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10/11オートバイとライダーのための“クリニック”

“サークル練習”が教える、正しい調整とライディング


開催日

2020年 10月 11日 (日)

開催場所 りんくう公園特設会場 (大阪府)



今回、受診された方の受診理由は以下の通りでした

  ライディンポジション、特にハンドル位置の確認をしたい
  車体の調整をさらに知りたい
  バイクの性能を理解しながら運転できる技術を身につけたい

そんな要望に合わせて、セクションコースで診断と練習を行ない、受信した人が自身の力で正しい調整を学び取り、苦手だったセクションやオートバイ操作が簡単で楽しくなった様子を報告します


  
 

 1. 『 心 』 ・・ 意見交換を通じて、社会との関わり方を考えます


私達ライダーと関係が深い事柄を「お題」として取り上げ、その事柄について意見交換を行なう中で、オートバイの整備やライディング練習だけでは克服できない課題について一緒に考える時間を設けています。 オートバイやライディングとは違って、良否の判断や結論を出す事はせず、一緒に考える事が大切だと考えています。
   
   
今回の「お題」は以下の二つでした。

GRA_オンラインで免許更新で意見交換 【オンラインで免許更新へ】
 現在、免許更新がオンラインで可能にする為
 に、法律等の整備が進められている事につい
 て意見交換をしました。

 受診者の方からは、自宅等でのオンライン講
 習では道路交通法の改正などについてきちん
 と聞く人は少なくなるだろうと、危惧する声
 がありました。
確かに、今の段階でさえ道路交通法を正しく認識していない人に遭遇するので、その割合が更に
高くなる危険性はあるでしょうし、それに応じた対応策は行政も個人も必要でしょう。

GRA_タイヤへの荷重とグリップで意見交換 【タイヤを確実にグリップさせるには?
 オートバイはタイヤに充分な大きさの荷重を
 与える乗り方は、タイヤのグリップ力を有効
 に活かした安全な走りに欠かせませんが、そ
 の荷重はどうしたら与えられるかについて意
 見交換をしました。

 受診者の方からは、直立時のブレーキングを
 例に、主にフロントブレーキでタイヤに荷重
 を与え、与え始めたら更に大きな荷重を与え
 る事、そしてブレーキ終了時には、荷重がリ
 アへ移動するに合わせて加速すると良いとの                        模範的な解答がありました。
そこで、直立時の荷重の与え方と旋回時の与え方とはタイヤにとって同じである事を説明し理解が得られた後、旋回時にタイヤ(主にトレッド端部)へ荷重を与えて、その荷重を大きくしていく走り方がある事と、旋回で生まれた荷重をバンクさせたままで加速に活かす走り方も存在する事だけを説明し、可能ならば実際に練習セクションで試す事になりました。






 2. 『 バイク 』 ・・ ハンドル位置とライディングポジションの確認


受診した方からの「ハンドル位置を含めて、良いライディングポジションを確認したい」という要請に受けました。理由を尋ねると、以前はUターンなど旋回をする時にはハンドルを手で操作していたので、ハンドルを操作するのを前提にハンドル位置やライディングポジションをとっていたけど、オートバイの調整を行なったら、自然に旋回する事が分かったので、それに合せてハンドルの位置やライディングポジションを見つめ直したいとの事でした。

とても嬉しい事です !
オートバイの自然な動きを最大限活かして、ライダーは可能な限り無駄な操作を少なくする事こそが、一番安全で疲れず、しかもスマートに走る方法だからです。
そして、そんな受診者の要望に応える為に提案したのが“サークル練習”です。


サークル練習図_1


“ サークル練習 ”は、円の外側を周回するだけという簡単な練習ですが、ライディングの基本を確認するのには最適な練習方法です。一定の速度で、一定のバンク角で周回する為には、アクセルとバンク角を一定に保つ必要があり、その為には上体から力を抜いて腰から下の下半身だけで操る必要があるのです。


サークル練習風景


仮に、旋回中にハンドルの位置が腕に力が入りやすい不自然な位置にあったとすれば、この“サークル練習”をするだけで実感できます。右旋回と左旋回を比較する事で右手で握るアクセル位置の調整の大切さを特に実感できるからです。
実際に受診した方に試してもらったところ、その事を実感された様で、旋回してはハンドル位置を調整して、調整してはサークル練習で確認してを何度か繰り返して、一番リラックス出来て、楽にオートバイを正確に運転できるライディングポジションに落ち着いたようです。


サークル練習の様子_1

サークル練習でハンドルポジション調整と確認









 3. 『 バイク 』 ・・ フロントの車高の微調整を提案


オートバイは、どんな場合でもオートバイの動きを一番尊重して、決してライダーがオートバイの全てを操るものではありません。オートバイの意志を理解せず無視してライダーが勝手な操作をする時に危険な状態に陥るものです。しかし、そんな操り方しか知らないライダーは、恐さを克服するのが上達の道だと思いがちで困ったものです。

さて、オートバイの意志と動きを最大限活かす為に、ライディングポジションを探った受診者の方へ提案しました。「フロント車高をほんの僅か下げる道がありそうですね」と。
ハンドルを腕で操作する力がほぼ抜けた状態で走る姿を診て、フロント(タイヤ)の反応が若干早い雰囲気があり、それが原因で旋回に入った直後にフロントを軸にして左右に僅かな振れがあったからです。
その事は受診した方も少し感じられる様になったとの事で、直ぐに、自らフロント車高の微調整をしては“ サークル練習 ”で確認し、調整しては確認をしての繰り返しで、「 約 0.5mm 下げてバランスした 」との事でした。

フロント車高の微調整、サークル練習で確認


オートバイのバランスとライダーとのバランスを正しくとるだけで、オートバイはとても乗り易くなります。 バランスをとるには場所や方法を選ぶ必要はありますが、こうして“クリニック”という受診機会だからこそ、オートバイだけでなくライダー感覚が研ぎ澄まされるのです。オートバイを心から愛し乗り続けたいと願っている人にこそ、こんな“クリニック”機会を通じて、そんなライダーに育って欲しいと願っています。







 4. 『 技 』 ・・ 荷重を活かした旋回への進入を練習


1. の項目・「お題」で紹介した通り、オートバイを最も安定させた安全な走り方は、タイヤに荷重を効果的に与えて、タイヤのグリップを充分に使った走り方です。それは、直立させた直進走行時のブレーキング時だけに言える事ではなく、旋回時のタイヤの使い方にも同じ事が言えます。特に
バンクさせたまま減速していく場面、コーナーへ向けて旋回に入った場面でのタイヤへの荷重の解説を行ないました。

最初に、オートバイの走行ライン(軌跡)の基本“ クロソイド的ライン ”を解説しました。


オートバイ、クロソイド的ライン図


“クロソイド的ライン”は、バンクした状態のオートバイが描く一定半径の円弧(走行ライン)が、速度の低下とともに回転半径が小さくなっていくために、この独特の曲線として生まれます。そして、オートバイを走らせる時は、オートバイが自然に描く“クロソイド的ライン”に従って走らせる事が、タイヤへの荷重とグリップを最も高く保てる走り方で、それがライディングの基本である事を理解してもらいました。

理解が得られたところで、実際に、サークル(円)へ向けて進入して、“サークル旋回”を行なう練習へと移りました。


オートバイ、クロソイド的ラインを活かした最適な進入ライン


実は、この自然な“クロソイド的ライン”を走りながら理解するのが難しいのです。
上図の様に、赤色の線で描いたラインで侵入しないと、“サークル練習”で行なった様に、安定した旋回走行へ移れないのです。 青色の線で描いたラインで走行しても、ブレーキ操作やバンク角操作、ハンドル操作などを駆使して旋回走行へと移れるのですが、“サークル練習”で行なった様なスムーズな旋回にはならず、サークル走行が出来なかったり、サークルに入った時点でオートバイに左右方向への揺れが生まれ、タイヤの荷重とグリップも失われしまうのです。

このサークル旋回への進入練習は、指導する立場の者にとっては簡単な練習です。何故なら、スムーズに“サークル練習(旋回)”に移れたかどうかはライダー本人が一番自覚できるからです。


サークル練習と進入ポイントの練習  
 
上の画像はサークルへの進入するポイント(地点)が誤っていた為、その結果でスムーズに“サークル旋回”へ移れなかった例です。

この“進入ポイント(地点)”を正しく理解してマスターする助け(サポート)として、下の画像に示した様な、進入ポイントを確認する為のガイド(画像では色違いの5個のマーカー)を置いて、そのガイドを目印にして最適な進入ポイントを掴めた様です。


クロソイド的ライン、進入ポイントを把握するためのガイド例


今回の『クリニック』では、半径が 4m と 2m のサークルで練習を行ないましたが、受診した方は、今回の条件での最適な“進入ポイント”をほぼマスターして、“クロソイド的ライン”を活かした走り方が行なえる様になり、その結果、5.『技』で紹介する様に、タイヤへ充分に大きな荷重を与えてタイヤ性能を活かした走り方を体験できた様です。


クロソイド的ラインとサークル練習


ちなみに、今回受診された方に対しては、“クロソイド的ライン”を正しくマスターしてもらう為に、走行に慣れるに従って、前後ブレーキを一切使わないで“クロソイド的ライン”と“サークル練習”を行なう指示を与えましたが、上図の様に安定した走り方を体得された様です。

後は、サークル半径や進入速度などの条件を変えて、右旋回と左旋回も同じタイヤ荷重が出来る様になれば、ライディング技術は間違いなく大幅に向上します。








 5. 『 技 』 ・・ タイヤへの荷重コントロールの確認


ライダーがオートバイに対して行なうべき操作は一つしかありません。それは、“荷重コントロール”です。タイヤの中央部なのか、それとも右側なのか左側なのかを決め、正しい位置でブレーキやアクセルを使ってオートバイ(タイヤ)へ荷重を与える事だけです。

そんな“荷重コントロール”を意識して適切に行なえる様になると気付く事が二つあるでしょう。一つ目は、上体や上腕を使った無駄な操作よりも、殆ど何もしていない様に見える程にシンプルで少ない操作でオートバイは自由自在に走る事。 二つ目は、荷重が正しく与えられたタイヤの表面(トレッド面)にはそれを示す“摩耗痕”が残る事です。
 
 

 
 
実際に、今回、受診した人のタイヤ表面でそれが残りましたので、その“摩耗痕”を紹介します。
最初は、“サークル練習”直後のリアタイヤの左側トレッドです。左旋回は、受診した方は得意だと自覚される程ですから、トレッドエンド(端)まできちんと接地している様子が残っています。しかし、トレッドエンドには明確な“摩耗痕”は無く、さほど荷重がかかっていない事を示しています。


荷重コントロールとタイヤの摩耗痕 1


一方の右旋回ですが、ハンドル(アクセル)位置の関係もあったのでしょう、受診した方にとっては苦手な旋回方向だったのですが、“サークル練習”で特に サークルへの最適な進入開始位置の確認をする練習と、サークル旋回へ入った以降のタイヤへの荷重練習での上達の成果がありました。左旋回でのタイヤ表面とは全く異なり、今回の『クリニック』を受診する以前には見られなかったような適切な“摩耗痕”がはっきりと残っていたのです。


荷重コントロールとタイヤの摩耗痕の関係 2


摩耗痕”が左右で違うのは決して珍しい事ではなく、片側だけでも荷重を活かした走りの結果で残る“摩耗痕”が現れる事は大きなチャンスです。片方で出来た事をもう一方で試して実現させるだけだからです。そして、この“荷重コントロール”の感覚を“摩耗痕”で検証した方は、必ず正しい“荷重コントロール”上達の階段を上っていけるでしょう。





『 最後に 』

よく言われている言葉で、「上手くなりたかったら 8の字練習をしろ」 とか 「8の字を描く走行練習はライディングの基本だ」という言葉があります。が、私はそうは思いません。旋回サークルの大きさを想定せずに、走る度にまちまちな旋回半径で走るだけの練習は、“キー(音程)”を合せず意識もせずに歌を歌う練習をしているのと同じで、ただの自己満足な行為に留まっています。

オートバイの声を聞く会話を深めつつ、オートバイのライディングを上達させたいと願うならば、“キー”である一定の回転半径の円(サークル)を路面に描き、それに合わせた“サークル練習”を行ない、オートバイとライダーが一緒になって“キー”を覚える事が基本なのです。

最初は前後のブレーキを使って調整しても構いません。が、上達したいと願うならば、フロントブレーキだけを使った“ サークル練習 ”や 前後ブレーキを一切使わない“ サークル練習 ”がお勧めです。何故なら、旋回中のブレーキは単なる補正・ごまかし操作であり、タイヤへの荷重を意識して活かすコントロールの練習を阻害するからです。その上、正確なアクセルコントロールも身に付きますので、前後ブレーキ無しの“ サークル練習 ”へ辿りつく事を強く勧めます。

すると、きっとあなたは気付くでしょう。 右旋回か左旋回か一方の旋回では上手に出来るようになっでも、もう一方の旋回では同じ様に出来ない事に必ず気付きます。それに気付いた時が大きなチャンスです。 旋回の左右での違いは、オートバイの左右バランス・整体の狂いが最大の原因であって、決してライダーの責任だと思い込まないで下さい。思い込んで、それを補正する操作の練習をする事はライディングを悪くするだけでなく、オートバイに潜んでいるアンバランスを見逃して、オートバイライディングの楽しみを減らし、危険性のリスクを負いながら一般道を走行を強いられるからです。


クリニック、 オートバイとライダーのための
 
 
GRAは、オートバイや運転の不安を取り除き、オートバイとの親密度を高める適切な整備と調整や、オートバイの能力を活かした適切で安全な運転方法為の情報発信を行なうと同時に、社会とのより良い関わり方を築くために、様々な情報発信や講習活動、啓発活動を続けていますので、安全で楽しいオートバイライフに関心がある方は、“クリニック”を受診される事をお勧めします。
また、受診が難しい方へはオンライン“クリニック”での対応を致しますので、不安な事や困っている事、知りたい事などをご連絡ください。


クリニック インストラクター:小林 裕之
  
Clinic Instructor : Hiroyuki Kobayashi

 






「サークル理論」の 解説ページへ移動します

 ● サークル理論   / Circle theory

     オートバイの最も大切な基本特性、「サークル理論」の理解と実践で
     あなたのライディングは確実に上達するでしょう


 ● タイヤから診る、 ライディング
        
Tire diagnosis is Riding diagnosis
     ライディングとは、タイヤに正しく適切に仕事をしてもらう事です
     あなたが、タイヤを診ないでライディングを語るなら、それは大きな間違いです



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