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YOKAI's murmur 



ゼッケンの手紙
Letter of Bibs



   
   勝手に始めたGRAだけど
   思いもよらぬ多くの寄付と、
   想いを繋ぐ人々の支えに恵まれ続けた
   そんな鎖の様な奇跡を無駄にしないために
   もっと先へと歩みを進めているつもり、でも ・・
   時々、鎖の一コマを見つめて、立ち止まってしまいます


『 寄付されたゼッケン 』 Dominated bibs

GRAは、発足させた 1991年以来、開催イベントでは常にゼッケン(ビブ)を使用し続けていました。 と言っても、購入したものではなくて、「 無いと困るでしょう 」と寄付して下さった方(参加者)に恵まれたお蔭だ。
それ以来、イベント開催の度、多い時には 年間 40回近く使い続け、紐がすり切れる頃になると 「古いと困るでしょう」と新しいゼッケンの寄付を下さり、最大 150番までのゼッケンに恵まれてきて、様々な人の手を経て守り継がれてきたのです。
 
 


   
  
  

『 全員スタッフ・全員参加の精神で 』All-staff and all-participation

GRA では、“全員スタッフ・全員全員” という制度を導入して、イベント運営の為の専任スタッフは一切設けず、当日の運営の事は当日の参加者全員で分担して(予約段階で事務局側で経験や能力に合わせて事前に指定)イベント運営を行なっていました。
この考え方はイベントで必要な機材の管理でも応用していました。パイロンやパソコン、コーステープやガムテープ、救急セットなど、イベント開催に必要な機材は全て参加した人が持ち帰るシステムにしていて、ゼッケンも当然ですが参加した人の中で自ら担当して下さる人を募っていたのです。
次のイベントに参加する予定の人であれば良いのですが、予定の人と自ら立候補してくれる人が同じなるとは限らないので、ゼッケンもパイロンも 三分割にして持ち帰ってもらい、例え 1/3 の数の器材でも運営できるシステムだったのです。





 
 
 

『 機材のケアは 』 Care of equipment

ただ、器材のケアとなるとゼッケンは多少手間が必要です。 パイロンであれば、雨のイベントで濡れたままでも、持ち帰ってくれる方(主に トランポ組)にとっては問題は少ないのですが、ゼッケンはそういう訳にはいきません。 そうです、濡れたままでは カビる事になるので、洗濯とアイロンをお願いしていたのです。
発足当初から “全員スタッフ・全員参加” という開催当日の専任スタッフは配置しないシステムで慣れてきた参加者の方々によって、そういう器材の持ち帰りから、持ち帰りの声掛け(機材の事情や持ち帰りシステムの説明) を常に誰かが自発的に行なってくれるという、大変に恵まれた人々によって引き継がれたゼッケンです。
 
 



  
    
  

『 時が移り 』 As time goes by

ただ、活動形態が変わって、ゼッケン(ビブ)は徐々に使わなくなり、倉庫の片隅に眠ったままになり、今年の GRA総会で 使わなくなっている資機材の廃棄が可決されたのです。
そこで、機会を設けて、少しずつ 処分を進めてはいるのですが、今日、久し振りにゼッケンを収めているケースを開いて、思わず、手が止まってしまいました。
  
  
  

『 A4 二つ折りの手紙 』 Letter in a box

実は、今日、廃棄の手配に向けて保管ケースを開けて確認すれば、A4 の二つ折りの手紙を見つけ、それには次の言葉が書かれていたのです。

「 ゼッケンの洗い方
 一度に洗濯機に放り込むと絡まって大変な事になります。またアイロンかけるのも、
 番号順に揃えるのも大変です。
 そこで、ゼッケン洗濯の奥義を伝授!
 1) 2つの洗濯ネットを用意し、ネットに半分づついれて洗う
 2) アイロン掛けは少し濡れている時に裏表を合わせ、引っ張りながら一度に掛けて
   しまう方が綺麗に速く仕上がる
 これであんたもゼッケン洗いの名人 ! 」
  
  

  
  
持ち帰りに立候補して下さった方々が、適宜、必要に応じて洗濯をしてもらっている事は知っていましたが、こんな紙で手配してくれていた事は全く知りませんでした。
そして、誰がこんな風に手をかけてくれたのかも知りません。

この紙を見つけた時、思わず胸が詰まってしまって、ダンボール箱に入れる作業さえ出来ませんでした。もちろん、器材はゼッケンだけではありません。100本を軽く超える数のパイロンに始まり、タイム計測用の光電管セット、3セットの肩下げ式ハンドマイク、計測結果の入力と出力用のパソコンとプリンターセット、転倒者の為の救急医療セット、3セットのテーブル&チェアセット等、イベント当日に必要な機材全てを参加者が持ち帰り、もし次のイベントに参加出来ない時には参加予定の人と連絡を取り合って受け渡してくれて、そういう人達の表には見えない支えでイベントは運営していたのです。

つくづく、素敵な人達と、すごい事をやって来た事を実感させられています。
  
  

Since GRA was founded on my own initiative, I wasn't fully prepared to arrange the equipment needed to run the event. However, thanks to the bibs donated by people who sympathized with what we were doing at GRA, we were able to continue holding the event for decades to come.

In addition, the GRA has introduced a system where everyone is a staff member and everyone is a participant in the event, so that there is no full-time staff member to run the event, but rather everyone who participates in the event cooperates in sharing the staff positions necessary to run the event.

I took it for granted that such equipment and systems existed, but I stopped holding events, so one day when I was disposing of the equipment, I opened the box containing the bibs and entered it. I read the letter I was using, so I stopped the disposal process.

This was because we had also adopted a system in which people who participated in the event cooperated to take home and care for most of the equipment needed to run the event, and someone who brought home a bib had put in a letter with detailed instructions on how to wash and iron it.

I didn't know that such a letter existed, and I didn't know who made it, but I was really moved by the fact that I was working with such wonderful people to run the event.










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