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YOKAI's murmur
 



成長し続けた“救急セット”
   
Ever-growing First Aid Kit


GRAの各種機材の中で、“救急セット” ほど、GRAの「全員スタッフ全員参加制」の意図を遥かに上回り、有志の人々によって受け継がれた “こころ”が見える器材ははありません。 そんな有志のあふれる “こころ” に応える為にも、GRAは活動を続けていきます。

Among GRA's various equipment, there is nothing like the "first aid kit" that exceeds the intention of GRA's "all staff participation system" and feels the "heart" inherited by volunteers. GRA will continue its activities in order to respond to the “heart” of such proud volunteers.



■ 一箱の “救急セット” ■ A box of First Aid Kit


GRA の備品の中で、GRAの精神(こころ)をよく表していて、僕が最も誇りを持っている物の一つが、この “救急セット” です。 見た目は決して美しくはないコンテナケースと一本のゴムロープがセットになっている姿こそ、この “救急セット” が辿ってきた 10年以上の歴史を表しているのです。


成長し続けた 救急セット GRA


その理由は、GRAの備品の一つでありながら、一度もGRAの事務所に置かれた事は無く、管理担当者も決めず、特定できない多くの人々によって受け継がれ、その間に内容物が増えて、成長し続けたからです。







■ 全員スタッフ 全員参加制 ■ All Staff All Participation System


GRA の運営方式の中で、他の同様な運営団体の運営方式と大きく異なる点は “全員スタッフ、全員参加” 方式を採用していた点です。 これは、名称の如く、イベントに参加した全員が何かのスタッフ職に就き、同時に参加した全員がタイムトライアルを含むイベントに参加する事を決めたものです。 従って、一般的なイベントでよく見かける「専任スタッフ」は一切置かず、当然、イベント開催活動全体を運営している “事務局スタッフ” さえイベント開催会場には一切現れない事も当然だったのです。 それほど、「イベント運営は、イベントに参加した者が全員で責任をもつもの」という意識を徹底させたのです。

GRA 全員スタッフ全員参加制

しかし、この “全員スタッフ、全員参加制” には克服すべき弱点がありました。それは、イベントで使用する「パイロン」やタイム測定用の「光電管セット」、そして「受付セット」や「救急セット」など、GRA専用の備品の管理方法です。そして、管理方法の中で、特に問題になったのは “誰が持ち帰り、誰が次のイベントに搬入するのか” という事でした。つまり、専任の管理スタッフはいないので有志が持ち帰るしかなく、参加者の中から有志を募り、持ち帰って個人宅で保管するのを原則にしていたのです。 それは、月に 1回程度のイベント開催であっても面倒なコトですが、GRA は年間で40回を超えるイベントを開催していたので、普通に考えれば、とても大変に面倒なコトであった事は間違いありません。

それでも、どの器材もきちんとリレーが続き、特に、“救急セット” は “誰かが持ち帰り、次のイベントに搬入して、次の誰かが持ち帰る” という受け継ぎの中で、小さかったモノが大きく成長していった結果のコンテナケースであり、オートバイで運ぶ為のゴムロープ 1本なのです。







■ 成長する “救急セット” ■ Growing First Aid Kit


実は、“救急セット” の誕生については、事務局を運営する僕は殆ど覚えがありません。恐らく、1991年か1992年頃、有志の人が自発的に救急セットを作ってくれたのだと思います。 最初は、画像の左手前に写っている、赤い樹脂製ボックスで始まっていた記憶がありますが、それが次第に増え、スプレー剤や三角巾などが加わり、より大型のケースが必要になり、その時の有志が新しいコンテナケースを誂えてくれたのだと思います。
勿論、購入に必要な費用は GRAで負担しており、イベント当日の当日の会計担当(全員スタッフ制による)が領収書と引き換えに代金を支払う仕組みにはなっていました。が、その対価以上の労力や献身的行為があった事は、ケースの中味を見ただけで一目瞭然です。


成長し続けた 救急セット GRA


「パイロン」や「光電管セット」、「受付セット」の様に、イベント開催毎に必ず使用するわけでもなく、「パイロン」や「光電管セット」の様に全員が共有できる “有り難さ” も無く、どちらかと言えば日陰モノ的存在の “救急セット” を受け継ぎ、守り育ててくれた多くの人々の存在に感謝しています。







■ 自身の為に、他の人々を支援する人 ■
 
A Person who Support the people around him for himself


僕は、オートバイを上手に乗れるだけではその人を尊敬しません。 一番速く、圧倒的に速く走れる人だとしても尊敬はしません。まして、イベントに熱心に参加して、熱心に練習に励んだとしても、それは参加した人全員同じで、どんなに人だったとしても尊敬はしません。 尊敬する人は、“ 自分自身の為に、周囲の人々を支援する人 ” であり、自分自身の為に自分自身を応援する事は、多くの人が行なっている事だからです。

僕は、GRAを始めてからだけでも 30年以上が過ぎ、とても多くのライダーや人々と出逢い、様々な支援を受けながら活動を続けてきました。GRAの活動を支援をして下さった個人や法人と担当者の方々など、名前や顔を覚えている方々は多いのですが、それ以外にも、氏名や顔も知らずに GRA活動を支援して下さった方々も数多くいらっしゃる事は充分に認識しています。


成長し続けた 救急セット GRA


特に、この “救急セット” が イベント開催毎に有志によって受け継がれ、誰か有志の支援で内容物が充実し、誰かのお蔭で 開催会場近くの救急医療機関の連絡先や道案内パンフが増えていき、それをまた、誰かが持ち帰るという “自身の為に 他の人を支援する” の心が受け継いできた方々を尊敬していますし、そんな方々と出会えた事を誇りに感じています。


成長し続けた 救急セット GRA


GRA
の現在の活動では、この “救急セット” が稼働する機会が殆どなく、いづれ廃棄する事も検討しています。が、こんな “救急セット” があった事を、そんな有志の人々の受け継ぎがあった事を、関心ある多くの人に知って欲しくて記事にしました。

そして、こんな “誇れる人々” の為にも GRA の活動を続けていく考えです。当時とは 活動内容も変わり、有志の人の年齢も増しているでしょうが、何かの機会に 現在の GRAの活動を閲覧して貰えた時、参加して支援した事を誇りに思ってもらえる様にしたいし、それが使命の一つだと考えています。


成長し続けた 救急セット GRA









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