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9/20オートバイとライダーのための“クリニック”

正しい調整で、オートバイと楽しく安全に


開催日

2020年 9月 20日 (日)

開催場所 りんくう公園特設会場 (大阪府)



今回、受診された方の受診理由は以下の通りでした

  Uターンの自信をつけたい
  左右の切り返しのコツをつかみたい
  フロントフォークの減衰調整による変化も知りたい

そんな要望に合わせて、セクションコースで診断と練習を行ない、受信した人が自身の力で正しい調整を学び取り、苦手だったセクションやオートバイ操作が簡単で楽しくなった様子を報告します


大阪湾を挟んで神戸・六甲山の山並みが浮かび、手前にはアイスリンクが見えます



 1. 『 心 』 ・・ 意見交換を通じて、社会との関わりを考えます


私達ライダーと関係が深い事柄を「お題」として取り上げ、その事柄について意見交換を行なう中で、オートバイの整備やライディング練習だけでは克服できない課題について一緒に考える時間を設けています。 オートバイやライディングとは違って、良否の判断や結論を出す事はせず、一緒に考える事が大切だと考えています。
   
   
今回の「お題」は以下の二つでした。

 【自動運転バス 7月にも事故について】
 幾つかの自治体で導入が進められている
 自動運転バスの実証実験の一つで、事故
 が発生していながら発表されず、しかも
 その責任形態が不明瞭のまま処理された件。

 自動運転車が増えていく中、私達が考える
 べき事や求める事は何か意見交換しました。

 【正しい ライディングフォームとは?】
 様々な二輪雑誌やライディング技術本、講習
 会で書かれたり言われる「正しいライディン
 グフォーム」について意見交換をしました。

 受診した方からの意見の通り、決めつけら
 れるものではなく、ライダーの体格と車両
 との関係の中で、より正確な操作と疲れが
 残り難い姿勢を自ら模索するべきもので、
 型通りに指導・指摘は出来ないでしょう。






 2. 『 技 』 ・・ Uターンに自信をつけたい、怖くなく、簡単に


受診した方からの「Uターンに自信を付けたい」という要請に応えて、Uターンの実践的な確認と診断、そして練習を行ないました。 実は、この方から「Uターン」の要請を受けたのは 2度目で、その際には“前後の車高バランス”を正しく調整する事で、Uターンが楽になり、6.5 m幅での Uターンもクリアしていました。 しかし、右旋回のUターンと左旋回とで操縦性にはっきりと差を 感じていて、特に左旋回時にはハンドル操作が多く必要な状態だという事でした。

そこで、今回は 9mという充分に旋回できる幅のボックスセクションでの Uターン走行から始めました。その際、道幅と奥行を充分に活用する意識が足りず、狭い範囲だけでの Uターンになっていると判断して、ボックスセクションの入口と出口を中央に寄せて、セクションの奥には走行ラインを規制する ゴム製マーカー(後述:テニスボール流用した安全なマーカー)を置きました。

Uターン練習に最適、ボックスセクション図

普段は意識していない事ですから、最初から出来る人はめったに居ません。しかし、最初は邪魔に思えたマーカーだったと思いますが、最初の走行から失敗せずにクリアして、Uターンで使える範囲を一杯有効に使った Uターンを徐々に習得されたのです。(規制マーカーは有効でした)
右旋回での 9m幅での Uターンは何度走行しても充分にクリアできる事が確認できた後、同じ条件での 左旋回 Uターンでも確認・走行に移りました。

Uターン練習に最適、ボックスセクション、左旋回

運転経験も技術も充分に備えた方ですから、同じセクションでの 左旋回 Uターンも確実にこなす事は出来ていましたが、左旋回の時にはハンドル操作を意識して行なう必要があるという、左右での操縦性に大きな違いが出ている事の解消には繋がりませんでした。

しかし、次に行なった「左右の切り返し」の確認と診断・調整で、意外な解決策を見出してもらえる事が出来たのです。







 3. 『 技 』 ・・ 左右の切り返しのコツ、左右の操縦性の確認


オートバイはほぼ左右対称で作られているので、本来、右方向への旋回と左方向への旋回との間で大きな違いは無い筈です。しかし、多くのライダーは、右へ旋回する時と左へ旋回する時で、オートバイの動き(挙動)や安心感に“違い”を感じているものです。

この右旋回と左旋回での“操縦性”の違いをはっきりと確認するには「オフセットスラローム」のセクションが最適なので、実際に走行して確認・診断をしました。

切り返しの確認と練習に最適、オフセットスラロームセクション図


右旋回も左旋回もほぼ同じ条件で連続して、しかも左右への“切り返し”を繰り返すので“操縦性”の右旋回と左旋回の差がはっきりと見えると同時に、ライダーは更にはっきりと確認と自覚ができるのが特徴です。

拝見したところ、左旋回時は車体側の初期旋回動作に遅れが目立ち、左旋回時の回転半径はより大きく、旋回開始位置も定め難い様子だと判断できました。ライダー自身にとっては、「左旋回が上手にできない」と考えて、自身の技術不足も疑ってしまう場面ですが、今回は車両側に調整を加える事を提案しました。

左右の切り返しの確認と練習に最適、オフセットスラロームの走行図

右旋回と左旋回での“操縦性”が違う原因は、道路事情によるものを除けば、二通りの原因があります。一つ目は、ライダー自身の身体や運転技術に起因するもので、二つ目は、オートバイに起因するものです。
しかし、実際には、オートバイの調整不足や調整不良など、オートバイ側に原因がある事がほどんどで、今回は「車体ガード」の調整を提案し、実際に調整を施してもらったところ、あれほどに苦労していた左旋回が簡単に出来るようになったのです。逆に、癖になっていたハンドル操作を止める事に注意を払う必要があった程でした。

では、その「車体ガード」の調整内容を次の項で報告します。







 4. 『 バイク 』 ・・ エンジンガードの功罪、その確認と調整


受診した方の車両には、万が一の転倒時に車体を破損から守る為の車体保護装備として、「車体ガード」(エンジンガード)が追加装着されていました。ただ、「車体ガード」の多くが操縦性の悪化を招いている事は多くの診断経験があったので、その「車体ガード」悪い影響を取り除く為、その後部固定ボルトを緩める調整をしてもらったのです。それだけで、右と左で操縦性の差が少なく、簡単に旋回が出来る全く違う車両の様な操縦性になったのです。

操縦性の悪化を招く 車体ガード、エンジンガード、の対処策

この「車体ガード」については、受診されたオーナーさんも多少は懸念は抱かれていた様です。というのも、本来、後部固定ボルトはエンジンマウントボルトを利用する設計ですが、フレームにエンジンを固定するマウントボルト(直径 10o)とは別体で 直径8o のボルトで固定できる様に工夫されていたからです。その為、エンジンマウントには影響を与えず、「車体ガード」の悪影響だけを取り除く事が出来たのです。


車体ガード(エンジンガード)の功罪  
この様に、万が一の転倒時に備えて、色々な形式に「車体ガード」を追加装着している人は少なくありませんが、その「車体ガード」装着によって操縦性が悪化し、走る楽しさを奪うだけでなく、走行性能低下で安全性を奪ってしまっている場合も少なくありません。
この案件、どの様な「車体ガード」を選ぶべきかは、改めてコラム記事で掲載の予定です。






 5. 『 バイク 』 ・・ フロントサスペンションの調整と確認


しかし、簡単な調整で大きく操縦性が改善して、苦手だった左への旋回もオートバイが自発的に左へと旋回をする姿を自身で体感した後なのに、オーナーさんは「車体ガード」の後部固定ボルトを締め直して、改めて同じセクションコースを走行したのです。

その行動、行為はとても良い事です。
書かれている事をそのまま信じて、書かれている通りにオートバイを調整して、それで良いと信じてしまっているライダーが多い中、自分自身で試して体感をして、その変化の理由や原因を考察しながら調整を進めていく行為こそ、オートバイを適切に調整する事であり、良きオートバイライフにするのに大切な事です。

じっくりと走り較べた結果、「車体ガード」の悪影響が想像以上に大きかった事をオーナーさんは納得されたのでしょう。最後は後部固定ボルトは緩めた状態を選択されました。そして、走り方は断然スムーズになったのです。 この状態であれば、要請された項目の一つ「フロントサスペンションの減衰調整」も正確に進められます。
実際、セクション走行を繰り返しながら、伸び側と縮み側の減衰(ダンパー)調整で基本設定(バランス点)を探る診断もスムーズに進み、最後には ダンパー調整の 1/4 回転や 1/8 回転 での微妙な変化を感じながら、大変に正確な基本設定出し作業(セッティング)が出来たのです。

「車体ガード」の調整とフロントサスペンションの伸縮両方の減衰(ダンパー)調整、そしてプリロード調整を行なった結果、下の画像の様な違いを生んだのです。
 
 
車体バランス調整だけで、走りが大きく変わる


この違いは、ライダーの技術が変わったのではなく、練習量を数多くこなして変わったのでもなく、オートバイが自然に走れる様に調整を施して、ライダーも恐さを感じずに楽に走れる様になったので、自然に生まれた違いです。
これで、ようやく、オートバイと正面を向いて会話できる状態なり、これからオートバイの能力を活かした運転技術を高める練習を積んでいける状態になったと言えます。

以前の受診での“リアの車高調整”に始まり、“前後の車高バランス調整”、「車体ガード」の悪影響排除を挟んで“フロントサスペンションの減衰調整”そして最後に“フロントスプリングのイニシャル調整”までを行なって、車体セッティングの基本の大半(7割方)が済んで、操縦性や安定性も大きく変わりましたが、一番の収穫は オーナーさん自身が調整の一つひとつを着実に検証しながら、体感して納得しながら進めた経験です。その経験があれば、更にオートバイを乗り易くする事も出来ますし、他の車両を観て車体バランスの良否や原因を推定できるでしょう。
そして、それが貴重な“”になるのです。

GSX-R750、ボックスセクション走行図





『 最後に 』

とは言え、練習用のセクションコースを何回も走り込んだとして、それで自信がついたとしても、一番大切なのは一般道での安全性を高める運転技術です。事前に想定とは異なる状況に遭遇したとしても、オートバイと自身が備えている能力を正しく発揮できる能力を養うには、様々な場面や要素を組み込んだコースで、練習無しで、タイム測定を行なうのが最も安全で適しています。
最後に、Uターンセクションとオフセットスラロームセクション、そして 時速 40qまで加速できるセクションを組み合わせたコースで数本のタイム測定を行ないました。
それまでの練習で感じていた感触や自信とは別に、持っている能力を正しく活かす事の難しさを実感されたでしょう。

Uターンセクションで使用した、ゴム製のマーカーを紹介します。
硬式のテニスボールを半分にカットしたもので、内面はゴム製ですから、万が一、タイヤで踏んだとしても潰れてしまう事はなく、滑って転倒する恐れもなく、携行も楽で、蛍光色が選べる点から、安全な場所で少しだけ練習を考えている人には最適のグッズになるでしょう。





GSX-R750、タイム測定コース
 
 
GRAは、オートバイや運転の不安を取り除き、オートバイとの親密度を高める適切な整備と調整や、オートバイの能力を活かした適切で安全な運転方法為の情報発信を行なうと同時に、社会とのより良い関わり方を築くために、様々な情報発信や講習活動、啓発活動を続けていますので、安全で楽しいオートバイライフに関心がある方は、“クリニック”を受診される事をお勧めします。
また、受診が難しい方へはオンライン“クリニック”での対応を致しますので、不安な事や困っている事、知りたい事などをご連絡ください。


クリニック インストラクター:小林 裕之
  
Clinic Instructor : Hiroyuki Kobayashi

 






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