では、自転車の場合と較べて、ライダーに合わせて オートバイの フィッティング を行なっている状況は、随分と大きく異なっている事が分かります。
■ フレームサイズの選択 Impossible frame size selection
誕生してから 150年余り経ったオートバイですが、自転車とは違って、ライダーに合わせてフレームサイズを選べる様にはなっていません。ライダーが動力源の自転車とは違って、動力源が備わっているオートバイの場合には、フレームサイズの選択という文化は生まれなかったのは当然の事かも知れません。
しかし、安全性の観点から言えば、多少無責任な販売方法だと言えます。
その理由を、洋服を通信販売で購入する場合に例えて説明します。
先ず、サイズを細かく公開している自転車は、腹囲や胸囲、袖丈など服の細部のサイズが明記され、その上で S、M、L などの大まかな サイズ表記もしてある洋服と同じで、購入前に自分自身の身体に合うかが検討出来ので、大きな間違いを防げます。
一方、サイズが選べないオートバイは、各部のサイズが明記されず、S、M、L のサイズ表記も無く、フリーサイズ として販売されている洋服と同じと言えますが、それは、ユーザーの安全に対しての配慮が欠け、良心に欠けた販売方法だと言えます。
■ メーカーの責任 Manufacturer's responsibility
敢えて、メーカーの良心が欠けた販売方法と書いたのには理由があります。
洋服の場合には、例え サイズが身体に合っていなくても、それを上手に着こなすのもファッションだと言えますが、身体条件に適合しないオートバイの運転は、ライダーや他者にとって、最悪の場合には人命に関わる要素になるからです。
メーカーにとって、販売戦略上、オートバイ毎に“適合する身体条件”を設定する事はかなり難しい事だとは理解できます。が、少なくとも、車体設計時の“ 想定ライダー ”の設計・標準値 を 一定の幅を設けて開示はすべきでしょう。
同様に、大切なリアサスペンションの「プリロード調整」に関して、“ 体重別の推奨調整値 ”の公表は容易な事柄ですから、安全の為にも公表すべきです。
それらの情報を開示せず、購入したライダーの裁量だけに任せている現状は、どう見ても無責任のそしりは免れないと言えるでしょう。
■ 販売店のサポート Missing dealer fitting support
自転車販売店でのサポート体制と較べれば、オートバイ販売店のフィッティングサポートはほぼ皆無とも言える状況です。
本来であれば、購入者に合わせて、リアサスペンションのプリロード調整をサポートして、レバーの高さや開き角度を合わせ、ブレーキペダルの高さを合わせ、場合によっては ハンドル位置を適切な位置への調整をサポートするのが当然でしょう。
最悪なのは、小柄な体格のライダーに合わせて、足着きの為だけに、オートバイの車高を低くする変更・改造を行なう事です。それは、オートバイ本来の走行安定性や操縦性を大きく損なう変更に繋がり、ライダーだけでなく他の人々の安全を配慮しない危険な事だと自覚すべきです。
販売店によっては、ライダーの体格やライディング技量を考慮して、適合するオートバイや合わないオートバイをアドバイスして、車高変更など安全性に関わる改造は拒む等、良識ある販売やフィッティングを行なっている店があるのを知っているだけに、正確な知識を持たず、良識にかける販売をしている販売店の存在は残念な事です。
また、同じ事は オートバイ専門雑誌などのメディアに対しても言えますが、どうか、ライダーには。ファッションだけに留まらず、正確な知識や安全に必要な情報を収集して、自身だけでなく他の人々の安全にも配慮したフィッティングを追及して欲しいと願っています。
On a bicycle, it is common sense to choose the frame size according to the rider's physique, to adjust the position of each part of the bicycle, and to realize the riding form which is efficient and difficult to get tired. And, the simulation equipment and the fitting theory to obtain the ideal form are prepared, and the fitting to the rider is provided by using it in the dealer.
However, the motorcycle does not have the frame size selection in accordance with the rider's physique, and there is not a fitting theory, and the dealer does not provide even the service of fitting to fit the rider, The situation in which the safety is impaired by the operation of the motorcycle which does not fit the rider is overlooked.
The manufacturer should provide optimum maneuverability and safety, and should provide the physical information of riders that fit each motorcycle they sell and publicize the recommended fitting information.
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