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イベント名 オートバイとライダーのための“クリニック”
開催日

2020年 8月 9日

開催場所

りんくう公園内 特設会場 (大阪府内)


さらに考察を深めて、調整変更中です 一つ疑問が湧きました、また受診させて頂


さらに考察を深めて、調整変更中です

兵庫県   R さん



こんばんは 小林さん
8/9のクリニックありがとうございました

私のX-ADVは、2年ほど乗っておりましたが、
コンビニなどに入る時の縁石で、コツンと音がする
ことに悩んでおりました。
また、高速走行時のリヤの揺れにも悩まされていました。
リヤのホイールトラベル130mmとして43mm縮むように調整しておりました。

そこから、1段程度動かしながらフォークを突き出したりなど
試行錯誤をしておりました。

小林さんの仮説に同意して作業に入りました。
国内仕様ではローダウン効果で、スイングアーム角度が悪くなる
のでEU仕様の位置に合わせるとする方向で調整となりました。
直線加速走行で良い場所を探し7段目or8段目となり
最終的には、私の好みで7段目にしました

 *標準は4段目なので、私の体重では2段目程度になるので  
  今まで5段目以上は試すことすらありませんでした。

 
オートバイとライダーのための、クリニック  ホンダ X-ADV にて 1


 
昼前からの課題 旋回性と加重
小林さんの座学での説明を受けてからの
実走行で普段はなれない動作でしたが
右手のブレーキとアクセルだけで
旋回のコントロールが可能であることを
理解することはできました(力量は追いついてませんが)

帰宅後のX-ADV考察です
 EU仕様  150mm だと サグ50mmになるので縮側100mm
 JP仕様  130mmとするサグ30mmにすると縮側100mmで
上手くいくのでは?

それぞれの段数での数値を測定しました
測定時体重は56kg (ライディング時は62kg程度)
   
段数 0G 時車高
(o)
1G 時車高
(o)
1G' 時車高
(o)

サグ 値
(0G時 - 1G'時)

備考

1

620 588 572 48  
2 620 590 575 45 8/9 朝仕様
3 620 592 578 42  
4 620 595 580 40 出荷時
5 620 598 583 37  
6 620 602 585 35  
7 620 605 588 32 8/9 調整後
8 620 608 590 30  
9 620 610 592 28  
10 620 613 595 25  


なお、バネレートは140.7N-189.2Nらしいです。
(YSSさんに問い合わせした時の情報です)



オートバイとライダーのための、クリニック  ホンダ X-ADV にて 2



8/9朝の時にはフロントが5o突き出ししていましたが、
リヤが13mm上がったので
フロントも上げようと10mm付下げしました。
(フルブレーキで約100mmストロークで1G'で37mm沈みでした。)

かなり、軽快になりましたが 少しフロントからの
ギャップを拾いやすくなった様に感じます。  
様子を見ながら、微調整していこうかと考えてます
結果としてシート高は、810mmまではいってないが800mm超えて
そうな測定値になりました。
両足でつま先立になっておりますが、低速でも安定性が
増しているのか今のところ気にはならない状態です。

以上 ありがとうございました



オートバイとライダーのための、クリニック  ホンダ X-ADV にて 3



【 後日、別便でのお便り】

私のx-advですがパーツカタログとにらめっこです。

プリロードが効きすぎで
良いのか?悩んでます。
足つきは気にはなりませんが、三分の一が足りて無くて良いのかと。。。

リヤのリンクなどは、同じでした。ショックのみがちがうようで4万程度です。
ナイロンで10万ですね。
リンク換えても車高は変わるので、これが良いのか?

フロントフォークは、純正で二十万です。突きだしで我慢です。

フォークには、スラストベアリング入れみたいところです。


オートバイとライダーのための、クリニック  ホンダ X-ADV にて 4

 
 


【 担当講師より 】
 

今回は、とても珍しい車両での受診・参加、お疲れさまでした。
受診予約の際から、この車両で、どんな場面で、どんな風な状態に困っているかを説明して下さったので、クリニック当日を迎える迄に、下調べと幾つかのプランを想定する準備をする事ができました。

そして、クリニック当日の問診と調整案に積極的に取り組まれただけでなく、その後でも、走行中のオートバイのバランスを整える調整と検討に取り組まれている様子に感心させられています。
オートバイを安全に楽しく走らせるには、オートバイ自体のバランス調整とライダーに合わせての調整が大変に重要な事ですから、どうぞ、現在の熱心さのまま、オートバイとの良い付き合いを目指してください。

そして、社会との関わりの『心』と、運動力学に基づいた適切な運転『技』とのバランスも大切です。
どうぞ、次の機会には、バランスの良い『心』『技』との関わりについても、あなた自身が考えている事をお聞かせください。




  *  *  *  * 以下は、調整に関する詳細な回答です *  *  *  * 



≪ 不安要素とその変化について ≫

不安な点はサスペンションに関連していましたが、調整によって、どう変化したのでしょうか?
高速走行時の不安な揺れ、段差を超える際の異音などがどう変化したかが分かりませんので、具体的に細かなアドバイスは難しいのですが、車両・X-ADV の設計や成り立ちと、現在取り組んでいらっしゃる内容から幾つか提案をお届けします。


≪ ホンダ X-ADV について ≫

クリニック当日にも簡単に私の見解を伝えましたが、X-ADV は 主な販売市場である EU 用の設計と仕様を日本向けに変更した車両だと推定しています。そして、最も重要な変更が前後サスペンションストロークの短縮で、それにより 前後共に約 30o 車高を低くさせていると推定しています。そして、その推定が正しいとすれば、その車高低下させる変更によって運動特性や安定性の悪化は生まれている筈だと考えています。
そして、それらの悪癖を改善する最も確実な方法は EU 仕様での運動状態に近づける事だと言えます。


≪ リアサスペンション について≫

最善の対策は、EU 仕様のリアサスペンションユニット に換装する事です。
または、求める サスペンションユニットを 社外製ユニット組み立て販売を行なっている会社へ発注する事ですが、この際には ユニット全長の指定の他に、ユニットの全ストローク量、そして スプリングレートの指定が必要になります(ダンピングユニットは、スプリングレートとストローク量でメーカーお任せ設定)
現状のユニットのスプリングレートを事前に必ず測定と計算で求め、そのレートの 5% アップが妥当だと思います。同様に、日本仕様ノーマルユニットの プリロード段数 2段目でスプリングに掛けていたプリロード荷重が確実に掛けられる構造になる事が必要になります。

社外製ユニット組み立てメーカーが EU仕様のデータを持っていれば簡単ですが、仮に備えていなかったとすれば 充分に細かい仕様を指示出来ないと大きなリスクと一緒に購入する事になるのは確実です。
そこで、ノーマルユニットでの対応について述べると、今回のスイングアーム たれ角を基本にした調整にすべきだと考えています。 スイングアームたれ角が適正でないと、バンク中のアクセル ON・OFF 時はもちろんの事、アクセルを開けての 直立走行時でも 路面の細かな 凸凹に反応して スイングアームが不適切な動きを行ないます。 それによって、リアタイヤの適切なグリップが得られ難くなり、特に 15インチ と小径で方向安定性に欠ける X-ADV の リアタイヤが 左右方向にも不正な動きを見せる筈です。
リアサスペンションをライダーに合わせて 適切なプリロード量に合わせる事は、適切な サスペンションの動きを確保する為に重要な事ですが、それ以上に 適切な スイングアーム のたれ角 をサスペンションに与える事は大切な事だと思います。



≪ フロント サスペンション について ≫

ご存知の通り、オートバイにとって前後の車高のバランスは重要です。
仮に EU仕様 で前後の車高バランスがとれていたとするならば、EU 仕様に近づけた スイングアーム たれ角に合わせて フロントの車高も調整する必要がありますが、既に フロントの車高を高くされた様子で正解だと思います。
その調整幅(値)が明確に記載されていないので断定はできませんが、仮に 15 o 車高を上げる調整であったのなら、かなり大幅な調整だったと言えますが、その結果から良いヒントが見えている様ですね。
と言うのは、フロントの車高バランス点を超えている様子だからです。 ご存知の通り、調整作業とはバランスを整える作業の事ですが、その バランスするポイントは 一つの点で、調整でその点を超えてしまうとそれ以前と全く違う表情を見せてくれます。 今回、車高の偏向によって「 軽快になった 」という事、そして「 ギャップを拾いやすくなった 」(路面変化による フロントの左右方向への反応が感じやすくなった?)という具合に別の位相(フェーズ)へと変化している様ですから、バランス点を少し超えてしまっているという判断は間違いないと思います。 最初は 2〜3 o 単位で変更して確認を行ない、最終的には 1o 単位以下で調整すれば良いバランス点に巡り会えるでしょう。
そして、ここで一番大切な事は、フロントフォークの突出し(突き下げ)量の記録ではなく、1G' 時(乗車時)の フロント車高を正確に計測して記録する事が一番大切です。

本来であれば、EU仕様の サスペンションストローク量の大きなフロントサスペンション ユニットへと換装したいところで、仮に換装した場合でも、ここで求めた 1G'時 フロント車高 へと調整する事が一番初めに行なうべき事です。 また、ストロークアップを求めて、ノーマルのダンパーユニットの換装を行なう場合でも、または より適切な フロントサスペンションの ストローク位置調整の為に フロントスプリングの 換装変更を行なう場合でも、最初に行なうべき事は 求めた 1G' 時車高に調整する事だという事を伝えます。

ここで、一つ 気になる事、疑問に感じている事を書き留めます。
それは、フロントサスペンションの ストローク量の事です。 X-ADV の フロントサスペンションの仕様を調査・確認した時、記憶では、EU 仕様が 150 o 程度で 日本仕様が 120 o 程 との記載記事が多くありました。 が、ご自身の ストローク量確認で 「 フルブレーキで 約 100 o ストローク 」という記述が気になっています。
現行の多くの大型車両では、フロント サスペンション ストローク は 120 o で設計されるのが一般的で、X-ADV の 姉妹車種・NC750 や NM4 など 同様のフレームとエンジンを採用した車両でも 同様の傾向の設計になっていますが、仮に 0G (無荷重時)車高 から フルバンプストローク時車高を差し引いた値、つまり フルストローク量が 100 o であれば 考慮すべき事柄が増えるのです。
フロントスプリングの スプリングレート と 全ストローク量には密接な関係があり、この二つは 良いバランスを保つ事がとても大切で、仮に 全ストローク量 を 120 o で設計した フロントスプリング を ストローク量 100 o の環境で働かせてたなら、エアスプリング 成分とのバトンタッチが上手に出来なくて、ストローク後半の領域で “ 段つき ”“ しゃくり ”に似た症状をフロント サスペンションが 表します。
フルブレーキでの ストローク量確認は、路面状況やブレーキ開始速度、路面温度、そして ABS介入の有無によって 左右されますので、それらの条件を常に一定に合わせる難しさがあります。が、どう測定しても 100 o 程度しか示さないとすれば、ストローク量を 増やす調整は欠かせないと思います。


< 追伸 >

長くなりましたので、ここで筆は置きますが、今回 私が書いた事柄の中で参考になる事があれば、是非、参考にして進めてみてください。 また、不明な事や質問したい事がありましたら、些細な事柄でも精一杯回答に努めますので、どうぞ、変更や調整による変化などを含めて詳しく教えてください。
蛇足になりますが、オートバイの調整・セッティングの面白さを末永く楽しむためにも、『心』や『技』についても 目を向けてる事を続けてください。


                                        小林 裕之









一つ疑問が湧きました、また受診させて頂きたく

兵庫県   D さん



GRA代表 小林様  

申込が締め切り後になってしまったにもかかわらず、8月9日のクリニックを受診させて頂きありがとうございました。  
 
 

 
 
今回は前回受診した際にお話しを頂いたチェーン調整を友人協力のもとで実施したため、その確認とチェーンメンテナンスについて伺う予定で受診しました。
チェーン調整とリアサスペンションのプリロード量調整実施後の確認ついては、概ねバランスが取れているとのことだったので安心しました。協力してくれた友人に感謝です。
次は一人で調整を行いたいと考えているため、次回受診時にアドバイスを頂ければと思います。



 
 
お題2点についてですが、
まず「1.オートバイへのあおり運転と判決内容について」のお題に関しては、このような意見交換は家族・友人でもすることが無いので、素直に意見交換できて良かったです。  

次に「2.オートバイはなぜ曲がれるのか?」の意見交換については、私はバイクに乗り始めてから今まで「どうやって曲げるか?」と考えてきたので、単純に新鮮で楽しかったです。力学的なことは苦手ですが、非常に分かりやすく説明して頂きましたが、受診後、一つ疑問が湧きました。
旋回前に減速し、バイクを傾けた時に減速とタイヤの形状により旋回方向へタイヤを旋回させようとする力が働くとのことですが、フロントタイヤはステムを中心に左右にハンドルが切れる構造になっている(表現が合っていますか?)ため、旋回させようとする力が働き、ハンドルが切れていくため、タイヤが旋回方向へ向いていくのはわかりますが、リアタイヤは構造上、タイヤが旋回方向へ向きません。リアタイヤの旋回させようとする力の実際の理解としては、  


 1.アクセルOFF、もしくはアクセルON(パーシャル)+リアブレーキ使用での旋回は
   車で言うアンダーステア =>リアタイヤが旋回方向へ力を使うため、バイクを押す
   力が働かない  

 2.アクセスON(リアブレーキ不使用)は車で言うオーバーステア =>リアタイヤが
   旋回方向と逆の方向へ力を使うため、バイクを押す力が働く でいいのでしょうか?
 
 

 
 
また受診させて頂きたいと考えておりますので、その時にでもお話させて頂ければと思います。

当日は暑い中、ありがとうございました。





 


【 担当講師より 】

今回は、前回参加時にチェーン調整が適切にされておらず、車両に跨った状態で既にチェーンの遊びが無く、その為 リアサスペンションの動きが阻害され、プリロード調整さえ適切に出来ない状態から改善されたとの事で、実際に走行時の車両の安定感も増している事が確認できて安心しました。当クリニックを新しく受診される多くの方の車両は、本人の自覚は一切無く、殆どの場合、今回と同様にチェーンの遊びが無い不適切な調整がされている程ですから、どうぞ他のお知り合いの方の車両へのアドバイスに活かしてください。

更に、車両の整備への意識以上に、社会との関わり方を考える『心』と、力学に基づいた適切な運転『技』
にも 積極的に関心を持って取り組んだ下さった事に感謝しています。 受診者の多くが 『技』や整備・調整をする『バイク』への関心が偏る中、特に 『心』こそ、GRAが設立以来の最も大切な目標としてしている事で、『心』が欠如したままでは良きオートバイライフも有り得ないと考えていますので、どうぞこれからも一緒に意見交換をよろしく願います。




 *  *  *  * 以下は、疑問・質問への回答です *  *  *  * 



≪ 概略 ≫

疑問や質問がある事はとても良い事ですし、その事を積極的に調べたり質問をされる事は更に良い事だと思います。が、回答やアドバイスを受けて鵜呑みにしたままでは決してオートバイライフを深める事にはならないと私は考えています。
今回は、「一人でチェーン調整する場合」と提出された「リアタイヤに働く力と車体の動き」について、私なりの考え方を提示致しますが、どうぞ、それでも疑問があれば質問を願いますし、それ以上に、ご自身なりの更に正当と思う考え方を私に提案される事を期待しています。



≪ 今後のチェーン調整 について ≫

今回はご友人のサポートを得て適正チェーン調整をされたとの事、恐らくリアサスペンションのリンクを外してスイングアームを自在に動く状態にした後、スイングアームの角度(位置)を最もチェーンの遊びが最少になる場所で固定し、その状態でチェーンの遊びが最小限量保たれる様にチェーン調整された事と推察しています。
この状態を最適なチェーン調整位置だとすれば、その位置・状態を記録しておく事で、今後、お一人でチェーン調整をされる場合も容易に正確な調整が行なえますので、その位置・状態の記録方法を紹介します。





























適正チェーン遊び調整を行なった後は、上図の通り、車体を直立させた状態で、スイングアーム下端面と指で押し下げた下側チェーンの上面との間隔をスイングアーム中央部で計測しておけば、以降のチェーン調整の時だけでなく、チェーンの伸びの確認時にも利用できます。
なお、より正確な計測の為には、リアタイヤを半回転ずつ回転させ、チェーンの数カ所で計測される事をお勧めします。また、直立が難しい場合には、サイドスタンド下に何かをはさみ込んで、可能な範囲で直立に近付ける方法をお勧めします。



≪ 疑問について ≫

アクセルOFF の場合と アクセルON の場合とで、
オートバイのリアタイヤに働く力の向きが逆方法に変わるので、車両全体の旋回方向へ働く力(車両全体の旋回モーメント)が逆に働く事について理解されている事は間違いはないと思いますので、その理解の方向で更に考察を深めていく事をお勧めします。

ただ、四輪技術用語をオートバイの動きに使用されている点が気になっています。というのは、前回のクリニックで解説した「キャンバースラスト」という四輪用語がオートバイの場合には当て嵌まらないのと同様に、四輪用語をオートバイに当て嵌める事は時としてオートバイ本来の動きを正確に理解して表現する事を阻害する要因になると考えています。
その理由について、以下の ≪ 二輪と四輪の違い ≫ で書き留めますが、どうぞ、この点についても意見交換が出来れば嬉しいです。
  
  
  
≪ 二輪と四輪の違い ≫

世の中の多くの人は、二輪と四輪の違いはタイヤの本数の違い程度にか捉えていません。その為、二輪車の事故原因を発表する警察や報道機関では「ハンドル操作を誤ったのが事故原因」と誤った四輪的説明を社会に浸透させています。同様に、ライダーの多くもそれ以上に四輪車との違いを認識せず、オートバイ本来の運動力学を正しく認識せず、誤った整備・調整方法や誤った運転操作をしている例が数多くあります。

二輪車と四輪車の最も大きな違いは、「二輪車は旋回を基本に作られ、四輪車は直進が基本」という点です。と言うと 「二輪車も直進走行が安定しているけど?」と疑問に思うでしょう。確かに、オートバイで高速走行時には直進が一番安定していますが、そんな時でも大きな半径の円で旋回していると言えます。

実際、長い直線路を走行する例で較べると、四輪車の場合には 路面の不整や横風の影響などで常にハンドルで微調整が必要なのは 直進走行が基本設計だからで、二輪車の場合にはバンク角の僅かな調整は必要ですがハンドル操作は一切必要ありません。
モータースポーツなどの限界的な場面で較べてみると更に違いが鮮明です。四輪車の場合には 基本的に旋回する様に設計されていない為、曲がる為にハンドル操作が必要で、限界域になれば更に小刻みな修正舵が必要になりますが、二輪車の場合には全く異なり、基本的に全く異なる運動特性の乗り物だと言えます。



≪ アンダーステア と オーバーステア ≫


「アンダーステア」という用語は、ご存知の通り、ハンドルを切っても思った程に車両が曲がらない状態を差し、「オーバーステア」という用語は、運転者が想定した以上に車両が旋回、またはスピン状態になる事を指します。

が、これらの四輪用語をそのまま二輪の挙動の説明に当て嵌める事は、タイヤの挙動や力学を無視する事に繋がるので、私は大きな危惧と抵抗感を感じています。というのは、四輪と二輪それぞれのタイヤの立場から考えてやれば、その働きや力学が全く異なるからです。



≪ 旋回時のタイヤとホイールの関係 ≫

先ず、四輪車での旋回時を考えてみましょう。旋回(コーナリング)の為にハンドルを切った際、旋回方向へと向きを変えるのは タイヤではなく ホイールです。ハンドル操作でホイールの向きが旋回方向へと変わり、ホイールに装着されているタイヤは 一瞬遅れて、路面抵抗に抗いながら向きをかえるので旋回が行なえます。この時、ホイールの向きとタイヤの進行方向途には少々のズレがあり、その角度を四輪用語では「スリップアングル」と呼び、この「スリップアングル」がコーナリングフォースの発生源だと考え、このアングルがコーナリングフォースと比較して大き過ぎるとドライバーが感じる状態を「アンダーステア」と呼んでいます。

一方、二輪車の場合には全く異なります。
コーナーへ向けてバンクさせた瞬間、タイヤには旋回方向へと向きを変えようとする「旋回モーメント」が働き、そのタイヤに働く「旋回モーメント」につられてホイールの向きを変えようとする力が働くのです。
その ホイールの向きを変えようとする作用は前後タイヤ共に変わりなく、前輪はステアリング回転中心軸を中心に回転させる力へと伝わり、後輪は スイングアームを通じて後輪を中心に スイングアームピポット(車体側の取付け部)を旋回方向へと旋回させる力として働きます。(アクセルOFF時)

この様に、旋回時に一番大きな役割を果たす部品であるタイヤから見れば、四輪車と二輪車の旋回時の働き方は全く異なりますし、運転者の感じ方や対処の仕方も全く異なりますので、挙動の状態を示す用語として四輪車用語を二輪車に当て嵌める事は、車両に働いている力学を正しく認識できないだけでなく、適切な運転操作の習得を阻害する要因になると思いますが、この件でも、意見交換できる事を楽しみにしています。



                                       小林 裕之






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