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8/9オートバイとライダーのための“クリニック” 』

バランスがとれた オートバイライフのために、


開催日

2020年 8月 9日 (日)

開催場所 りんくう公園特設会場 (大阪府)



   新型コロナウイルスの第2波が全国的に発生していた8月初旬、感染リスクの少ない
   屋外での少人数開催に慢心せず、参加した人全員が十二分以上の感染予防に協力した
   中で、新しい企画から新しい成果を得られた一日になりました
 
 
『 バランスがとれた オートバイライフのために、 』

多くのライダーにとって大切な“ いつまでも、安全で、楽しいオートバイライフ ”を実現する為には、『技』・オートバイの運転技術や『バイク』・適切な整備や調整がされたオートバイに関心が集まりますが、GRAはそれら以上に『心』・社会との関わり方の意識と行動や『体』・身体コンディションの管理が大切だと考えています。

そのため、クリニックを受診する人・ライダーの要望や質問に対応した診療とは別に、“課題”を与えた問診を行ない、本人が気付いていない事柄の改善に取り組んでもらう試みを始めました。今回行なった試みを、『心』『バイク』、そして『技』の順で報告します。



『 心 』 ・・ “あおり運転”について考える


今回は、受診予約者の方に事前に届けておいた課題について、意見交換をしました。その課題とは、オートバイライダーに対する自動車ドライバーのあおり運転により、事故を起こしたライダーが不幸にして亡くなった殺人事件についての意見提出でした。

多くのライダーにとって、“あおり運転”を受けた経験は多くあり、それぞれに独自の対処方法を学び取っている事が参加した人の意見からも確認する事ができました。そして、その考え方や対処方法はライダー自身それぞれの信念に基づいているべきで、誰かに強制されるべき事ではありませんし、GRAとしてその考えもありません。

ただ、はっきりしている事は、経験から対処できる術を身に付けた人はある意味で“強者”であり、不幸にも対処できずに危険な目に遭うのは“弱者”だと言えます。問題解決の為に力を発揮できる“強者”が何もせず、“弱者”の立場の人が健康や生命のリスクを負い続けるのは正しい事とは言えません。GRAでは、今後も同様な事例を挙げて意見交換を行ない、理想のオートバイライフの実現の為の思索を重ねていきたいと考えています。
 








『 バイク 』 ・・ リアの“適正な車高”について見て知る


受診した1名は、前回の受診の後、チェーンの適正遊び調整とリアの「プリロード量」の調整を行なった旨が受診予約の欄に記入があり、他の1名からは海外仕様車を日本国内用に前後車高を下げて販売されているオートバイの操縦安定性が悪くて困っているとの要請を受けていました。

そこで、この両者のオートバイに共通して検査確認が必要な項目は“リアの車高”で、その車高が適正な状態になっているかを、一台ずつ検査確認しながら他の受診者の人にも検査方法を学んでもらう事にしました。その検査方法はとても簡単で、直線路を 1stギア、ノーブレーキで時速 10q 程の低速走行を行ない、指定された箇所でアクセルを一気に開けて急加速させ、その時の車体のリア周りの沈み込み方やエンジン音の変化をチェックするだけです。



上の画像はリアの車高が低い事を示していて、中央右側のアクセルを開けた地点以降はリアの車高がはっきりと下がっています。この件は、プリロード量を敢えて高目に調整を行ない、アクセルを開けた時に僅かにリアの車高が下がる調整位置を確認して、後はバンク走行時のアクセル操作による挙動変化を確認して最適値を選択してもらう事になりました。もう1名の方の車両では、リアのプリロード量調整でほぼ適正なリア車高が得られている事を他の方と一緒に見て確認する事が出来ました。

リアの車高とはスイングアームの垂れ角によって決まり、適正な車高に調整されていない場合、車高が高過ぎる場合も低過ぎる場合も、アクセル操作によってリアサスペンションが適切に作動しなくなる現象を招きます。リアサスペンションはリアタイヤと路面とのグリップを保つ働きを担っているので、適切なリア車高に調整されていない車両の場合、特にバンク走行時のアクセル操作によりリアタイヤのグリップ喪失を簡単に招く結果となります。

しかし、リアの車高がそれほどに重要であるにも関わらず、オートバイ業界を含めて正しく認識はされておらず、その検査確認方法も知られていません。GRAでは、受診した人の要請など、機会に応じて積極的にリアの車高調整の大切さと簡単な検査確認方法が広まる様にしていきます。







『 技 』 ・・ “旋回力”の理解と実践、安全な走行のために


オートバイが旋回する力・旋回力は、タイヤ本体から発生している“旋回モーメント”に大きく依存している事はあま認識されていません。そのため、その“旋回モーメント”を有効に活かした安全な運転方法も殆ど認識されず、教習所だけでなく一般の運転講習会でさえ、効率良く旋回して、より高いグリップ力を生む安全性の高い運転方法は一切推奨されていません。

一般に推奨され、安全と言われる運転方法は、旋回中はリアブレーキをしっかりと効かせ、フロントブレーキは積極的には使わないようにという方法ですが、この運転方法では車体に働く旋回力が弱いだけでなく、タイヤへ適切な荷重が与えられないので、グリップ力の低い転倒のリスクの高い運転方法になります。この運転方法を推奨する際には、その運転方法によって生まれるリスクの説明は必要でしょう。

GRAでは、どちらかの運転方法に偏った伝え方はしません。力学的にオートバイの動きを説明して、その力学を理解した様々な運転手法を身に付ける事を勧めています。

ここで、当日のクリニックで解説した、ターン中に、減速時と加速時の前後のタイヤに働く旋回モーメントの向きについて簡単に解説します。

先ず、ターンしながら減速の際には、前後のタイヤ共にターン方向・内側の向きへタイヤを旋回させようとする旋回モーメントが働きます。そして、加速の際には、ブレーキとは逆の向きの力がリアタイヤに働くので、リアタイヤだけにターン方向・外側の向きへとタイヤを旋回させようとする旋回モーメントが働きます。

つまり、バンクさせている時に前後のタイヤにブレーキをかける事は、自動車のAWS(四輪操舵)の高速走行時と同様に、旋回しようとする力を弱めて安定させる方向へ働いている事になります。その上、旋回中に前輪(フロント)ブレーキを積極的に使わない事は、減速によって前輪へと移動する荷重を前輪のグリップ向上の為に使わない事ですから、ますます旋回力は失われる事になります。

一般的に推奨されているリアブレーキを多用する旋回効率が悪くグリップ力も低い運転方法はとても広まっていて、当日受診した人もその運転方法に頼った走り方しかできないと私は判断したので、力学に沿った効率の良い運転方法を提案して、同意を得られた後に簡単な練習方法を行なってもらいました。 それは、リアブレーキを一切使わないで、左右の旋回が必要な練習コースを走行するというものです。
因みに、リアブレーキを使用したかどうかの判断は、走行後にリアブレーキ(キャリパー)の温度を計測する事で行ないました。僅かでもリアブレーキを使用すれば、非接触式赤外線温度計の表示は変化するので、受診した人も真剣に取り組みました。




コースの特徴は、比較的おだやかなターンが可能なセクションが続くものの、途中にターンの切り返しと積極的な(フロント)ブレーキによる旋回が求められる設定になっています。特に ゴール直前のターンでは明確なバンク操作とフロントブレーキによる旋回力の発揮が必要になっていて、練習開始直後は誰もクリアできなかったのですが、徐々に運転操作を学んで、最終的にはクリアできるまでになりました。これで、リアブレーキの適切で使い過ぎない利用方法を学べば、更に効率が良く、グリップ力の高い安全な運転技術が身に付くでしょう。


 

『 最後に 』

オートバイは、真っ直ぐ走るだけでも喜びを与えてくれる乗り物です。しかし、その正しい整備方法やライダーに合わせた適切な調整方法は広くは認識されてなくて、正規販売店であっても充分なレクチャーやケアが期待出来ない事は珍しくありません。その上、オートバイのメカニズムや力学が導く適切な運転方法を伝える施設やイベントは殆ど無いと言える現状ですから、本当の意味での“いつまでも、楽しく、安全な オートバイライフ ”を得るには難しい点が多くあります。

GRAは、長年の経験や知識を活かして、オートバイや運転の不安を取り除き、よりオートバイとの親密度を高めるより適切な運転方法為の情報発信を行ない、社会とのより良い関わり方を築くために、様々な情報発信や講習活動、啓発活動を続けていきますので、機会があれば“クリニック”を受診される事をお勧めします。また、受診が難しい方へはオンライン“クリニック”での対応を致しますので、不安な事や困っている事、知りたい事などをご連絡ください。

クリニック インストラクター:小林 裕之
  
Clinic Instructor : Hiroyuki Kobayashi

 







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