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  GRA

いつまでも、楽しく、安全な、オートバイライフの
環境作りに必要な事を、4項目に分けて解説します

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Common sense and insane

オートバイ ライディングの基本は、リア サスペンションにあります。
バンク角をコントロールして旋回するのも、アクセル操作で駆動力のコントロールをするのもリアタイヤ(ホイール)ですが、そのリアタイヤを路面にきちんとグリップさせ機能させる役割は、“ リア サスペンション ”の担当だからです。
リア サスペンションの正しいセッティングは、タイヤのエア圧調整に次いで、オートバイにとってとても大切です。この講座を参考に、いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフを目指して、適切なセッティングを施してやりましょう。

The basis of the motorcycle is the rear suspension. Let's do appropriate
setting it, for safe and comfortable riding..


  Preload Setting of the
  Rear Suspension


15.『 リア サスペンションは 』 Various types of suspension units

では、リア サスペンションの“プリ ロード調整”は、リアサスペンションの働きを制御している装置「リア サスペンション ユニット」を調整する事で行ないます。

  <注意!>  一部では 「ショック」または 「ショックアブソーバー」と呼んでいる例も
         ありますが、「サスペンション ユニット」 とするのが 適切で正確な名称
         になります


この「サスペンション ユニット」は、オートバイにより取り付けられいる場所は様々ですが、多くの場合にはリアタイヤ(ホイール)の横、またはその前方にあります。
下の画像では、リアタイヤ(ホイール)前方に、長さ 30 p程、円筒形の筒にらせん状のスプリングが巻きついているのが 「サスペンション ユニット」です。

GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実車図 1

上図の サスペンション ユニット の場合、どの部分を調整すると、プリロード調整が
できるかと言えば、下の画像の 「プリロード アジャスター リング」と呼ばれる部分で、調整用の専用工具を使って調整は行ないます。


GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実車図 2

※ この 「プリロード アジャスター リング」での、“プリロード調整”の方法は、
  メーカーの取扱い説明書を参照してください。

※ “プリロード調整”の方法は、サスペンション ユニット によって異なりますが、
  代表的な形式の プリロード アジャスターの調整について、以下の項で可能な限り
  説明をしますから、参考にしてください。

では、オートバイによって異なる サスペンション ユニット の形式と、そのユニットの プリロード調整部(プリロード アジャスター)を、下に掲載の画像で、幾つかの実車の例を画像で紹介します。


GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実車図 3
GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実車図 4
GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実車図 5
GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実車図 6

※ この プリロード アジャスターの形式は、調整形式によって 2種類あります。
  一つは、調整可能な段数が決まっている「段数型」と、もう一つは 無段階で
  プリロード量の調整が出来る「無段階型」です。

※ 上に掲載した 4つの画像の内、一番上が最も多い「段階型」で、残りの 三つ
  が「無段階型」です。

※ このプリロード調整を行なう場合、殆どは専用工具(後で説明します)を使用
  しますが、中には 専用工具が必要でない形式もあります。(上図 3番目の例 )

※ なお、サスペンション ユニット が リアタイヤ(ホイール)の横に付いている
  車両の場合 (上図 2、3番目)、多くは 左右合わせて 2本のユニットがありま
  すので、左右共に同じ プリロード調整 をする必要があります。




16.『 プリロード調整用工具 』 Preload adjustment tools

ここでは、“プリロード調整”を行なう為に必要な、「プリロード調整用工具」を紹介します。

「プリロード調整用工具」は、“プリロード調整”に必要な専用工具で、プリロード調整がオートバイにとって必須の調整である事から、ほとんどのオートバイに標準装備されている “車載工具”の中に入っています。
下の画像で、その“車載工具”の一例を紹介します。


GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 必要な工具 1

上の画像の例では、画像の下段にある 「フックレンチ」と「エクステンション」がプリロード調整用の専用工具です。
「フックレンチ」と「エクステンション」は、車載用のツールセットに収まる長さにする為に二つに分けて収納されていますが、実際に使用する際には二つを組み合わせて使います。

また、事情などによって、車載工具の中に「フックレンチ」などが無くても、安心してください。 同様な「フックレンチ」は市販されていて、サスペンション ユニットの「プリロード アジャスター リング」に合う大きさのフックレンチを手配すれば調整はできます。

では、「リア サスペンション ユニット」 と、それに付いている「プリロード アジャスター リング」、そして「フックレンチ」の組み合わせを、下の画像で紹介します。
また、一緒に、各種の形の「フックレンチ」も画像で紹介します。


GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 必要な工具 2 GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 必要な工具 3

上の画像で、一番上のフックレンチが 標準的なツールセットに入っているタイプで、ここでは「エクステンション」を組み合わせた状態を示しています。
二番目の(黒い)フックレンチは、一般に市販されているフックレンチです。フックレンチの存在を始めて知った人には、オートバイ用の特殊工具というイメージがあるかも知れませんが、オートバイに限らず色々な機械で使用される工具ですから、大型のホームセンターや一般的な工具店などで購入は可能です。

 <注意!> フックレンチには、リング部のサイズに合わせて、様々なサイズが販売されて
        います。プリロードアジャスター リング のサイズに合わせて購入が必要です

三番目と四番目のフックレンチは、市販のサスペンション ユニット を購入した際に調整用の付属ツールとして同梱されているもの。

五番目のフックレンチは、一般に市販されているフックレンチですが、アジャスターリングの大きさに合わせてフック部分が調整ができ、直径 100o 程度までのリングサイズのものであれば、この一本で調整が可能な工具です。
プリロード調整をする機会が多い人には、車体の狭い所で行なう事が多いプリロード調整の場合、この「自在フックレンチ」を調整しながら使えば、正確で確実な調整を短時間で行なえるのでお勧めです。




17.『 プリロードの調整 』 Explanation of preload adjustment

では、実際に「フックレンチ」を使って“プリロード調整”を行なう方法を、下の画像で解説します。

下の画像は、車載のフックレンチをエクステンションと組み合わせて、サスペンション ユニット の プリロードアジャスター リング部に、噛み合わせている状態です。
リング部とフックレンチのフック(突起)部を噛み合わせる作業は、初めて行なう人にとって慣れずに緊張する事ですが、正しく噛み合わせられている事を確認しながら行なう事を勧めます。専用工具ですから、ほぼ確実に作業は出来ます。

また、下の画像の車両の場合は、プリロードアジャスター部の形式は「段数型」です。一般的な「段数型」サスペンションユニットの調整段数は、5段 から 10段程度で、段数を移動させる時には少し大きめな力(腕力)が必要になります。
少し大きな力が必要な事と、段数移動させた直後、勢いが余って指や手をぶつけてしまう事がありますので、ゆっくりと確実な作業をお勧めします。

※ プリロード量の調整を行なう際、サスペンション ユニット を、アジャス
  ターリング側から、その軸方向で見て、時計方向(右回転)へ回すと プリ
  ロード 量は大きくなり、反時計方向(左回転)へ回すとプリロード量は
  小さくなります。

※ 下の画像の場合は、反時計方向(左回転)へ回すイメージですから、プリ
  ロード量を小さくする方向の調整イメージです。


GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実例図 1

GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実例図 2

上の画像は、「無段階型」のプリロード アジャスター リング と、フックレンチ(自在フック レンチ)での プリロード調整のイメージです。

ここで、注意が必要な事がりあます。
それは、上の画像の形式の「無段階型」の場合、プリロードアジャスター リング の他に、「ロックリング」という 2枚のリングがある事です。

GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / 実例図 3

ロックリング」は、プリロードアジャスターリング が 走行中の振動などで緩むのを防止する役割のリングです。ですから、調整の際は以下の点に注意してください。

※ 上の画像の様な 二枚リングの「無段階型」プリロード調整の場合には、
  調整前に ロックリング を一旦緩めて、調整が終わった後に ロックリング
  を締めて、プリロードアシャスター リング を固定する必要があります。


※ プリロード量の調整は、サスペンション ユニット を、アジャスターリング
  側から、その軸方向で見て、アジャスターリングを 時計方向(右回転)へ
  回すと プリロード量が大きくなり、反時計方向(左回転)へ回すと プリ
  ロード量を小さくできます。


ロックリング を緩める方向は、上の画像の場合、リング 側から ユニットの軸方向を見て、反時計方向(左回転)になり、同様にして。締める方向は 時計方向(右回転)になります。


初めてプリロード調整をする人にとっては、上の図の様な「無段階型」の場合には、「段階型」よりも多少難易度は高い調整作業になりますが、「無段階型」の一番の長所は 精緻で最適のプリロード調整が可能な点ですから、より適切な調整を得る事ができますので トライ してください。(段階型では緻密な調整は不可能です)

 <注意!> 15 章の画像で紹介した例(4つの例の内の3番目の画像)の様に、専用工具を
      必要とせず、指先で調整できる形式のプロードアジャスターの場合は、メーカー
      の取扱い説明書に従って調整を行ないます


『 沈み込み量 =“1/3 ”への調整 』
Depressed amount, for 1/3

これで、プリロード調整の作業は、ある程度は理解できたでしょうか?
では、前ページ(7章から14章)までに計測した様に、ライダーが乗車時(1G'時)の 「沈み込み量」「ストローク量」“1/3”になる様に 調整してみましょう。

GRA, リアサスペンション の プリロード調整 / イメージ図 1

リアサスペンションのストローク量
        = 「0G時の車高」-- 「フルボトム時の車高」
 

12章で説明した通り、人間が運動する時の“膝”に使い方と同様に、ライダーが乗車して走行している時には、サスペンションは そのストローク量の “1/3”の量だけ沈み込んでいるのが“基準”です。

13章で測定した「乗車時(1G'時)車高」が、ストローク量 の 1/3 の量だけ沈み込んだ車高になっていた場合は、“基準”通りになっているので、ここでは プリロード調整を行なう必要はありません。が、“基準”は“基準”です。実際の走行環境に応じて、追加でプリロード調整を行なう事はお勧めです。
ただし、“基準”(段数等)は必ずメモして残す事を強くお勧めします。

13章で測定した「乗車時(1G'時)車高」が、ストローク量の 1/3 の量だけ沈み込んだ車高になっていなかった場合には、プリロード調整をお勧めします。
沈み込み量が ストローク量の 1/3 以下の場合には、プリロード量を小さくする方向、つまり 17章の調整画像例では、反時計方向へ アジャスターリングを調整します。
また、逆に、沈み込み量が ストローク量の 1/3 以上の場合には、プリロード量を大きくする方向、つまり 17章の調整画像例では、時計方向へアジャスターリングを調整します。


『 調整作業の後は 』  To do after adjustment work

そうやって、一度 プリロード調整をした後、改めて「乗車時(1G'時)車高」を測定して、基準通りに “1/3”沈み込みになっているかを確認します。
もし、基準通りに “1/3”沈み込みになっていなかった場合には、改めて プリロード調整を行なって、その後で 再度 「乗車時(1G'時)車高」を測定を行ない、基準に合うか近い状態になるまで繰り返します。

そして、調整を完了した後は、必ず プリロード調整結果を残します。
「段階型」の場合には段数をメモして残し、「無段階型」の場合には ロックリング部などの 調整箇所に マーカーを入れて、その調整位置を記録する事を強く勧めます。
調整を終わった後は、作業終了の満足感で一杯だと思いますが、調整結果をきちんと残す事は、もっと適切な調整作業で乗り易いオートバイへと調整を進める作業にとって欠かせない大切な“”なのです。


< 解説文章と画像 :小林 裕之
 < texts and images : Hiroyuki Kobayashi >
 




● 次ページで『 あとがき / 苦言・提言 』を解説します

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