな 18インチの前輪を、現状のステム特性(特にオフセット量=トレール量)に合わせる為、スプリングと油面調整によるに走行時車高(1G'から残ストロークまで)の調整に苦労されている様に見えます。

今回の「通信ボ」では、10月9日の走行風景の中で、その問題となっている特性が現れた画像を届けますので、参考にしてください。


連続画像をチェックする事で、オートバイの特性や抱えている課題などを的確に判断する事ができます

右から左へ切り替えした後で 70度コーナーへ進入する場面です。
右から 2枚目までは特に問題はありませんが、3枚目の場面に課題が見えます。
ここは切り替えし直後の段階で、フロントサスペンションへの荷重も一気に高まる時点ですが、それに伴うストローク変化(縮み)は少なく、同様にフロントタイヤの進行方向変化量(&レスポンス)も少ないのです。

オートバイのフロントフォークのストローク量とフロントタイヤの向きを観察すれば、そのオートバイの運動特性やライダーの特性を判断する事ができます
ライディング技量の高さを知っている私から見れば、ライダーの技量によるものではなく、明らかにオートバイ側の問題点(課題)が露呈している画像だと思います。
その結果として、4枚目、5枚目へと操縦性(曲がる特性)に欠ける車両状態が続く事に繋がっています。

・ ・ ・ < 参考に、同じ地点での他の人の画像を掲載>
オートバイのフロントフォークとフロントタイヤを観察すれば、こちらの場合の方が適切な動きを表しています。
これを解決する為の一つの提案があります。
それは、スプリングと油面高さ(フォークオイル)についてですが、二次レートへと変換するポイントがより低い(大きくストロークしてから変換する)スプリングへの変更と、油面を10mm以上低下させて フォーク内のエアスプリングの影響領域を下げ(大きくストロークした時点へ)、フロントのストローク変化を大きくさせてトレール量変化も大きくして、18インチタイヤの方向安定性を一気に少なくするコントロール方法を検討してはどうでしょうか。

参考になれば良いのですが ・・・。



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神戸市  ゼファー750 の Tさん 】

今回が、先月の『GRA講習』に続き、2回目の参加でしたね。
免許を取得してから 2年目ですから当然ですが、前回の様な練習方法やタイムトライアルには大変に驚かれたと思いますし、十分に自信の能力を発揮する場面も少なかったと思います。

その前回と較べると、今回のライディングはまるで別人? と思える程に違いましたね。
そのスムーズさ、バンク角、そしてスピード域ともに 2レベルアップして、練習走行の時なんかはとても楽しそうに走れているのが印象的でした。
そんな姿を見る事ができて、うれしい限りです。

ただ、これからも上達する楽しさを続けるために、二つの事をアドバイスさせて下さい。
一つは 「タイヤとライディング」で、二つ目は 「 弘法は筆を選ぶ 」についてです。

【 タイヤとライディング 】
今回、ライディングが大きく変わった一番の要因はタイヤである事を理解してください。
前回参加時は、製造後 10年近く経過した 標準タイヤでしたから、十分なグリップ力を期待できないだけでなく操縦安定性も本来の性能ではありませんでした。
そして今回参加時には、ハイグリップ系の新品ラジアルタイヤだったので、オートバイの印象は何から何まで一気に変わり、以前より自信を持ってバンク角を増やし、アクセルも大きく開けられたと思います。
オートバイの基本練習パターン、“O” の字のセクションを繰り返し練習している様子です
ただ、拝見した限りでは、タイヤのグリップに甘えている状態で、タイヤをグリップさせているライディングではないので、そのままバンク角やアクセル開度を増していくのは危険ですから、自重する事を勧めます。

【 弘法は筆を選ぶ 】
これは 10月9日にも伝えた事ですが、正しく認識してもらう為に再度伝えます。
「弘法は筆を選ばず」という言葉がありますが、誤った認識がされている言葉だと思います。
書の達人と言われる人であれば、まるでモノに意識があるかのように、人の気持ちに寄り沿って微細で大胆な表現が可能な優れた筆を使って多くの書の練習をこなしているものです。
くたびれて意のままに書けない筆では、いくら練習しても上達が難しいもので、これはオートバイの場合でも同じだと私は考えています。

調律が整ったオートバイはライダーと細やかな会話をしてくれるので、ライダーはオートバイの事を正しく理解して、そのライディングスキルは正しく上達するものです。
現状では、オートバイは頑固で口数は少ない状態であり、そのままでは 腕や上体で乗りこなす危うい技術が身に付く事を危惧しています。

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神戸市  VFR400 の Kさん 】

今回で 参加3回目でしたが、 今回が一番 レベルアップしましたね。
それは、以前の様にオートバイを振り回して乗るのではなく、オートバイとの会話の密度を高め様と努力をされた結果だと思います。
外から見ていてもオートバイの動きがとてもスムーズになり、今まで以上に車両の能力が活き活き発揮していましたね。

特に良かったのは、オートバイライディングの基本、定常円(サークル)走行です。
アクセルとバンク角を一定に保ち、ノーブレーキで走るだけという単純な基本練習で、オートバイを邪魔せずに走らせると半径が一定の軌跡(円)を描けるので、正しく乗れたかどうかを直ぐに判断出来るのですが、恐らく 1時間以上連続して行なった甲斐はありましたね。
オートバイとの会話方法を確実に身に着けてきました。

ただ、実際のコース走行、特にタイムトライアルではその経験が活かせなかった様ですね。
それに関して、一つだけアドバイスさせて下さい。
それはフロントフォークの“現状確認”と“整備”の勧めです。

では、タイムトライアルで活かせなかった原因とアドバイスの理由を説明しますので、下の当日の画像を見てください。
オートバイの基本練習で最も効果的なのは、ノーブレーキでの定常円旋回の練習です。 バンク角一定で、アクセルも一定ならば、オートバイは本来自動的に定常円を描くもので、ライダーがそれを邪魔する場合だけ定常円にならないからです。
これは、ノーブレーキで複数の定常円(サークル)を繋いで走る練習風景だと思いますが、とても綺麗に旋回状態を保っています。
特に、フロントタイヤの向きフロントフォークのストローク量を見れば、フロントタイヤが方向安定性を失う限界付近手前の理想状態を使えている事が判ります。

ただ、別な見方をすれば、ノーブレーキ走行で方向安定性を失う手前の「安定限界トレール量」までフロントフォークがストロークしている訳ですから、ブレーキ、特にフロントブレーキを使ったコース走行では簡単に「安定限界トレール量」以下のトレール量になってしまい、トレール量が足りないフロントタイヤは方向安定性を失い、思っていた以上に勝手に切れ込んでしまい、結果としてバンクがし難い状態になった事が推測できます。

では、今後のアドバイスについて説明をします。

【フロントフォークの現状確認】
一つ目は現状の確認で、2種類のフロント車高を測定して記録しておく事を勧めます。
車高はフロントの三つ下面からボトムチューブ上面・ダストシールまで距離で、前後左右共に水平面(路面)でオートバイにまたがった状態(足を付かず走行状態と同じ)での“ 1G‘時車高 ”と、ブレーキングでフルストロークさせた時の“ 残ストローク量 ”(フルストローク時車高)です。

車高を計測するにはタイラップ等をインナーチューブに巻き、それで瞬間的なストローク位置を残し、ノギスで正確に測定する事を勧めます。

【フロントフォークの整備】
二つ目は、フロントフォークが前回交換時から 5000 q以上経過しているならば、フォークオイルの交換を検討される事を勧めます。
適切なストローク量のコントロールを行なって、「安定限界トレール量」を超えない設定(セッティング)の変更は簡単にできます。が、単にトレール量の設定だけを求める以前に、先ずは フロントフォークをより適切な状態にする事がとても大切な事だからです。

なお、フロントの2種類の車高の測定は、仮にフロントフォークオイル交換を行なった場合には、交換後にも再度 同様に計測して記録を残す事を強く勧めます。

どうぞ、一度検討してみてください。



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  オートバイについて、思うままエッセイ
ギターの調律とオートバイと




私には、オートバイメーカーから販売店、専門雑誌などを含めた、オートバイ業界に対して信じられない事があります。
それは、メーカーはオートバイを売る事ばかりに血眼(ちまなこ)になり、雑誌社もメーカーの販売戦略を受け売りで伝えて広告を得て、最も身近な販売店も日頃の整備の大切さや危険性を説かず売上だけを気にしているからです。



【 ギターとオートバイ 】

ギターを触った経験のある人であれば知っている、
または気づいていると思います。
ギターは、生ギターからエレキギターに至るまで、
弾く前には必ず 6本(ベースは 4〜5本)の弦を正しい音程へと調律するのが当たり前です。

それは、複数の人数のバンドでは必須の事ですし、
一人で簡単な曲を奏でる時でさえ調律は当たり前の
作業であり、それを行わないと正しい演奏が出来ない事は誰もが知っている事です。
そして、調律の際には正しい音程に合わせる為に、
以前なら音叉を、今では専用チューナー(指定した
音程になる様にランプやメーターがガイド)を使う
のが一般的です。

では、一般的にはギターより高価なオートバイの場合はどうでしょう。
オートバイもギター同様に、売られている状態は作られた状態そのものであり、実際に使用する際には一つ一つの要素を正しく調律する事が大切なのに、タイヤの空気圧や摩耗サインの確認、ドライブチェーンの伸びの確認程度の認識しかない様に思えます。

メーカーから販売店、そしてライダーに至るまで、それに対して大きな疑問を持つべきです。
何故なら、ギターは調律せずに弾いても誰にも迷惑はかけないが、オートバイの場合は違います。ライダー(奏者)が正しいライディング(演奏)技術を得られないだけではなく、時には事故を招いてしまう可能性が高くなるし、他者の人生に大きな損害を与える可能性をオートバイは持っているからです。


【 調律とメトロノーム 】
オートバイの調律の事は、一般的には「整備」と「セッティング」だと言えます。
ギター以上に構成部品も可動部品も多いオートバイの場合には、ギターと較べると調律作業の難易度も高くなりますが、無視をせずに真剣に取り組む事がライダー(車両所有者)の社会的責任です。

ただ、調律(整備&セッティング)の話はスペースを十分に確保して別の機会に行ないますので、ここでは上達のガイド役となる“メトロノーム” についての話をします。

ギターの場合は、調律に続いて演奏の上達に必要なのが“メトロノーム”(今では、チューナーが電子音で刻む)です。
では、オートバイのライディング(演奏)の上達に欠かせない“メトロノーム”の役目を果たすものは、私は“ストップウォッチ”だと自信を持って言えます。

練習する課題(セクション /曲)をストップウォッチで測定する事で、正しい演奏が出来ているかどうかを判定する事が出来るのです。
速いタイムを残す事が最善ではありません。常に安定したタイムを刻む事が安定した技量を示すのです。

基本練習の“ O ”字ターンや、4本パイロン4角セクションでの測定は、練習の大切な“コーチ役”となってくれますし、様々なセクションを組み合わせたコースでの測定(タイムトライアル)では更に大きな助けとなってくれるのです。

オートバイをいつまでの安全に、楽しく乗り続けたいと考えるライダーであれば、「調律」と「メトロノーム」の事は、きっと参考にしてくれるでしょう。
では、続きはまたの機会に。


 
オートバイとライダーの会話からライディングは成り立っています
こうして、同じセクションを走るオートバイの姿を見れば、ライダーとオートバイの会話が微かに聞こえてくるものです
でもオートバイとライダーは、人と人との会話と同様に、それぞれに色々な形があってよいのです。 ただ、会話が成り立っていない走りはとても残念なものです。


このイベントの関連資料  
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