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  GRA

いつまでも、楽しく、安全な、オートバイライフの
環境作りに必要な事を、4項目に分けて解説します

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Common sense and insane

オートバイ ライディングの基本は、リア サスペンションにあります。
バンク角をコントロールして旋回するのも、アクセル操作で駆動力のコントロールをするのもリアタイヤ(ホイール)ですが、そのリアタイヤを路面にきちんとグリップさせ機能させる役割は、“ リア サスペンション ”の担当だからです。
リア サスペンションの正しいセッティングは、タイヤのエア圧調整に次いで、オートバイにとってとても大切です。この講座を参考に、いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフを目指して、適切なセッティングを施してやりましょう。

The basis of the motorcycle is the rear suspension. Let's do appropriate
setting it, for safe and comfortable riding..


  Preload Setting of the
  Rear Suspension


18.『 あとがき 』 Afterword


〇 歴史と進化  History and evolution of rear susupension

 

オートバイが発明された100年と少し前、最初の頃のオートバイは自転車とあまり変わりなく、リアサスペンションさえありませんでした。しかし、現代ではほとんどのオートバイにはリアサスペンションが装着されています。
  
それは何故か?
この第18章まで、解説を読んだ人にはきっと理解できるでしょう。
  
当然、乗り心地を良くする事は当初の大きな理由の一つですが、それと同時に操縦性を確保するための役割が大きくなっていった事が理解できるでしょう。

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 1

1910年代、オートバイは乗り心地と操縦性、安全性の確保のために、タイヤのエアボリュームを大きくして対処しています。未だ サスペンションも無く、自転車と変わらない姿ですが、当時のエンジン性能と路面状況を考えれば充分だったと言えるでしょう。

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 2

1920年代、路面状況に大きな変化はなく、未舗装路やデコボコ道が多い状況の中、エンジン出力の向上に伴い常用速度が上昇するにつれ、操縦性や安全性を確保する為に、フロントにサスペンションが装着されるようになりました。しかし、そのストローク量は少なく、リアは従来通りの自転車同然のままでした。

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 3

1930年代第二次世界大戦前、レースが数多く開催されるようになり、航空機技術の発展に伴って、エンジン出力は更に高まり、車体構造にも変化が表れて、自転車のような姿から脱皮するまでになりましたが、未だにサスペンションの重要性は理解されず、リア側の乗り心地を サドルクッションでカバーしていた時代です。

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 4

1950年代、世界大戦のブランクを経て、市民生活の場にもオートバイが登場するようになり、技術開発の恩恵もあり、ようやく前後共に オイルダンパーを伴ったサスペンションが装備され、さらに現在のオートバイに近い姿になっています。しかし、サスペンションのストロークと能力は低く、サドルクッションを見るだけで、乗り心地の確保に大きく配慮した設計が見て取れます。

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 5

1970年代、 日本でも道路の舗装率も徐々に向上し、それまでは通勤や商用利用が主だったオートバイから、趣味としての高性能オートバイが多く販売された時代でした。毎年の様に向上を続けたエンジン出力と較べて、タイヤのグリップ性能の向上が追い付けない状況が課題となり、タイヤのグリップ性能の正しく発揮させるためのサスペンション開発が進み始めたのもこの時代からと言えます。

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 6

2000年代、エンジン出力は人間が扱える限界域に近づいた事と、環境や資源の課題から向上の歩みを止め、それに代わってタイヤのグリップ性能は向上を続け、それと同時に、1990年代の純粋レーサーよりも大きなバンク角を許容する程に車体設計技術が進み、それらの性能を正しく発揮させる為に欠かせない装置として、リアサスペンション は更に大きな役割を果たしています。

   *   *   *   *   *   *

こうして発展してきたリアサスペンションですが、その役目と重要性を忘れ、ライダーだけでなく、メーカーや販売店、メディア各社は、リアサスペンションの性能を正しく発揮させる為の知識や情報を評価せず、あたかも ファッション の一つとして扱っている事に違和感を感じます。

リアサスペンションは、タイヤの次に オートバイにとって大切な装置です。
正しい知識と情報を得て、調整・セッティングを施し、そこから得られる体験をフィードバックさせながら、オートバイを楽しむライダーが増える事を願っています。


 



19.『 補足説明 』 Supplementary explanation


〇 車高の呼び名・条件別の名称 Condition and name about vehicle height

 

サスペンションが伸びきった状態を一般的に 0G (ゼロジー)と呼び、ライダーが乗車した状態(両足はステップ上)を 1G’ (ワンジーダッシュ)、サスペンションが一番縮んだ(沈み込んだ)状態を フルボトム(または 残ストローク)と呼びます。 (別の講座でも用います。覚えておくと便利です)
 

 

〇 非乗車時は「1G」 1G when not boarding

 

ちなみに、オートバイの前後タイヤを接地させて直立した状態は 1G(ワンジー)と呼びます。(ライダーは乗車していない状態で、メーカーでの基本設計状態です)  

 

〇 基本は リア The basic is from the rear

 

オートバイの基本はリア(リアタイヤ&リアサスペンション)です。
別記事で「リアの車高調整」でも解説しますが、適切な「プリロード調整」が施されてない車両では、リアタイヤのグリップ(トラクション)や運動性、安定性が十分には得られない恐れがあります。
 

 

〇 欧米向け大型車両の場合 In the case of a large motorcycle for Europe and America

 

欧米向けの大型二輪車の場合、二人乗車で荷物満載&高速走行が前提に設計されている事が多く、日本人で小柄な人の一名乗車には最適な設計となっていない為、今回の基準とした “1/3”での調整が出来ない場合があります。
そうした車両に乗る人の中には、プリロード調整を最弱にする他に、可能であれば、スプリング自体をよりスプリングレート(バネ定数)の低いものへの交換もお勧めです。 (スプリング交換については、別記事で掲載します)


 

〇 より適切な調整には For more appropriate adjustments

 

ほとんどのオートバイでは、沈み込み量を ストローク量の“1/3”に調整するのが適した調整であり“基準”です。仮に、どうしても “1/3”調整ができなくで、その車両の能力を適切に発揮させたい場合には、リアサスペンションのスプリング(バネ)の変更をお勧めします。 (スプリング交換については、別記事で掲載します)
 

 

〇 フロント の プリロード調整 About preload adjustment of front suspension

 

フロントサスペンションの「プリロード調整」(イニシャル荷重の調整)は、リアサスペンションの場合以上に繊細な調整が求められます。その理由は、フロントサスペンションには、車体の進行方向を調整する働きが、リアサスペンション以上に繊細な働きが求められているからです。それは、ライダーが感覚器官として敏感な指先を通じてフロントサスペンションを動きを感知している事と深く関係があります。
そのため、フロントサスペンションのプリロード調整は、リアサスペンションの場合の様に“1/3”調整というレベル以上に配慮が必要であると理解が必要です。(フロントサスペンションのプリロード調整機構が無段階型が殆どなのも同じ理由です)

別記事で解説を掲載する予定ですが、同じオートバイで同じライダーの場合、最もバランスの良い“プリロード量”(装着時、最初にかけておく荷重量)は“一定の値”になる事が多く、フロントスプリングを変更した場合にも、その値をプリロード荷重として設定すると良い結果が得られます。
 

 

GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 7



20.『 苦言・提言 』 Candid advice and proposal


◆ 足着き性(足の着きやすさ)について About foot landing


 

オートバイを購入した後で、足着き性(足の着きやすさ)をよくする為だけに、リアサスペンションのプリロード調整を行なっている事例を見かけます。

しかし、それはオートバイ本来の能力が正しく発揮させられず、安全性を損なう事に繋がる恐れがある事を理解すべきです。
ライダー自身の快適性や安心感を優先させて、本来の安全性を損なったり周りの他者の生命や健康を脅かす危険性を無視する事はやってはいけない事です。

また、同様に、足の着きやすくする為の改造記事を掲載するメディアや、体格の小さい人の為に、安易に車高だけを下げる調整を行なって、操縦安定性と安全性への配慮や説明をせずに販売する販売店はモラルが欠如しているとしか言えません。

リヤの車高を基準以上に下げた場合には、リアタイヤのグリップ性能を充分に発揮し難くする原因になり、走行中の転倒を引き起こしやすくな原因になります。
また、フロントの車高をメーカー設定値より下げた場合には、もっと深刻です。
単に、操縦性や安定性を低下させて思い通りのライディングがし難くなる以外に、緊急時に急ブレーキなどを使用した際には フロントタイヤの方向安定性を失いやすく、コントロール不能による転倒、重大事故を招く大きな原因になります。
(リヤの車高と、フロントの安定性については、別途解説記事掲載します)


 

◆ モラル無き改造 Remodeling without morals


 

一部の販売店では、小柄な女性にオートバイを販売する目的で、リアサスペンションのプリロード調整部を改造して、リアの車高を適正値以上に大きく下げた状態で販売している例が数多くあります。
中には、本来の調整が不可能な改造を施した例も少なくなく、オートバイ本来の安全性や運動特性を大きく損なっています。 しかも、その改造によってもたらせる危険性を十分に告知せず販売されている例が殆どであり、ライダーの安全性を最大限保障するメーカーおよび販売店は決して行なってならない行為です。
 
しかし残念ながら、現状はメーカー指定の販売店でさえ行なわれている行為であり、その改造を謳った広告を目にしているメーカー、そしてオートバイ雑誌業界の全てが問題提起さえしていません。
 
この様な状況を見る限り、オートバイの設計・工作技術は一流であっても、生活の中で必要なオートバイ文化は一流に至っていない点が多くあると言わざるを得ません。

 

 

◆ メディア、良識に欠ける情報 Media and information without good sense


 

同様に、一部のオートバイ雑誌ではオートバイのセッティング記事を掲載していますが、それらの記事では一様に「 オートバイ・○○車は、プリロードは ◇◇mmが最適 」などと、プリロード調整からダンパー(減衰力)調整など、「 これが、ベストセッティングだ! 」などと、誤った無責任な書き方ばかりが目立ちます。

今回のプリロード調整でもそうですが、セッティングとは乗る人の体格や体重に合わせてオートバイとのバランスを取る作業ですから、乗る人が違えば(セッティング)調整値は異なるのが当然です。仮に、そういう事を無視したまま記事を掲載しているとすれば、良識が疑われる事柄です。

 

 

◆ 私達・ライダーがすべき事は What we, riders should do


 

では、私達ライダーが成すべき事は何でしょうか。
それは、 いつまでも、楽しく、安全に、オートバイライフを楽しむためには、より正しい知識を得て、多くの意見や体験を共有し合い、家族や知人達との環境を作る事に情熱を注ぐ他に無いと、私達・GRAは考えています。

そのために、私達・GRAは提案と情報発信を続けていきます。




< 解説文章と画像 :小林 裕之
 < texts and images : Hiroyuki Kobayashi >


GRA、リアサスペンション、プリロード調整、真価と歴史 8

 



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