操縦性の改善のために、フロントサスペンションのスプリング(以降は フロントスプリングと記載)のスプリングレート(バネ定数)を、純正のレート・1.0 sf/mm から数度に亘ってレートを低く変更していて、今回は 0.85 sf/mm から一気に 0.70kgf/mm へと変更されて後だった為に 「前後の車高バランス調整を」という要請を事前に受けていました。単なるフロントフォークの分解整備を行なった後でさえ、フロントの車高確認は必須の作業ですし、2割近くもレートを下げた後であれば、尚更、賢明で当然の要請でした。

前後の車高バランス調整とは、セッティングの最初の決まるリアサスペンション(車高)に合わせてフロントサスペンション(車高)を合せる作業で、旋回開始時に、前後のタイヤが息を合わせて(シンクロして)旋回を始めて、【旋回モーメント】を同時に発揮させるのが目的です。 そして、多くの調整作業(セッティング)と同様に、平坦で良好な路面の充分に広く安全なエリアで、【低速・低荷重域】で行ないます。

最も簡単でお勧めの確認方法は、低速・10 q/h 程で速度を一定に保ち、直立・直進走行をして、任意の場所で、アクセルを閉じ、ブレーキやハンドル操作を一切行わず、左右どちらかに車体をバンクさせて旋回を行ないます。その旋回を開始した直後に、リアタイヤ(車体)のバンク角変化と同時にフロントタイヤが旋回方向へ切れ込みを始めるかを確認する方法です。
ライダーがバンク動作以外の不要な操作をせず、フロントタイヤがリアタイヤに合わせて同時に切れ込み(自動操舵作用による)を始めればバランスが取れている状態と判断できます。仮に、フロントタイヤの動きが遅れている場合には「フロント車高が低い」と判断でき、フロントタイヤがリアタイヤのバンク開始と同時に反応しても、リアタイヤのバンク角変化以上にフロントタイヤの切れ込み角の変化が大きく先行していれば「フロント車高が高い」と判断できます。
今回は スプリングレートを低く変更した事例ですから、当然ですが、フロントの車高が低い事が確認できました。




調整が必要な事を確認した後は、フロントフォークの固定位置を変更する事によって、フロントの車高を変更します。 この確認と調整の作業を繰り返して【最適なフロント車高(1G'時)】に調整します。(1G'時とは乗車時の事で、水平な路面で、ライダーが車両にまたがって両足をステップに置いている状態の事です )

【 注意すべき点 】 Things to Note |
最も大切な事は、最適な車高バランスに調整する事ではありません
大切にすべき事は二つあります。一つは、ライダー自身が車高バランスの崩れによって起きる車両の挙動や違いをはっきり感じられる事です。オートバイと会話をしながら、オートバイにとって一番適切で安定する操作を行なうのがライダーの責任ですから、違いを感じられる事が最も大切です。
二つ目は、求められた【最適なフロント車高(1G'時)】の値をライダー自身が記録して保管する事です。オートバイはライダーの体格や体重、運転経験などに合わせて調整するものですから、調整の結果の値は求めたライダーのみに適した値ですし、同じ車両で。フロントフォークの分解整備やスプリング変更などを行なった後は、必ず、求めた【最適なフロント車高(1G'時)】にフロント車高を合わせる必要があるからです。
There are two things to note in this adjustment.
One is that the rider himself feels the difference in the behavior of the vehicle due to the difference in the front and rear balance.This is only natural because the rider has a responsibility to accurately grasp the condition of the motorcycle and perform proper operation.
Second, the rider himself records and stores the value of the front car height at 1G' obtained by the adjustment.This is because the value obtained is unique to the rider, and when maintaining the front suspension in the same vehicle, it is necessary to adjust the height of the front car according to the value obtained.
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