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Common sense and insane |
オートバイのタイヤ交換時は、オートバイを正しい姿勢へと整える作業“整体”を行なうのに最も適した時だ。しかし、“整体”という意識を持たないのがオートバイ業界だから、タイヤ交換によってオートバイは却って調子を悪くするという事は知られていない。
Changing motorcycle tires is the best time to do a motorcycle chiropractic. However, most motorcycle dealers are not aware of motorcycle chiropractic, so it is not known that if you ask them to change tires, the motorcycle will go wrong. |
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オートバイの整体、基本と調整作業
Motorcycle chiropractic, basics and adjustment |
新車販売されているオートバイでも設計通りに組み立てられていないのに、
乗り難さや左右での操縦性の違いはライダーの腕(スキル)のせいだと思い込み、
そんな状態のオートバイに乗って運転技術の上達を目指す人に伝えたい
調律されていない新品ピアノを買って練習に励むのと同じか、それ以上に危険な行為だと
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『 左曲りダンディの悩み 』 Many riders say the right corner is scary |
多くのライダーから悩みを聞く機会が多いが、共通してよく聞く言葉がある。それは、右旋回と左の旋回とでオートバイの動き(操縦性)が違うというのだ。
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「 左コーナーは気持ち良く走れるけど、右はちょっと怖い 」 |
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Many riders say that the left corner feels good but the right corner is scary |
高速道路やワイディングロードなどで、左コーナーだと気持ちよくバンクが出来て気持ち良く走れるけど、右コーナーは 左コーナーの様に走れないという事だ。
そして、同じ思いを多くのライダーが抱いているのか、その原因の諸説が 都市伝説化している。
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日本は左側通行だから、右は対向車がいるから ? |
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右側にアクセルがあるので、右コーナーと左では、右手の角度が違うから ? |
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人間の心臓は左側にあるから ?..etc |
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There are various unfounded reasons why the right corner feels scary.
For example, because Japan is on the left side, the right side is the oncoming lane, the throttle is on the right side, and the human heart is on the left side. |

しかし、これらの説の殆どは間違っていると断言できる。
僕自身が所有してきたオートバイだけではなく、多くの人々の車両に触れて確認して、修正してきた経験から言えば、原因は左側通行のせいではなく、人間(ライダー)の構造の責任でも、道路環境が原因でもなく、オートバイの責任だと言える。
原因の多くは、オートバイの各部品が本来あるべき位置になく歪んでいたり、車体にストレスが溜まっているからだ。 本来であれば、左右対称になるべき箇所は正確に左右対称になっていて、整列がとれているべき箇所は整列していなくてはいけないけど、メーカーが製造する時に正しく管理されず、販売店が整備する際にも製造時と搬送時に車体に溜まっている歪みを取ってストレスも取る “整体”作業はしないからだ。
だから、左曲りなどの癖のあるオートバイでも、正しく“整体” 作業をしてあげると、右旋回と左旋回の違いが無くなるだけでなく、動き始めからオートトバイは気持ち良く走ってくれるのが常識なのだ。それは 人間が上手は整体院に行った時と同じなのだ。
では、その“整体”作業の内、タイヤ交換時には 絶対!やってあげたい“フロントフォークの整列”と“前後タイヤの整列” 作業を説明しよう。
But I assure you that all those myths are wrong. The difference in maneuverability and security between the right and left is not due to the riders, but the majority responsibility is in the motorcycle, and the basic alignment of the motorcycle is not complete.
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『 “妖怪棒”を使った整体 』 Chiropractic using "Yokai Bar" |
僕のトライアンフ(通称 : トラ君)のタイヤ交換の場面で説明をしよう。
タイヤ交換時は、じっくりと可愛がってやれる楽しい時だ。普段は手の入り難い所まで磨けて、給脂が必要な所はしっかりと可愛がり、一つひとつ最適トルクで組み上げてやる楽しさもあるけど、やっぱり欠かせないのが “ 整体 ” だ。
1. フロントフォークの整体(整列調整) Front fork chiropractic
フロントフォークの整体(整列取りとストレス取り)は普段からマメにやっているけど、前後タイヤの整体(整列取り)はこの機会が外せない。
“ 左曲り ” 症候群のオートバイの殆どは フロントフォークのゆがみ(ねじれ)が原因だけど、前後タイヤの整体(整列取り)も無視できないからだ。

Attach two 1m long ”Yokai Bars" to bridge the left and right front forks. The mounting location should be the same diameter of the fork pipe, and the distance between the two should be at least 10 cm. Then, the ends of the two attached "Yokai Bars" are stacked, and if there is no deviation at the end, the front fork is aligned.
2. 前後タイヤの整体(整列調整) Chiropractic of front and rear tires
そして、前後タイヤの整列(前後タイヤの中心線が一直線上に重なる状態)の場合も、ほとんどのオートバイの前後タイヤの整列は取れていない。 それも、ほとんどの場合は リアタイヤ が上から見て “右側” に向いているので、それが原因で左右のコーナーでオートバイの挙動が異なり、左コーナーは手応え・コントロール感を感じ、右コーナーは不安定に感じてしまうのだ。
この整体のずれの原因は、エンジンからの駆動力がチェーンを通じてリアホイール の左側にあるドリブンスプロケット(歯車)に伝わり、ホイール左側を前方に引っ張ってしまうからだ。
このずれの解消のために、スイングアーム左右にあるチェーンアジャスターの目盛を、左右で合わせる事で解消できる考えている人もいるが、それは決して正確にはできない。 リアホイールのアクスルシャフト部の 前後コンマ mm レベルの狂いで、オートバイの整体は崩れて動きは変わるのに、左右のスイングアームはそこまで高い精度では作られていないからだ。
同様に、チェーンアジャスター部のボルト長さをノギス で測っている人もいるけど、残念だけど、同じ理由で気休めでしかない。
The main reasons for the misalignment of the front and rear tires are that they are not adjusted at the time of manufacture and that they are not recognized as important maintenance common sense.
Then, I will introduce the alignment adjustment of the front and rear tires.
3.“ 妖怪棒 ”を使った前後タイヤの整列調整 |
Alignment of front and rear tires using "Yokai Bar" |
前後タイヤの整列調整の方法は幾つかあるが、最も簡単な器材を使って信頼性の高い精度で行なう方法を紹介しよう。 “妖怪棒”(自称)を使った方法だ。
長さ 1mと 2m の 真っ直ぐなアルミ材 (断面がロの角管。コの字のチャンネルなど)と、長さ30p ほどのゴムロープを 4本用意して、タイヤの左右側面に 1本づつゴムロープで軽く固定します。( 下図は、後輪に 2m の妖怪棒を固定したところだ )

同じ様にして、前輪の左右に1mの“妖怪棒”を1本づつ固定して、下図のような状態にする。

Prepare two straight, 1m- and 2m-long metal tubes and four rubber ropes.
Then, a 1m "Yokai Bar" is attached to the left and right side of the front wheel with a rubber rope, and a 2m Yokai bar is attached to the back wheel as well.
車体中央部の下に適当な高さの台を置いて、後輪につけた 2m“妖怪棒”の高さを 前輪につけた1m“妖怪棒”と平行になる様にする。
これで準備万端、後はお楽しみ、整列の確認はとても簡単。

上図のように、前輪の上方から見て、前後の“妖怪棒”の間隔が平行になるように 前輪の向きを調整して、その時の“妖怪棒”と“妖怪棒”との間隔をメジャーで測定する。 同じ事を反対側でも行なって測定した間隔が同じなれば整体は完璧! 間隔が違っていたら、同じになる様にチェーンアジャスターを調整すれば完璧! なのだ。

Pay attention to the distance between the two "Yokai Bar" that are parallel on the left and right of the front wheel. First, adjust the direction of the front wheels so that the two "Yokai Bar" are parallel, and then adjust with the chain adjuster so that the distance between the "Yokai Bar" is the same on the left and right sides of the front wheels.
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『 前後タイヤの整列作業の原理 』 |
Principle of alignment adjustment using "Yokai Bar" |
一度、実際にやってみれば簡単に理解できる作業で、その作業の進め方と前後タイヤの位置関係を図解しよう。 なお、この作業で使用するのは、僕が発案して専売特許(?)の “ 妖怪棒 ” を 2セットを使う“ 実用新案特許 ” 並みの方法だ。(冗談 ♪)

先ずは、上の図の説明をしよう。
本来、前後タイヤの整列がとれているならば、前と後のタイヤの中心線(センター)は一本の線に重なりますが、それを確認するには“妖怪棒”を使うと簡単だ。
前と後ろのタイヤに、1mと 2m の“妖怪棒”を 2本ずつ、ゴムロープ等を使ってタイヤ側面に固定をして、図に示した様に、前後の“妖怪棒”の間隔(隙間)が左右のどの場所でも同じになる筈だ。わかるかな?
しかし、前後タイヤの整列がとれてない場合には下の図の様になるのだ。

上図の説明をしよう。 左の図は 後輪の向きが右にずれている様子で、走行中は前後輪が同じ向きを向かないと走れないので、そのずれに合わせて前輪が右に切れている様子が中央の図。 そして、その状態で 妖怪棒 を装着すれば、前後の妖怪棒どうしの間隔が左右で違ってしまう事になる。
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『 右コーナー恐怖症の元凶はチェーンだ 』 |
Right corner phobia is caused by driving chain |
これで、前後タイヤの整列をとる作業やタイヤ交換時が最適だという事はわかってもらえた(?)と想うので、話を最初に戻して、なぜ? 多くのライダーが「 右コーナーが怖い 」と言うのか説明をしておこう。
「 右ゴーナーが怖い 」の原因は、多くの場合はライダーが原因ではなく、ほとんどのオートバイの場合、駆動チェーンが車体の左側にあるからだ。駆動チェーンが左側にあるから、リアホイールは左側に偏った大きな駆動力を受けて、左側が少し前に出て、少し右側を向いているからだ。
その駆動チェーン(ドライブ チェーン)とリアホイール(後輪)との関係を説明しよう。

後輪に駆動力を伝えているドライブチェーンは片側にしかないので、どうしてもチェーンが繋がっている左側を前向きに強く引っ張る力が働いてしまう。 この時、後輪を固定している車軸(アクスルシャフト)の周囲に“遊び”(隙間)があると、その“遊び”の分だけ後輪は右側を向いてしまうのだ。
「 後輪が右側を向くと、なぜ、右コーナーが恐い ?? 」
そう疑問に思う人も多い筈だから、今回は特別に図を使って説明しよう。
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『 右コーナー恐怖症の原理 』 The process of developing right corner phobia |
最初に断っておくが、多くのオートバイで起きている“後輪の右向き”と“右コーナー恐怖症”に限定した解説だと理解しておいてほしい。 もし、後輪が左向きになっていたら、当然、左コーナー恐怖症になる原因は、左右逆転して考えて欲しい。
では、前後タイヤが整列していなくて、後輪が“右側”に向いている時、オートバイの走行状態はどんな風になっているかを図でもう一度説明しよう。

つまり、前後タイヤの整列がとれていないオートバイ(ほとんどのオートバイ)は、直進で走行をしている時、前後タイヤの向きは進行方向へ自然に向くので、上手の一番右の図の様に前後タイヤがずれて走っている。 これだけでも右と左の操縦性に違いが出るのは想像できると思うけど、実はもっと深刻な状態になっている。 次の図で説明をしよう。

実は、前後タイヤが整列していないと、そのアンバランスを補正する為に、直進走行中でも傾いて走行しているのだ。 この図を見て 「 そうか! だから 右コーナーが恐いのか! 」 と理解できた人は優秀だ。
そう、前後タイヤの整列がとれていなくて、後輪が右側を向いたオートバイに乗ると、真っ直ぐに走っている時でも、タイヤ接地面の中心はトレッドセンター(中央部)ではなく、右側のトレッドが接地面の中心になっているのだ。
すると、どんな現象が起きると言えば ・・・ 、この状態から左コーナーに向けて左側にバンクを始めると、タイヤの外径が一番大きく盛り上がっているトレッドセンターを乗り越える必要があるけど、右コーナーだと障害も無く一気にバンクしてしまうのだ。
更に別な要因も恐怖を増大させている。それは、走行中は前輪が左側へオフセットしている状態なので、左側へバンクさせる時には前輪がバンク動作に抵抗する動きが出るが、逆に右側へバンクさせる時にはその抵抗する動きや効果が期待薄になっているのだ。
以上、前後タイヤの整列がとれていないと、右コーナーと左コーナーでは、一方が手応えと粘りのある安心感一杯の操縦性が楽しめて自信も持てるけど、反対側は一気に手応えも無くバンクしていくので怖くて仕方ないのだ。
だから、右コーナーが恐くても安心して欲しい。日本の左側通行の問題でもなく、右手アクセルの問題でもなく、当然、ライダーの責任でもない。オートバイが悪いのだ。
長くなったので、最後に、ドライブチェーンの影響を受けても後輪が右側を向かない為の整備方法を説明して終わりにしよう。 この“ アクスルシャフト周辺の遊び取り作業 ”をしないと、どんなに正確に前後タイヤの整列をとっても無意味になるから、タイヤ整列作業を目指す人は必見だ。
Let's take a look at the case where you are riding a motorcycle with unaligned front and rear tires. If the direction of the rear wheel deviates from the correct direction to the right, the traveling line of the front wheel is offset to the left from the traveling line of the rear wheel. At the same time, due to the imbalance caused by the offset of the tires, the vehicle will run straight ahead with a slight lean to the right.
Let's think about lean to the left and lean to the right in this state.
For lean to the left, the front wheel offset inward relative to the lean direction resists lean movement. At the same time, it is also necessary to move the ground surface of the tires to the left side over the tread center with the largest outer diameter. These actions give you a sense of response and peace of mind when you lean to the left. However, since the situation is reversed in the lean to the right, lean to the right becomes unstable behavior without response. These are the causes of right corner phobia.
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『 アクスルシャフト周辺の“遊び”取り 』 |
Remove the gap around the
axle shaft |
わからない用語は、ページ下段の【用語の解説辞典】で確認できます
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