良く出来た社外品のブレーキマスターシリンダーセットのブレーキタッチには感心させられるものもある。 では、ノーマルのマスターシリンダーはダメなのだろうか? その性能をフルに引き出していると言えるのだろうか?
確かに、社外品とは部品の材質や加工技術などに差があるのだろうが、それ以上に ブランド名とそれを必要上に賛美するマスコミの責任も多分にあるし、ライダーの無知も利用された神話の部分もある。 定期整備だけでなく、転倒などの事故からの修復を考えれば、純正品に勝るコストパフォーマンスを持った部品は無い。 後は、如何にして本来備えている能力を引き出すか、オーナーや整備屋側の考え方次第だ。
フロントブレーキマスターシリンダーでの修正作業は簡単だ。
あらゆる接触面を平滑(可能であれば鏡面加工)にして、潤滑を適切に行なうだけで、軽い力(操作)でリニアにブレーキ作動が得られるようになる。 ここで、磨き好きのオーナー(電動リューター持参♪)に外したブレーキレバーを渡して、接触面の磨き作業を依頼する。 接触面は、固定ボルト(ヒンジ)が通る 穴部の内面、その穴部の周囲でマスターシリンダーと接触する部分(裏と表)、そしてマスターシリンダー内部のピストンロッドを直接押し込む半円形の箇所だ。
特に、半円形の箇所は、新車の時からさほど平滑面は出ておらず、使い込んだ車両になると編摩耗して本来の形になっていない場合が殆どだ。 リューターで、磨き粉の番数を代えながら、熱心に磨きあげるオーナーを横目にリア周りの作業を進める。 やがて、磨きが終わったのを見て、マスターシリンダー側でレバーと接触する面を全て平滑に磨きあげるように指示をする。 特にキモになる作業は、マスターシリンダー内部のピストンロッドがブレーキレバーと当たる面の磨き作業だ。 ここは、新車の時から平滑度は出ていないので、平滑に磨けば磨くほどに、ブレーキの作動フリクション(摩擦)が減って、より正しい方向に力が伝わりやすく、ブレーキレバー側の半円部の編摩耗も防げるのだ。
その磨き作業を任せている最中、「アッ!」と声が響いた。
聞けば、ピストンロッドの周囲にあるゴム製のブーツカバーをリューターで破損させてしまったという。
仕方ない。 ストック部品の中から ブレーキマスターシリンダーの内部パーツセットを探し出し、交換作業へと移る事に。 マスターシリンダーを外し、清潔な作業台の上で、清潔に洗った手で作業を進める。 交換前の内部パーツ・特にシリンダーに装着された 二つのオイルシールのリップと、新品部品で組み上げたそれとを触って比較体験してもらう。 いくらブレーキフリュードの中にあったとしても、ゴム製品はこすれて摩耗してしまい、効果が減少する事を指先の感触だけで理解できるのだ。
まあ、これで ブレーキフリュードも全交換だから良しとしよう。
でも、ブレーキキャリパーのシール交換でも全交換だろう ・ ・ な ♪ |