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Common sense and insane

セッティングとは、オートバイをライダーの体格やライディング技術、用途に合わせてバランス調整を行なう事。数多くある調整箇所ごとにバランス調整をせず、数カ所の調整だけで ベストセッティング とは、セッティングを知らぬ人の言葉だ。

The setting is to balance the motorcycle according to the rider's physique, riding technology, and application. There are a lot of adjustable points on the motorcycle, so if you say it's a best setting just for a few adjustments, it's a proof that you don't know the real setting.

  ABC of the Setting


ここで言う「セッティング」とは、もちろん(?)舞台作りや会談の段取りの事ではありません。オートバイ(車両)の各部を調整して、乗り味や切れ味(?)を変更する作業の事です。比較的、簡単に行なえる作業が多い反面、意外にもその理論を正確に語れる人は少ないものです。
この記事が、あなたとオートバイとの関係を、深める事に繋がる事を願います。

GRA、 セッティングの イロハ 画像1




『 セッティングの迷路世界 』 Setting resembles a maze

オートバイは四輪車とは違い、簡単にセッティング作業ができる箇所が数多くあるので、セッティングを少し施すだけで、乗り味や安定感、操縦性に大きな変化が現われるのが特徴です。

だから、オートバイに乗る事を愛するライダーには関心の高い世界でしょう。
しかし、セッティング理論を教える講習会は殆ど無く、あるのは調整箇所の調整方法だけが簡単に書かれた書籍などがあるだけ。
それだけでセッティングを正しく行なえるのだろうか ?

いや、調整方法を知っているだけではセッティング作業はできません。
なぜなら、セッティング作業で一番大切な事は “ バランス ” を取る事だからです。
調整を行なって乗り味が変化したとしても、車両のバランスを取る調整になっていなければ、オートバイの走行性能の限界が低くなる事に繋がり危険になるだけです。

この“バランス”とは、オートバイとライダーとのバランスであり、オートバイをバンク(傾斜)させた時に、ハンドル(フロントタイヤ)が自動的に切れ込むタイミングと角度のバランスであったり、アクセルを開けて加速する時のタイヤと路面とのバランスなどで、それら様々な “ バランス ” をきちんと取る事が「 セッティング 」で一番大切な事です。

ただ、残念な事に、“ バランス ”を取る事の大切さは伝えられず、セッティング作業に欠かせない “ バランス感 ”を体得する機会が極めて少ないため、ほとんどのライダーはセッティングの世界で迷い続けているのが現状です。

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『 セッティングデータ、他人の真似して OK? 』
              
Can other piople's data be diverted?

雑誌 や Webサイトの記事で、「 ○○○車のセッティングはこうだ! 」などときめ細かく「 セッティングデータ 」が書いてあるのをよく目にする。時には、“ 市街地走行用 ”“ 高速道路用 ”“ 峠道用 ”などと懇切丁寧にデータが書いてあったりするが、それらをそのまま真似て良いのだろうか?

そのまま真似て良い筈はない。

なぜなら、新車状態の同じオートバイでも、一台一台で個体差があるから、例え同じ型式のオートバイであっても、必要なセッティングの調整が違ってくる。
その上、ライダーが違うから体重や体格も違うので、オートバイとライダーとのバランスを取るのがセッティングなので、適切なセッティング値は異なるのが当然だ。

さらに、同一車両でも、走行距離を重ねると車両のコンディションは変化するから、セッティングで必要な調整量は変化するのは当然だ。まして、タイヤの銘柄を異なれば、それだけでオートバイの動き・挙動が大きく変化するから、必要なセッティングは タイヤ銘柄や摩耗量、タイヤが製造されてから日数によって変わるのが普通です。

だから、データ記事を書いたライダーがあなたとは異なるバランス感を持っている事を抜きにしても、その記事を書いた車両が履いていたタイヤ銘柄、摩耗度、温間時(温まっている状態)のエア圧、そしてライダーの体重など、重要なデータを一切書かずに、ダンパー調整値やプリロード量などが書かれた記事を真似ても良い筈はないし、適切なセッティングは得られないと納得する必要があります。

また、逆に、そういう考慮が足りない記事が掛かれた雑誌やWebサイトについては、「感想文」として読むか、不正確な情報でお金を稼ぐライターの記事と理解するべきです。

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『 セッティングの イ・ロ・ハ 』 ABC of the Setting

NPO法人GRAは、1995年に『 セッティング講座 』を全国に先駆けて始めました。

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それから毎年の様に、セッティング講習をあらゆる機会に設けるなど、積極的に取り組んできて、セッティングのノウハウや知識、経験を数多く蓄えているので、それらを体系的に伝える実践的な能力も備えています。

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そんなセッティングの知識を、Webサイトなどを通じて広く全国のライダーへと伝えていく予定なので、どうぞ興味のある人は期待してください。

また、NPO法人GRAが企画開催するイベントに参加すると、セッティングのノウハウをその場で得られるので、悩んでいる人にとっては良い機会になるでしょう。
現在、開催をしている『 整備・セッティング セミナー 』『 ライディング・セッティング クリニック 』でば、イベント参加者の知りたい事や悩んでいる事などに積極的に対応するイベントで、セミナーではセッティング理論をとことん分かりやすく解説し、クリニックでは 会場内の安全な専用セクションで試せるので、セッティング知識や技術を磨くのには、とても最適な一日になる事に間違いありません。

   ■ 『 整備・セッティング セミナー 』 開催予定

   ■ 『 ライディング・セッティング クリニック 』 開催予定

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『 基本的なセッティングの進め方 』Basics of the setting procedure

セッティングの基本的な進め方や考え方について、GRAが講義用資料として配布している資料を紹介します。先ずは、「 整備&調整箇所」 の一覧表です。

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セッティングというと少し特殊な事を施す様なイメージがあるかも知れないが、その基本条件として 適切な整備(メンテナンス)がされている事が大切です。
整備 と言ってもオイル交換やタイヤの空気圧調整だけてはありません。上の一覧表で挙げた 車体各部、部品各部での 整備 が不十分だと、セッティングに悪い影響を与えてしまうものです。 だから、資料の最初半分はメンテナンスの必要な箇所を表にしているので、ぜひ参考にして欲しい。

それら 適切な整備(メンテナンス)が行なわれた後に、本来の セッティング・調整作業に入れるものです。
そして、セッティングにも大まかな進め方があり、特にサスペンション関係に限れば、下の表に記載した進め方が、最も重要な所から順に進めていく方法であり、最も合理的な方法です。
 

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解説記事と画像 :小林 裕之
  
Texts and images : Hiroyuki Kobayashi






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