Rさん、クリニックの受診、お疲れさまでした。
さて、当日に ご自身の車両とは別に、他の方の好意で MT-09 と乗り較べて操縦性に大きな違いがある事から、同じ様な排気量でほぼ同じ車重であるのに フロントスプリングの スプリングレート に大きな違いがある事に気付かれたようですね。
スプリングは オートバイの操縦性や安定性を決定し、それ以上に 乗り味さえ決めてしまう大きな部品ですから、スプリング、特にフロントスプリングのレート(ばね常数)に強い関心を持つ事はとても素敵で大切な事です。 では、幾つかの段階に分けてスプリングレートについて解説をしますが、理解できない事や更に不明な点がありましたら、ぜひ、質問・問い合わせを待っています。
【 簡潔編・回答 】 ・・・ 主に、フロントスプリングについて解説します
ご存知の通り、スプリングはサスペンションで最も重要な部品ですが、サスペンションが担当している一番大きな役割がタイヤを正しく路面に接地させ、安定性と操縦性を保って安全な走行を保障する事ですから、スプリングの特性によってオートバイの安定性と操縦性が大きく影響を受けています。これは MT-09 の試乗によって感じられた通りです。
では、「なぜ、GSX-R のスプリングレートが高いのか?」 「どこまで スプリングのレート(ばね定数)を下げられるのか」という質問に回答します。
車両によってスプリングレートが異なる事は Rさんが調べていらっしゃる通りですが、なぜ? GSX-R のスプリングレートが 約 34%も高いのか? の理由は、想定している速度域が高いから、だと思います。例えば、サーキットなどで時速 200q程でコーナリングを想定した GSX-R の場合、その領域でも安定性を確保する為には、路面から受ける力が大きくなる高速度域でサスペンションが動き過ぎるのを防ぐ為に スプリングレートを高く設定する必要があったのだと考えられます。
しかし、超高速度域に合わせた設定のスプリングのレートでは、時速 20 〜 60km の 一般道での走行に最適とは言えません。 これは GSX-R よりも低いスプリングレート を採用している MT-09 に試乗して感じられた安定性や思った通りに向きが変わる高い操縦性からも理解してもらえるでしょう。
ですから、時速100 km超 でのコーナリングよりも低い速度域での 安定性や操縦性が大切だと考えるならば、MT-09 と同じスプリングレート (0.75 Kgf/mm)か 0.7 kgf/mm 以下のレートのスプリングを選択するのも有効な対処ですし、一般道使用であれば大きな問題はありません。
次ページ以降、【車種で異なるスプリングレート】と【スプリングレートと操縦安定性の関係】などの解説を行ないますので、興味があれば どうぞご覧ください。
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