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Common Sense and Insane

購入したオートバイの能力を正しく発揮させ、安全な走行を楽しむには、可能な限りきめ細かな整備が必要です。しかし、日本国内では、車両メーカーから整備に関する情報を公開する姿勢が欠け、積極的に楽しみたいユーザーにとっては不幸な状況が続いています

In order for the motorcycle to fully demonstrate its capabilities and enjoy safe riding,
it is necessary to maintain it as finely as possible.
However, in Japan, motorcycle manufacturers lack the attitude of disclosing maintenance information, so it is an unfortunate situation for users who want to actively enjoy themselves.



  燃料カプラーの外し方は?
  How to disconnect the Fuel Coupler



燃料ポンプに接続しているカプラーの外し方について質問がありました
おそらく、燃料タンクの取り外して、整備をしようとされているのでしょう
関連情報も含めて、その整備をサポートします



【 質 問 】 Question


燃料ポンプの燃料吐出口のカプラーが、上手く外せません、
いい方法ありますか?
 ( 車両 : 2008年式 Triumph DAYTONA 675 )

I can't disconnect the coupler on the fuel outlet of the fuel pump
Is there a good way?



燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675










【 回 答 】・簡潔編 Answer Concise edition


こんにちは S さん

この度は 『 Q&Aコーナー 』にお問合せを下さり、誠にありがとうございます。
燃料タンクの取外しは、エアクリーナーエレメントの整備や点火プラグの交換を始めとする、エンジン補機類や電装関連の本格的な整備には欠かせない作業です。

ご質問の件は、該当車両の整備(サービス)マニュアルから、該当すると思われる指示書を紹介します。 これがお役に立つならば幸いです。なお、上手く外せない場合や、別な箇所で作業が進まない場合には、どうぞご連絡をください。

燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675


〇 安全の為、通常時、ロック解除ボタンはクリップでカバーされています
〇 「クリップ」をスライドさせて、ロック解除ボタンを押して、引き抜きます
〇 「ロック解除ボタン」は、対面に2つあり、同時に押す必要があります







 
 
 
 
 
 

【 回 答 】・実車編 Answer with actual vehicle example


燃料ライン(ホース)用カプラーの取外しについて、実車での画像を交えて、より具体的に詳しく解説をします。 3つの画像は、上から[クリップがロック状態]、[クリップがアンロック状態]そして[カプラー取外し状態]です。
   
燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675

燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675

燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675
  

【 作業上の注意点】

現車の場合は、撮影した後で気付いたのですが、「クリップ」の位置が“通常時”とは少し
 異なる位置にありますので、アンロック状態の「クリップ」位置だけに注目してください。

また、「ロック解除ボタン」の配置位置は画像で図示の通りですが、奥になっているボタンも
 同じ力で押す必要がある為、多少、作業は面倒かも知れません。片手では作業が難しい場合に、
 上方へ移動させた燃料タンクを何かの方法で固定して、両手を使うと上手く押せると思います。

最も避けるべき事は、引き抜く際のカプラーの破損です。破損の可能性が高い点は二つあり、
 一つは 樹脂製の燃料パイプ(白い部品)の破損で、二つ目は 燃料漏れ防止用の“Oリング”
 の破損です。「ロック解除ボタン」を押したまま、樹脂パイプを中心にカプラーを少し回転を
 繰り返しながら、少しずつ、焦らずに引き抜く事をお勧めします。

カプラーを接続する際は、異物の付着を避ける為にクリーニングを行なった後、真っ直ぐに
 差し込んで、「カチッ」というロック音がするまで深く差し込みます。

画像の燃料タンクは、燃料タンプ前方にある 2本の固定用ボルトを 3〜4回転緩めて、後部の
 固定ボルトとボルトと同時に配置された固定用カラーを抜き取った後、燃料タンク後部を持ち
 上げて、下図の様にして固定した後で取外し作業を行なっています。



燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675











【 回 答 】・詳細編 More Related Information


『 燃料ホースカプラー 』について

燃料ポンプは、燃料噴射に利用する燃料圧力(燃圧)を発生させる為の部品ですから、その吐出口では、燃料に“ 3.0 bar ”という高い圧力がかかります。この 3.0 bar という圧力は、約 3.06 Kgf/cu ですから、 縦横が1p の面積(1cu)に 約 3s ( 2Lと 1L のペットボトルの重さ)の重さがかかる強さになります。

【燃料ホースカプラー】は、以前から市販車で採用されたり、アフターマーケット用の汎用品が広く販売されており、従来のキャブレター仕様車で利用した人も少なくないと思いますが、現在主流の燃料噴射式エンジンで利用されているカプラーとは異なり、高い燃圧には対応した設計にはなっていないので注意が必要です。(燃料自然落下式のキャブレター仕様なら、せいぜい 0.5 bar の耐圧仕様の設計でも充分でしょう)
 
燃料カプラーの外し方は?

 
 
 
『 サービス情報 』について

燃料タンク取外し作業に関連する作業指示(サービスマニュアルより)を、以下の通り、転載して紹介をします。参考になれば幸いです。

燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675

燃料カプラーの外し方は? DAYTONA 675





『 サービスマニュアル 』掲載サイトについて

DAYTONA 675 用のサービスマニュアルは、全ページが下記のサイトで紹介されていますので、多少見辛い点もありますが、参考にされる事をお勧めします。

TRIUMPH DAYTONA 675 SERVICE MANUAL Pdf Download | ManualsLib

当ページの巻頭にも書きましたが、購入した車両は購入者の所有物ですから、整備に関する情報は購入者に可能な範囲で車両メーカーは公開する責任があると思います。充分に公開せず、十二分な整備インフラも整備せず、車両整備や運転操作によって起きる事案の責任を購入者に負わせるのは適切ではないと思います。特に、日本国内では、世界有数の車両メーカーがある国であるのにも関わらず、整備情報や部品情報を車両購入者から遠ざける商習慣が一般的です。 それらの車両メーカーが、海外での販売事業においては、整備や部品に関する情報を公開している事と比較すれば、疑問を超えた感情を覚える人が居たとしても不思議ではないでしょう。

どうぞ、不足した情報があれば、可能な限りサポートをしますので、いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフを過ごしください。






解説記事と画像 :小林 裕之
  
Texts and images : Hiroyuki Kobayashi



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わからない用語は、ページ下段の【用語の解説辞典】で確認できます
「質問」のある方は、下記の『 質問募集ページ 』をご利用ください



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