このエントリーをはてなブックマークに追加

  GRA

いつまでも、楽しく、安全な、オートバイライフの
環境作りに必要な事を、4項目に分けて解説します

  オートバイ基本講座「心」のページへ移動します オートバイ基本講座「技」のページへ移動します オートバイ基本講座「体」のページへ移動します オートバイ基本講座「バイク」のページへ移動します  

  Maintenance and Setting record
  of Kawasaki ZX-6RR  "part1"



『 9. 組み付け作業 』 


 

GRA、ZX-6RR 整備・セッティング記録会よりステムブラケットに再度フロントフォークを挿入する際にも スムーズに入らない。
きっと、ブラケット部に歪があるだろう。

交換こそが最善だがそれは無理なので、ブラケット内部をペー パーで軽くサンディングし、組立による車体へのストレスの 蓄積を防ぐ。

続いて、脱着していたフロントホイールに移る。
ここで大切なダストシールのコンディションを、オーナーにも触診を依頼して、ダストシールで一番大切なリップ部に張りと柔軟性が無くなっている事を確認してもうらう。
次に、カラーを仮組みしてもホールドできない程のシールのリップ部が摩耗している事も確認した。本来なら即交換モノのコンディションだが、無い袖は振れない。内部に残っている古いグリスをクズが出にくいティッシュ(キムワイプ)で取り除き清掃をして、新しいグリスをリップ部だけでなく内部に腹五分程溜めこませ、ダストシールとベアリングの長生きを期待する。

≪ 先にも書いたが、オートバイ販売店やタイヤ販売店がグリス交換の常識を持っていれば、世の中のオートバイ達は好調を持続し、重要な部品の損耗を抑えられ、誰にとっても大きな喜びになるだろう ≫

アクスルシャフトを装着後、アッパーブラケットのフォーク固定ボルトを仮締めして、フロントジャッキを降ろしてフロントホイールに荷重を掛けた後、“妖怪棒”を使ってフォークの整列を取る。
調整の後はボトムブラケットのフォーク固定ボルトを指定トルク・20 Nmで固定。次にフロントタイヤを接地固定したままフォークをストロークさせ、フォークの左右間の平行を出し、その後でアクスルシャフト固定ボルトを指定トルク・20 Nm で固定。最後にアッパーブラケットのフォーク固定ボルトも指定トルク・20 Nmで固定。より大きな力が加わる大切なボルトから順に締め付けるのは、エンジンマウントボルトなどフレーム関係でも共通の原則だ。

全ての作業を完了して、リア(レーシング)スタンドも外してサイドスタンドで立てる。

いつも感じる事だが、当たり前の整備を順序正しく適切に行なうとオートバイは軽くなる。今回も、サイドスタンド状態からオートバイを立てただけで別の車の様だ!
オーナーも立てる動作だけで軽くなった事を体感し、押し歩きすると更に実感した様だ。

殆どのオートバイはストレスが蓄積して“コリ”が溜まった状態だから、今回の作業の様にフロント周りだけでも、正しい整備で車体からストレスを取り除くだけで確実に軽くなる。リア周りも整備すれば更に軽くなる。そして、フレーム全体をやればもっと軽くなるのだ。

 


『 10. 試走確認 』 


 

外は暗くなった 19時、最後にオーナーによる試走確認だ。

出発して帰ってくるのを待っていると、街角を曲がってくる姿が朝とは違う。オートバイから来る恐怖心、不信感が減り、安心感が増している様に見える。残ストローク量のアップ=トレール量の変更&確保も効いている様だ。

残る作業、適切な残ストローク量への調整、1G’(乗車時)のフロントとリアの車高バランスの確認は、オーナーの試走と感想文を待ってから行なう事になる。

 


『 最後に 』あとがき 


 

最適なバランス調整や適切なセッティング作業は、1〜2時間の作業で済む筈がありません。
何故なら、整備作業によって車両の状態を新車状態かそれ以上の本来の状態に戻した後でようやく行なえる作業だからです。

次の機会には、リア周りの整備(スイングアームの脱着整備、リアサスペンション周りの脱着整備、ハブダンパーの交換など)とエンジンマウントボルトの整備を行なえると良いですね。 最低でも12時間程度の作業で、その後に行なう調整セッティング作業ではキリが無いほどに細かい作業が続くのです。



< 解説文章と画像 :小林 裕之
< Texts and Images : Hiroyuki Kobayashi >
 


 

【 通信ボ 】 ・・ 整備の中で出た“方向安定性”などについて解説します 




わからない用語は、ページ下段の【用語の解説辞典】で確認できます
「質問」
を送信される方には説明を返信しますので、利用してください

前ページへ
コラムトップへ



メニューページ へ移動します サイトマップページへ移動します
GRA代表・小林 紹介のページへ移動します

オートバイの基本講座のページへ移動します
用語辞典へ移動します

ポリシーページへ移動します
コラム一覧ページへ移動します
前ページへ戻ります

許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved.