先月に発生したエンジントラブルは完全解消していないというのに、
何故か? 長年の宿題か? エンジンマウント用ボルトを購入しました
『 はじめに、家電品の話 』 Introduction, about Home Applianaces
皆さんの身の周りに数多くある家電製品、その家電製品がトラブルを起こして使えなった経験は殆どの人が経験しているでしょう。実は、その故障原因の多くは配線や電子部品を基板などとハンダ等で接続している箇所で発生している事はご存知だろうか? 電気回路の接続部という単純な箇所が経年変化による劣化が進み、それが接触不良に繋がって作動不良を時々起こしてしまったり、完全に使えなくなるトラブルの原因になっているのです。
実は、それはオートバイの場合も同じ事が言えるのです。
エンジンやフレーム、サスペンションなどを固定し接続している箇所の部品、つまりボルトの経年変化による劣化が高価な部品より一番早く進むのです。この変化は徐々に確実に毎日進むので、多くの人は気付かないでしょうが、オートバイ全体の品質レベルを徐々に確実に落としている原因となって、最悪の場合は走行不能の原因にもなるのです。つまり、オートバイの劣化はボルトから始まり、ボルトの品質を上げるとオートバイの品質も上がるのです。
『 エンジンマウント用ボルト を購入 』 Bolts I have purchased
エンジンマウントボルト とは、エンジンをフレームに固定しているボルトの事で、通常は エンジンを側面から見て 前後 3から4ヶ所、左右分割している時には合計 6〜8本ほどになる。

エンジンマウントボルトは、ホイールを固定しているボルト(アクスルシャフト)を除けば、オートバイで使われているボルト類の中で最も太く剛性の高いボルトが使われている。 と言ってしまうと、エンジンとフレームはしっかりと固定しておくものだ! という誤解されてしまうと思うけど、実はそうでもない。
エンジンは駆動力を生み出すオートバイの中で一番大きくて重い部品で、フレームはオートバイの操縦性を決めるサスペンションを取り付けてある部品で、別々の役割があるから、お互いの役割を邪魔しない様に適度に変形して揺れる関係が求められている。だから、エンジンマウントは前後に離れた 3〜4ヶ所だけで固定して、一番太いボルトが採用されていないのだ。
逆に、エンジンとフレームをより強固に結び付け・固定してしまうと、例えば 後付けのエンジンガードなどでエンジンとフレームとの間で固定したり、フレームの前後方向で固定する様なエンジンガードを装着したりすると、操縦性に大きく影響を及ぼして、多くの場合は乗り難い車両になる程だ。
それほど、エンジンマウントボルトは繊細で微妙なバランスを担当している大切な部品で、今回はエンジンの前方のエンジンマウントボルトを、画像の 材質が SCM435、強度区分 が 12.9、 クロームメッキ 仕上げのボルトに交換する予定。

『 ステム、振動の悩み 』 The vibration of the stem is a problem
実は、トライアンフのトラ君には、新車で購入以来、大きな悩みがある。
その一つが、フレームのステム部(フレームの最前部、ステアリング軸が固定される箇所)の剛性が不足している現象に悩まされている。
どういう現象かと言うと、走行時にステム部が振動し、その振動が安定性に悪影響を及ぼしているのだ。もちろん、ステム部はどんなオートバイでも必ず振動するが、その振動幅が大きく、振動方向が縦方向で、振動数が低いから悪影響が大きく出ているのだ。 直立・直進走行時には 直進安定性を損ない、大きな路面衝撃を受けるとフロントサスペンションが大きく揺れ出して止まらない縦チャタリングを誘発しまうのだ。この原因は、主に ステム部の後部、左右に大きく開いたフレームの形状や太さなどによって生じている 剛性不足だと考えている。

例えば、ヤマハ車はステム部の振動を感じやすい設計が目立つが、振動方向は横方向の成分が主で、振動数も 400Hz 以上なので、サスペンションやタイヤとの共振は起き難い記憶がある。 しかし、初期型ストリートトリプルの場合は、縦方向の振動で、240 Hz 程度の振動数なので、サスペンションやタイヤとの共振を起こしやすく、スプリングのレートによっては直立走行時でも大きく 縦チャタリング・バウンシング を実際に数度体験している。 その為、0.6 Kgf/mm 付近のレートのスプリングは選択できない現状だ。
この振動の悪影響を避けるには、0.75 Kgf/mm 以上のレートのスプリングを採用する事と ステアリングダンパー を装着する事である程度抑制できる。 実際、標準仕様の スプリングは 0.8 kgf/mm 以上の レートを採用しているし、姉妹車・デイトナ 675 は ステアリングダンパー を標準装備している。
『 対策 』 Resolutions
本来ならば、ステム部のフレーム剛性を高くするか、ステアリングダンパー を装着する事で対処するべきだが、現車のステムの後部で大きく左右に開いたフレーム部に補強材を入れる事は僕の工作技術では難しいし、部品取り車・デイトナ675 から ステアリングダンパーを移設すると操縦性・レスポンスが悪くなる事が予想される。
だから、エンジンマウント ボルトの材質を変更して、フレームとエンジンとの間の関係を変えてやろうという企てだ。 実際、エンジンの シリンダー背後で固定しているエンジンマウントボルトは SMC435 材質のボルトに変更して、穏やかな特性になった事は確認済みだから、今度は シンダー前部で固定しているボルトも 同様に変更して、ステム部の振動特性を少しでも変更できればと考えている。 場合によっては、締め付けトルクを色々な値に変更して、その特性がどう変化するかを探ってみようと考えている。その為にも、ボルトの性能は高めておきたかったのだ。

エンジントラブルを解消した後になるが、この交換はとても楽しみに期待している。その為にも、エンジントラブルをきちんと解消しなくては!
『 最後に、下着の話 』 At the end, about Underwear
皆さん、特に日頃から服・衣類を身につけている人を対象にした話をします。
皆さんの経験で、衣類の中で一番早く傷んでしまう衣類は何でしょうか? 恐らく、ほとんどの人は「下着」だと答えるでしょう。決して、多くの機会で他人に見せるモノではありませんが、長年に亘って同じモノを身につけ続けている人も多くないのが「下着」ですが、実は「ボルト」も同じだと思うのです。
もちろん! 皆さんは毎日の様に、きれいに洗濯した「下着」と交換しているでしょう。仮に、何かの都合で、毎日同じモノを身に着けざるを得ない時があったとすれば、決して快適で気持ち良い日々にはならず、デートはもちろんの事、選択できる行動範囲がぐっと狭くなる事は体感しているでしょう。
そして、もし、その「下着」が汚れたり、汚されたりしたら、更に現実生活は悲惨・悲壮にもなるでしょう。実は、オートバイも同じ体験をしているのです。
「ボルト」は、外す(脱ぐ)たびに洗濯・クリーニングをして、ヨレや変形をチェックしてから再び着けるのが常識です。仮に、それをしないで装着すると、ボルトを装着するボルト穴を汚し、傷付けるだけでなく、正確なトルク(力の大きさ)で締め付ける大切な管理さえ出来ないのです。
しかし、現実には、プロと呼ばれる人々さえその作業をしないばかりか、時には、外したボルトを床に直接置いたり、汚れた指で触って、外した時よりも汚してから装着している光景は珍しい事ではなく、オートバイは決して良い気分になる筈もなく、装着した部分を確実に劣化・破損させているのです。
暗い話はここまでにして、良い「下着」の話に戻しましょう。
良い「下着」とは、身体にフィットして吸湿性が良く、身体の動きを妨げないしなやかさがあり、肌触りが良くて、型崩れし難く、肌に跡を残さず、化学薬品などによる炎症など肌への攻撃性の無い「下着」が最高でしょう。でも、高級ブランドの製品が常にその期待に応えてくれる訳ではなく、そんな「下着」に出会う機会にも中々恵まれないものです。
しかし、「ボルト」の場合は必ず良いモノに出会えるのです。
特に、大きな力を受け止める場所に使われて、単に頑丈さだけではなく、他の部品のしなやかな動きを妨げず、決して他の部品を攻撃せず、高い耐久性の「ボルト」は簡単に手に入ります。
今回、入手したボルトの材質は SCM435 という名称で、鉄(Steel)の優れた弾力性に、クローム(Crome)とモリブデン(Molybdenum)を加える事で高い強度と靱性が特徴で、エンジンマウント用ボルトの他、フロントフォークを上下ヨークで固定しているボルトに必要な特性を高いレベルで満たしているのです。
その上、肌触りを良くして、相手部品を傷めず、高い耐久性を備え、適切な締め付けトルク管理を実現させる為に、ボルトの表面処理はクロームメッキを選択しています。そして、これ程に最適な「ボルト」ですが、ホームセンターでは購入できないにしても、1本が 270円程で買い求められるのですから、交換しない手は無いと思うのです。
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One of the disadvantages of Triumph Street Triple is the vibration of the stem. The vibration of the stem which seems to be caused by the lack of rigidity of the frame, compared to the vehicle of other manufacturers, the frequency is felt to be low at about 240Hz with a lot of longitudinal vibration.
Therefore, it is easy to occur the co-occurrence with the front suspension, and I have a very scary experience several times when vertical chattering occurs when I run through a large gap on a general road.
The solution to this problem is to increase the spring rate of the front spring to 0.8 Kgf/mm or higher and install steering dampers like the sister car Daytoner 675, but I don't want to adopt either of them because they make it less maneuverable. Accordingly, the engine mount bolt is replaced with a bolt of SMC 435, and the vibration characteristics of the frame are expected to be changed.In fact, the engine mount bolt behind the cylinder is replaced with a bolt made of that material, so you should get a better result by replacing the engine mount bolt at the front of the cylinder close to the stem.
< 解説文章と画像 :小林 裕之 >
< texts and images : Hiroyuki Kobayashi >
【 妖怪ガレージ 日誌】より
http://gra-npo.org/policy/yokai_column/list_youkai_column.html#setting
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