このエントリーをはてなブックマークに追加

  GRA

いつまでも、楽しく、安全な、オートバイライフの
環境作りに必要な事を、4項目に分けて解説します

  オートバイ基本講座「心」のページへ移動します オートバイ基本講座「技」のページへ移動します オートバイ基本講座「体」のページへ移動します オートバイ基本講座「バイク」のページへ移動します  

Common sense and insane

オートバイの運転のしやすさや安定感は、サスペションの設定や特性に大きく依存していて、サスペンションはスプリングレート(ばね定数)で基本的な特性が決まります。その為、車両メーカーはスプリングの設定に格別の注意を払い、特にフロントスプリングはマイナーチェンジの度に変更する事も珍しくない程ですが、多くのプロ評論家でさえレートの重要性に関心を示さず正しい知識も持っていません。

Suspension springs play an important role in controlling the maneuverability and stability of motorcycles, so vehicle manufacturers pay special attention to designing the spring rate of front springs. Therefore, replacing springs with aftermarket parts may not always give you good results without your knowledge and understanding.


  FAQ, About Setting the Spring Rate



【 質 問 】-2  Question-2


    「スプリングレート をどこまで下げられますか」という質問を寄せてくれた
    Rさん(仮称)がページ3まで読んで、考えて、また連絡をしてくれましたので、
    ここに紹介します。どうぞ、あたなたも 一緒に考えてみませんか? 
 



こんばんは、R(仮称)です。
回答3を拝見させて頂きました
なかなかの読みごたえでした。

私なりの、解釈ですが少し長くなります。

現在の状態を基本とすると、バネを換えても車高(キャスター、トレール、スイングアーム垂れ角)などが変わらないことが、大事。
走行中速度により荷重が掛かりますよね
この時に車体がいい位置になるバネレートが、理想となる。
そのため、力量や用途で欲しいレートが変わります。
ですかね?

ジム仕様では、サーキット全開走行は難しい。
また、その逆も、ですね?

最後に、乗車時車高と初期荷重は結果てきには同じにならないですかね?

以上長々とすみませんでした。


スプリング レートについて、解説





【 回 答 】=2  Answer-2



こんにちは Rさん
ページ3まで読破して下さり、その上でお便りまでくださり、ありがとうございます。

オートバイは物理法則で動く物体ですから、基本的な物理の法則で一つひとつ考えていけば、
オートバイの全ての動きを理解できますし、調整・セッティングもスムーズに進められます。
が、僕の知人曰く、「モータージャーナリストの多くは文科系だから・・」と言われる様に、
物理的には矛盾した解説をしたり、ただの思い込みや信念で書かれている? と思える文章が
多いので、今回の解説に使った言葉や解説も日頃から馴染みが無いでしょう.
随分と苦労され
た点もあったのだと思います。

しかし! 今回の返信で書かれていた“まとめ” に間違いはありません。
ここまで正確に理解されたのも、日頃から色々な事に興味を持って接し、深く考える習慣を
されていたのだと思います。

是非、その行ないのまま、更に探究と理解を深めて、オートバイを安全にもっと楽しめる様に
してください。 疑問点があればお送りください。私なりの解説ですが、今回の様に解説をして
お返しします。

では、“まとめ”に沿って【補足説明】を少し書き留めておきます。



スプリングレートの変更と車体の基本姿勢 GRA


【 補足説明 】

〇 乗車時姿勢(1G' 時)が基本
  オートバイの基本姿勢は 乗車時(水平平坦路での定常走行時)が基本で、R さんも書か
  れている通り、キャスター角、トレール量、スイングアームの垂れ角 が基本で、車両
  メーカー設計者が図面を起こすのも 乗車時姿勢です。
  そして、なぜこの乗車時姿勢を決めるのかと言えば、それによってオートバイの運動特性
  が変化するからです。

〇 スプリングを変更すると基本姿勢が変化
  
既に理解されている通り、違う仕様のスプリングに交換すると、そのまま組み上げても
  殆どの場合にはオートバイの基本姿勢が変化します。ですから、スプリング変更の効果
  を発揮させるには、基本姿勢を崩さない様にフロントフォークの固定位置変更や、フォ
  ークオイルの追加をして、1G’時車高と残ストローク車高 を 変更前と同じ姿勢にする
  事が大切です。プリロード(初期荷重)量を変更前後で同じに揃えるのも大切です。

〇 走行中の車高変化について
  R さんが掛かれていた通り、「 走行中速度により荷重が掛かりますよね この時に車体が
  いい位置になるバネレートが、理想となる 」で正解です。

  フロント周りのアライメント(キャスターとかトレールの事)で言えば、トレールだけに
  注目する方法でオートバイの大まかな特性は理解できます。
  Rさんが書かれている通り、速度が高ければ高い程に 前輪への衝撃荷重は大きくなります。
  大きくなる荷重によって フロントフォークが縮み、トレールは小さくなり、トレール量
  が小さくなり過ぎて 前輪の方向安定性が減り、ライダーにも不安感を感じる場面が出る
  可能性はあります。が、本当の所、さほど大きな問題にはならないと考ています。

〇 速度が高い時の方向安定性について

  方向安定性は、トレールの減少によって少なくなりますが、実は 車輪の回転速度が高い
  程に 方向安定性(ジャイロ効果)も高くなりますので、サーキットを含めて一般的な高速
  走行では大きな問題は発生し難い特性が備わっています。

〇 トレール変化が影響する中低速域
  恐らく車両によって異なると思いますが、トレール変化で操縦性の変化を発揮できるのは
  時速 60q 以下の走行場面になると思います。 実際、低車高化し過ぎている車両に数台
  試乗した経験がありますが、1G’時車高の低下 と 残ストローク車高の低下により、直進
  走行時から前輪の不安定感を強く感じ、その傾向は 中低速での街角交差点を曲がる時でさ
  え おっかない操縦性になっている車両ばかりでした。

〇 低レートスプリングでサーキット走行
  中低速で深くバンクさせる走行に合うスプリングなどの調整をサーキット走行は無理?
  と 思ってしまう心理は理解できます。そして、モータージャーナリスト の面々も 使用環
  境によって最適調整があると披露していますので、当然、そう思うのも無理もありません。

  ただ、私の考えに耳を貸してもらえるならば、「良く出来た街乗り仕様は、あらゆる場面
  で 最適な友になる」と考えています。

  Rさんにも経験があると思いますが、キャブレターのセッティングと同じだと考えてい
  るのです。サーキット専用車だからと言って、アイドリングも出ず、低回転時から高
  回転
への繋がりが悪いセッティングは、街乗りでこそ雰囲気一杯で乗れますが、サーキットで
  はとても扱えたものでない事、特に雨天路や混走時には使えない代物だと理解してもらえ
  るでしょう。
  アイドリングがきちんと出せて、負荷をかけて走行時にも最高回転までよどみなく繋がる
  のが最適な様に、サスペンションも 10 q/h程度の操縦性を最初にバランス良く整えて
  からでないと 40q/h、60q/h 走行時の操縦性バランスは取れませんし、それ以上の
  速度でも同じだと信じています。

〇 “妖怪流”奥の手
  ここまでの説明でも恐らく不安な点もあるでしょうから、少し 奥の手を伝えましょう。
  それは エアスプリング を利用する事です。
  ご存知の通り、フロントフォーク内でスプリングとして作用するのは コイルスプリングの
  他に、ほとんどの車両では エアスプリング を併用しています。
  低レートスプリングを採用した場合の 過大ストロークでの挙動不安定の発生を危惧される
  のであれば、敢えて 残ストローク車高だけ 10〜20o 程度高めてやれば 最大荷重時の
  方向安定性は確保できますし、そのストローク途中、特に ストローク中間地点からはエア
  スプリング成分が大きく作用してきますので、高速走行時でも安定性を確実に確保が可能
  です。

  実際、市販車のフロントサスペンション ストロークは ロードタイプで 120 o が定番に
  なっていますが、これは 走行性能確保、操縦性の最適化 というよりも、乗り心地確保が
  一番の目標・商品性確保 になっているのですが、その仕様のままで 中低速・フルバンク
  走行でフロントグレーキを使うのが困難、つまり ストロークし過ぎて トレール量が安定
  限界トレール量以下になる場面は 普通にあります。(フロントブレーキを使うな!という
  ご意見もあるでしょうが、深くバンクさせた下り坂で路面ギャップに遭遇した時も同じ)
  その為、私自身は 全ストローク量は 100mm 前後に合わせて、どんなレートのスプリン
  グでも 安定限界トレール量以下にならない 少し手前に合わせています。


      *   *   *   *   *   *   *


長〜い 補足説明につきあって下さり、ありがとうございます。

今回は スプリングレートの質問に対しての解説・回答ですから、この辺りで解説は止めますが、
多くの人にオートバイの運動特性を理解してもらえる様に、「旋回モーメントを使っていますか?」とか 「ドアクローザーの スプリング、プリロード調整」など、色々と視点を変えて説明をする用意はあります。

どうぞ、これからも 質問や提案、そして 新コラムへ期待してもらえると幸いです。




        回答オートバイ と ライダーのための“クリニック”担当  小林 裕之






わからない用語は、ページ下段の【用語の解説辞典】で確認できます
「質問」を送信される方には説明を返信しますので、利用してください



* * * * 前ページで、【スプリング変更、応用編 】を掲載しています * * * *


『コラム一覧』ページへ移動します
次のページへ移動します



  ご質問やご提案は右のボタンをクリックで送信を!

メニューページ へ移動します サイトマップページへ移動します
GRA代表・小林 紹介のページへ移動します

オートバイの基本講座のページへ移動します
  
用語辞典へ移動します

ポリシーページへ移動します
コラム一覧ページへ移動します
前ページへ戻ります

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています
文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved.