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2016年 11月 13日開催 『 GRA講習 』 参加者 各位
GRA講習は、深い !?
講習イベント 『 GRA講習 』を振り返り、このイベントの感想と今後の方向性、そして参加された方々へのアドバイスなどを書きますので、どうぞ参考にしてください。

【 オートバイとの会話を深める大切さ 】

人との会話と同じように、オートバイとの会話をする事は大切です。
いや、会話を誤り誤解したままでは、自身だけでなく他人の生命や人生に影響を与える恐れがあるので、オートバイとの会話の大切さはそれ以上だとも言えます。

ただ、運転免許を取得する時から“会話”をする事よりも“操作”をする事を教えられ、オートバイ本来の運動特性は雑誌からの知識として持っているだけのライダーが殆どだと思います。

『 GRA講習 』は、オートバイの構造やメカニズム、基本特性を、講義と実際の課題走行とで体得し、実際の走行に応用する正しい知識と能力を身に着けられる講習イベントです。
どうぞ、このイベントに参加した人だけでなく、この記事を読んでいる方も一緒に、『GRA講習』で伝えようとしている事を、知識としてではなく実際にオートバイを走らせての会話の中で身につけて欲しいと願っています。

そして、オートバイとの会話は何度も何度も丁寧に繰り返す事が大切です。
何度も繰り返す事で、誤解が減り、もっと大切な事をオートバイと共有できて、いつまでも楽しいオートバイライフの実現に役立つと確信しています。

では、今回の『GRA講習』のメインカリキュラムである 180度ターン (サークル理論の応用)を先ずは振り返ってみましょう。


【 180度ターン : サークル理論の応用 】

180度ターン(サークル理論の応用)は、オートバイの基本的な運動特性を正しく理解するのに最適なカリキュラムになります。
それは、オートバイはバンクさせている限り常にその走行ラインは円弧となり、一定のバンク角で一定速度で走れば円(定常円)を描きますが、殆どのライダーはそれを知らず、知っていてもオートバイ任せにブレーキ操作無しで円(定常円)の走行ラインを描く事は苦手です。

しかし、オートバイの立場から言えば、バンクして減速時にはクロソイド的ラインを描き、一定速度になれば円(定常円)を、そして加速時にもクロソイド的ラインを描く事は最も自然な法則ですから、ライダーがそれを理解せず利用せず、思い込みでオートバイを操作すればオートバイ本来の動きを妨げるだけでなく、タイヤ接地面のグリップ低下や転倒を招く結果となります。

180度ターン(サークル理論の応用)は、別途【 イベントリポート 】でも説明されていますので、ここでは割愛として、別項で「 サークル理論の走行セクションへの応用 」を解説しますので、興味のある方はご覧ください。


NPO法人 GRA  小林 裕之
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アドバイスを届けます 当日参加された方へ、アドバイスを致します
それ以外の方々にも参考にしてもらえると幸いです


【 大阪府  SR400 の N さん 】へ

まず初めに、参加の度に、ライディングやセッティングなどを通じて積極的にオートバイとの会話を深めていく姿勢に対して、感心すると同時に感謝しています。なぜなら、様々なやり方でオートバイとの会話を行なって理解を深める事はGRA講習の目標だからです。

そして、今回はその会話以外に参加姿勢についても配慮して、感想文では反省点を挙げてくれた事に重ねて感謝を伝えます。どうぞ、これからも、GRA講習を通じてオートバイとの良い関係を協力して広めていきましょう。

さて、今回もフロントフォークのセッティング出しで模索が続く日となった様ですね。 当日、現場で交換したフォークスプリングでの経験値を利用して、次回は更に半歩先へと進められることを願い、今回の走行状態を見て一番気になった点を伝えます。

それは、中程度荷重時のフロントフォークのストローク量が少ない点です。
その弊害が一番出やすいのは“切り替えし”の時で、その場面の画像を見てください。


この場面は、左のバンクから右へと切り替えしを行なっているところですが、フロントフォークの縮み量が少な目に見えてしまうのです。 そのため、トレール量が十分に小さくならず、フロントタイヤの方向安定性が高く出て、フロントの向き変えに苦労している状態に思えます。

では、別の“切り替えし”場面も見て下さい。


この場面は、更に速度が高く、右のバンクから左へと切り替えす箇所です。
この時の練習目標でこうなったのかも知れませんが、もしこの場面で車両に“違和感”を感じていたとすれば、スプリングへのプリロード か フォークオイルの油面レベル の調整をして、この場面であれば 10〜20mm程度 ストローク(縮み側)させる方向へのセッティングを提案します。
参考までに、別の参加者の方で、同じ場面でのフロントフォークの状態を紹介します。
きっと一つの参考になると思います。

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【 神戸市  ゼファー750 の T さん 】へ

免許を取得してまだ一年程度で、GRA講習には 2回目の参加となりましたね。
それにしても、何よりも驚かされるのは、初回の参加時と較べて、各段にオートバイが活き活きと走らせられている姿になっている事です。
傍目から見ても明らかに大きな変化ですから、きっとご自身のライディングに対する意識や感覚は大きく変化している事でしょう。大変に羨ましい限りです ♪

ただ、前回の指摘と同様に、タイヤの単純なグリップに依存した走りが顔を出していますので、改めてその点を伝えます。



上の画像は、ノーブレーキで基本サークル(定常円)を描く練習時のものですが、スピードとバンク角に頼った走りで、オートバイが自ら曲がろうとする力を十分に引き出せておらず、この回転半径とこのスピードの時だけに可能な危ういバランスでの走りです。


この走り方でこの基本サークルしか描けないままでは、路面コンディションが雨や砂で不安定な時や、スピードとバンク角のバランスを間違えた時には転倒などに繋がりやすいので、この事は十分に覚えておいてください。

ちなみに、同日に参加されていた Hさんは、とても上手に鮮やかな基本サークルを描けていましたので、下記に掲載している Hさんの 「連続画像」も参考にしてはどうでしょうか。

とは言え、今回のGRA講習での後半の練習の時ですが、よりオートバイが自ら曲がろうとする力を引き出して、回転半径が小さい基本サークルを描けていましたので、その時の走り方をタイムトライアル時にも出せるまでスキルアップされる事を勧めます。

最後になりますが、一つ考えてみて欲しいことがあります。
今は、オートバイを走らせることが大変に楽しい時期だと思いますが、この楽しみがいつまでも続くために、GRAがするべき事は何だとおもいますか? そして、あなた自身がやれる事は何でしょうか? 是非、考えて、機会があれば提案や実行してください。

“ いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフ環境の創造”と “ そのオートバイライフ環境を創る人の育成 ”が、NPO法人GRA の 最大の活動目標ですし、これからもこの目標に沿った活動を続けていきますので、理解と協力をお願いします。
 

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【 神戸市  250TR の H さん 】へ

最初に、「感想文」の中で、“公道での安全運転意識”について意見を寄せて下さった事に感謝を申し上げます。そのような考えを持ちそれを発言する行為は、NPO法人GRAの活動で掲げている目標ですから、どうぞこれからもお寄せください。お待ちしています。

では、当日のライディングに関しての指摘・アドバイスに移ります。
今年に入ってからの参加は 2回目で、GRA講習への参加は初めてでしたから、「サークル理論」とその実践は初めてだった筈で、どの程度理解してもらえるのか少し不安はありましたが、それは全くの杞憂でした。


上の画像は、後半の自由練習時のものですが、オートバイ自身がターン(曲がる)しようとする動きを上手に引き出しているのは明らかで、特に最後の画像を見ればフロントフォークがターン荷重によって“よれて”いるのは明らかで、ターン荷重をしっかりと効かせた良いライディングの見本と言えます。

ここまでしっかりとしたライディング技術のある方ですから、次のステップは 走行セクションによって最適な大きさの“基本サークル”と、その“基本サークル”を設置する箇所を事前に想定する能力を身に着ける事をお勧めします。
“基本サークル”を想定した後は、その“基本サークル”への進入ライン(クロソイド的ライン)を 覚えてはどうでしょうか。

その理由は、“基本サークル”が決定すれば、その理想的な進入ラインも一つしかないからです。 「感想文」の中で、タイムトライアル時にハンドルに力が入るとありましたが、それは “基本サークル”の想定が欠けていたか、進入するポイントが間違っていたからだと思われるのです。

さて、ライディングから話題を変え、車両に話題を移します。
下の画像をご覧ください。


直線スラロームの練習時の画像ですが、右ターン時と左ターン時の違いは分かりますか。
きっと、「肩の傾き」や「腕の力の入り具合」の違い、そして「視線」の高さにも違いが出ているように思います。
これと同じ現象は、“基本サークル”練習で 360度ターンの走行時に左右のターンでオートバイの挙動の差に表れていました。

きっと、ご自身は「右の小ターンは得意だけど、左がちょっと上手くできない」と感じていたと思いますが、これはライダーの責任ではなく、8割以上の確率でオートバイの責任だと言えます。

右ターン時にはハンドルの舵角がついてバンク角は浅く、左ターン時にはハンドルの舵角は少なくバンク角が深めに出ている事から、恐らくフロントフォークの整列が出ていないために起きている現象だと思われます。
歪んでいる方向は、ハンドルを直進方向にした時、フロントタイヤが 1〜2 度ほど左側を向いていると思います。そのため、フロントフォークがストローク(縮む)した時に、ストロークに合わせてフロントタイヤ(前輪)は右側へと向きを変え、それによって左右の挙動差が出て、ライディングにも影響を与えていると思います。

きっと、一般道の中速度以上のコーナーでは、左旋回は楽しくて右旋回は落ち着きが無いように感じられる時もあるでしょうが、この程度のフロントフォークの不整列はよく見られる事ですから安心してください。
【 妖怪棒 】は手配済みと聞いていますので、是非、一度チェックをお勧めます。
そして、調整時には車両は直立状態で行ない、ステムブラケットのフォーク固定ボルトは一旦取り外してクリーニングを行ない、整列処理後は指定トルクでの締め付けをお勧めします。

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オートバイについて、思うままエッセイ  
サークル理論の原理と応用

私たちを取り巻く世界では、ほぼ全て物の運動(移動や静止、落下など)には運動(物理)法則が働いており、オートバイもこの物理法則に従った動きをします。
時として、ライダー達は「勇気」とか「気合」で乗りこなそうとしたり、逆に「心配」や「恐怖」によってオートバイの動きを抑え過ぎたりしますが、これらはどちらも“法則知らず”という点では共通しているとも言えます

今回は、オートバイにとって大切な運動法則:【 サークル理論 】を説明します。

 

【 サークル理論と180度ターン 】

この原理は、「イベントリポート」で解説している通り、オートバイの走行ラインは常に円弧を描いており、その円弧の半径は速度とバンク角によってほぼ決まるという事です。
そして、バンクしたまま減速を行なっている場合には 円弧の半径が徐々に小さくなる曲線 = 「クロソイド的ライン」の走行ラインを描き、同様にバンクしたまま加速を行なう場合にも 円弧の半径が徐々に大きくなる曲線 = 「クロソイド的ライン」を描きます。

では、このサークル理論を180度ターンの場合で示すと下図の通りとなります。

上図の「基本サークル」とは、ターン中の減速によって最も低くなった速度を保った場合に、オートバイが自然に描く走行ラインです。(運動法則により、一定の速度、一定のバンク角では一定の円を描きます)
別な言い方をすれば、想定する最低旋回速度が高い場合には「基本サークル」の半径を大きくする必要があり、逆に速度が低い場合には半径を小さく想定する事になります。

また、「クロソイド的ライン」とは、一定のバンク角(またはバンク角変化)と一定の減速度を保った時に描かれる走行ラインです。
別な言い方をすれば、一定のバンク角と減速を行なう限り、そのラインはターン進入開始した地点とその時の速度によって決まり、進入してからライン変更を試みる事は運動法則に抵抗する危険な行為とも言えます。

最後に、上図では「基本サークル」と「クロソイド的ライン」が短い区間しか接しておらず、基本サークル上をもっと長く走るようなラインになっていない事の説明をします。

これは、オートバイが最も安定して効率の高い走行ラインだからです。

オートバイはタイヤと路面との間に働くグリップ力(摩擦力)に依存していて、このグリップ力が大きい程に安定性や安全性が高くなる事は理解してもらえると思いますが、このグリップ力は減速度(減速する強さ/円弧半径にも関係)や加速度(加速する強さ)が高い程に高まります。逆に、減速も加速も行わない「基本サークル」(定常円)の上ではグリップ力は多くは期待できません。
だから、グリップ力を有効に活かして、安定した安全な走行を想定する場合には、上図のようなラインになります。

(基本サークル上をノーブレーキで走る練習は、サークル理論の確認と実践、グリップ力やブレーキに頼り過ぎないライディング練習に最適ですが、この件は別の機会に述べます)

 

【 サークル理論の応用】

上図は 180度ターンの場合での 「サークル理論」の応用ですが、実際の公道走行でも場面に応じて様々な大きさの「基本サークル」を想定して、それに合わせた「クロソイド的ライン」にオートバイを載せることによって、安定性や安全性の高いライディングに近づける事ができます。

ここでは、今回の GRA講習 で制作した「タイムトライアルコース図
を使って説明します。

スタート直後、2本のパイロンで作られたセクション だけを抜き出すと
右図のようになり、この時、スタート位置から最初のパイロン(〇印)
までの距離は 約 18mほどですから、最初のパイロンでの 左旋回(基本
サークル)は中程度の大きさで、次のパイロン左旋回も同程度、そして
次の左旋回は 曲がり角も少ないので基本サークルも大きめに想定でき
ます。

右図のセクションを、ターン別に、「基本サークル」とクロソイド的
ラインを書き入れると下の図のようになります。



ターンに合わせて、「基本サークル」を 3個配置するのが一般的で、その大きさは 想定する最低速度に合わせて、位置はターンをする角度に合わせて設定します。

普段は、オートバイの特性を深く理解しないまま、右へのターン、左へのターンを行なう事も多いと思いますが、この「基本サークル」というオートバイの自然な運動法則に沿った考え方をすれば、もっとストレスの少ない、安定した安全なライディングになるでしょう。

さて、初めて走る道路やコースで、上図のように「基本サークル」と「クロドイド的ライン」が見えるようになれば十分に上級レベルですが、下図の通り、更に別の案も提示します。
興味のある方は、是非、その目的や狙い、走行ラインなどを想像してみてはどうでしょうか。

では、また次の機会に。






このイベントの関連資料  
参加者の感想文
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