最初に伝えたい事は、私自身は今も「ジムカーナ」を愛しているという事です。
それは、私にとっての「ジムカーナ」とは、初心者のライダーが、市販されているオートバイのまま参加出来て、オートバイが持つ様々な優れた運動特性を活かし、思いのまま創意工夫して最適な走行ラインを見つけ出す知的ゲームであり、観ている人達も一緒に楽しめる芸術だと信じているからです。
それ故に、1991年に GRA を設立した当初から、“ ジムカーナ文化の創造 ”を活動目標に掲げて、積極的に 講習会や練習会の企画・開催運営から、北海道から沖縄の全国を転戦するシリーズ戦の企画・開催運営を行ない、同時に過剰な改造を抑制する『車両レギュレーション』(1993年)の制定などを通じて、適正と考えるジムカーナの普及活動に努めてきました。
ただ、その一方で、他団体が開催するジムカーナでは、エンジン本体から外装全般に及ぶ大幅な改造がされた車両で、初級ライダーには完走が不可能な程にタイトなセクションと、創意工夫の余地の少ない単純な走行コースで、単にタイムだけを争う競技として広められていきました。
それは、私達の信じる「ジムカーナ」とは異なり、美しさや創造性に欠け、広く一般のライダーだけでなく社会全般に対して誤ったイメージを伝えてしまう面があり、それは私達の活動の目的さえ誤って受け取られる事に繋がります。
そこで、「ジムカーナ文化の創造」という当初の活動目標から、別の方向への模索を行ない続けて、2010年の『 第3期・脱皮計画 』で “ いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフ環境の実現 ”と“ そのオートバイ環境を創る活動をする人の育成 ”へと方向転換を行なって参りました。
『 第3期・脱皮計画 』以前から、「ジムカーナ」という文字は活動目標やイベント企画内容から外れていましたが、未練がましかったのでしょう、ようやく 「ジムカーナ」の文字を“名称”と“目的”から正式に外す決断に至った次第です。
これからは、私達が信じる「ジムカーナ」で培ったオートバイライディングの楽しさや美しさを、オートバイの物理的な法則や機械的な原理を交えながら、初級ライダーからベテランライダーまで、市街地走行からツーリング走行で確実に役立つ情報やヒントの発信を行ない、ライダーと周囲の方々を含めて“ いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフ ”の提案に努めて参りますので、どうぞ 新生・GRA の今後の活動にご注目とご期待・ご関心のほど、宜しくお願いします。
NPO法人 GRA 代表理事 小林 裕之
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