オートバイのライディングで一番大切な事は、オートバイに自由に走ってもらう事です。
それは、オートバイが持つ能力や特性を十分に発揮させるライディングです。
オートバイが持っている特性の中で、一番基本になるのが「直進安定性」ですが、
この「直進安定性」を正しく発揮させるためには ライダーは余計な操作をしない事が大切で、
それは 直進走行時だけでなくカーブ走行(コーナリング)でも同じです。
この“ 直進走行 ”の大切さは、オートバイの基本講座・「真っ直ぐ走らせてスキルアップ」
で 詳しく解説しているので、興味のある方は 是非 ご覧ください。
◆ 「オートバイの基本講座」・『 真っ直ぐ走らせてスキルアップの道 』
【 今回のライディング講習のメニューは 】
当然! 今回の 『 GRA講習 』は、この基本特性を活かすライディングの練習でした。
練習メニューは 「直進加速」から「 加速&ブレーキング 」そして「 緊急回避制動 」まで、
多彩な内容でした。
このリポートでは、練習メニュー毎のポイント と 練習画像、そして 当日の映像を交えて、
順番に報告していきますし、きっと、皆さんの参考になる事があると思います。
では、ご覧ください。
■ 直進加速 ■
真っ直ぐに加速する練習です。
きっと、一番簡単な練習に見えるかも知れませんが、最も基本的な練習の一つです。
全長 12m の狭路の中を、発進してフル加速する練習ですが、オートバイの直進バランスを
学ぶには基本的で最適な練習課題の一つです。
■ 全力加速、30q/h、フルブレーキング ■
狭路を使った「直進加速」と「ブレーキング」の組み合わせた練習です。
全力加速で指定時速 30q まで加速した直後、直進安定性を保ったままで フルブレーキングを
行なう難易度は高目の練習課題ですが、その直進安定性をマスターできた人には“片手ブレー
キング ”の練習を課しています。
なお、フルブレーキング直前の速度を光電管を使って計測して、完全停止までに要した制動距離
も計測してライダーへ伝えています。
■ 全力加速、40q/h、フルブレーキング ■
たった 10q/h の違いですが、全力加速して到達する速度を 30q/h から 40q/h へと
変更しただけで、一気に難易度が高くなる練習課題です。
狭路は 12mから 全長 約 15m へ変更していますが、加速距離も制動距離も長くなり、基本
ライディングの正確さが更に必要になります。
■ 座学・「ブレーキの構造とメカニズムと整備」■
オートバイのライディングには、「乗る技術」だけではなく、「理解する技術」や「調整する
技術」がとても大切です。
特に、ブレーキングの技術を正しく高めるためには、ブレーキの構造とメカニズムを学び、
常に最前の状態に保つ必要があります。
GRAでは、今回のライディング講習に限らず、メカニズム講習や整備講習、セッティング講習
の機会を設けています。

■ 座学・「 空走距離 」 と 「 制動距離」 について ■
一般的に、ライディング講習会などで行なわれるブレーキング練習は、前もって指定された
地点からブレーキを開始する方式です。
この方式は、純粋にブレーキの技術や間隔を磨くには適していますが、実際の路上で危険を
回避する為のブレーキング練習としては不十分な方式です。
それは、「 空走距離 」の理解と自覚が欠けているからです。
そして、「 空走距離 」の理解と自覚の練習こそ、ライディング講習には必要なのです。
では、「 空走距離 」の解説をします。
「 空走距離 」とは、ライダーがブレーキ操作の必要性を判断してから、実際にブレーキ
(制動)が始まるまでの間、オートバイがブレーキ(制動)できずに走行する距離の事です。
つまり、ブレーキ(制動)したくても出来ない距離の分だけ、ブレーキが遅れるのです。
では、なぜ「 空走距離(空走時間)」が生じるのか、その内容を解説します。
「 空走距離(空走時間)」は、1.ブレーキを判断するまでの「反射時間」、 2. レバーに指を
伸ばす「準備時間」、そして 3. ブレーキ操作を始めて実際にブレーキが開始できるまでの
「動作時間」が必要で、一般的に 下記の 時間が「 空走時間(空走距離)」です。
これを、時速 30q と 時速 40q で走行している時に当てはめると、危険を察知して、
実際に停止するまでに必要な距離(停止距離)は 下記の通りです。

というように、比較的低速に感じている 時速 40qで走行時でも、停止までに 約 19 mと
小型乗用車の全長で換算すれば、停止までに小型乗用車 約 5台分の距離が必要です。
その上、速度が通常速度域の 時速 60q になれば、「空走距離」が 約 16.7 m、「制動距離」
が 約 18m、合計して 停止までに必要な「停止距離」は 35 m 近く、小型乗用車に換算して
約 9台分にもなる事は、本来、ライディング講習で実践的練習を行なう必要があるのです。
(※ 前方を注視して、路面状況の良い 理想的な状態での数値です)
しかし、一般に行われている ブレーキング練習では、その「空走距離(時間)」を含んだ
停止するまでの距離(時間)の把握や、危険察知した後でブレーキ動作に移る練習を体験する
事が殆ど無いのが手落ちだと思います。
GRAでは、次に挙げる 「 緊急回避制動 」練習を行ない、多くの機関や団体へ推奨します。
■ 実践的 ブレーキング練習・「 緊急回避制動 」■
今回の ライディング講習では、実践的なブレーキング練習の一環として、「 回避制動 」を
行ないましたので、是非 ご覧ください。
「加速&ブレーキング練習」で使用した狭路をそのまま、その 8m 前方に 2本の赤パイロンを
設置 して、その赤パイロン それぞれに、回避方向を示す “点滅LEDランプ ”(遠隔操作)を
設置します。
指定速度(時速 30q 、または 時速 40q)まで 全力加速の途中で、“ LEDランプ ”が
点滅を始めるので、点滅していない 赤パイロン側へ回避行動(レーンチェンジ)しつつ停止
する練習です。
点滅を始めるタイミングは厳密には決まってないので、回避行動(レーンチェンジ)が難しい
と判断した場合には、直進のまま最大限のブレーキング(制動)を行なう課題です。
この練習課題を受けた人の「感想文」にも書かれていますが、一般路上を想定したブレーキの
実践的練習として、「 回避制動 」は欠かせない練習の一つです。
※ 番外編 『サークル理論』講習に備えて ※
今回は オートバイが直立した状態での基本的な特性を理解して、その特性を正しく利用する
練習でしたが、次回からの “ライディング講習”では バンクさせた時の基本特性を理解して
きちんと利用する 「 サークル理論 」の講習を行ないます。
その事前準備として、オートバイをバンクさせたままブレーキを使用せずに、一定の大きさの
円を描く 「 サークル旋回 」と、その状態のまま アクセルを開けて、次の サークル旋回へと
フロントブレーキ のみを使って進入走行する “模擬”練習を行ないました。
詳しくは、近日公開予定の 【 サークル理論 】解説ページか、7月23日開催予定 『 GRAの
ライディング講習 』をご期待ください。
■ タイムトライアル練習は、楽しく学べる“遊び”です ■
さて、ここまで報告したカリキュラムは、「知識」や「理解」、「練習」ですが、オートバイの
楽しさが十分に味わえるもっと実践的な練習があります。
そう! タイムトライアル(タイム計測)です。
タイムトライアルでは、1台ずつタイムを計測されるという緊張感の中で、指定されたコースを
自身のオートバイで走るという簡単な課題(?)ですが、そんな場面だからこそ、練習では表れ
なかったオートバイの動きや自身のライディングの特長がはっきりと表れるので、更に実践的で
実用的な練習になるのです。
・・ と言うのはタイムトライアルを推奨する理由の一つで、
一番の大きな理由は、「 楽しく
学べる“遊び”」だからです。
特に、今回は 光電管ユニットを使って、1/1000 秒 単位まで計測したので、ちょっとしたミス
や ライディングの工夫が直接確認できるので、とにかく、楽しい意! のです。
では、当日の ショートコースを使ったタイムトライアルの様子をご覧ください。
※ 上記の 「タイムトライアル練習用コース」は コチラ です。
【 見学参加者・募集 !】
「見学参加」とは、予約定員から漏れた人、または どんなイベント企画なのか関心のある人を
対象にした “特別参加制度”です。
予約不要・参加費無料で、イベント当日の 練習やレクチャー風景の見学 の他に、熱意のある希望者には 休憩時間などに 簡単なセッティングやライディング講習の他、 タイムトライアルへの参加などの枠を設けています。
関心のある人、熱意のある人の参加を期待しています。。
< 見学参加について、詳しくは 下記サイトページで・・>
http://gra-npo.org/schedule/apply/apply_3.html#full_reserv

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