セミナーに 参加した人から、「オートバイを直立させた直進走行中に、フロントブレーキを使った急ブレーキは自信があるのですが、旋回中の急ブレーキは自信がありません。恐いです。」という発言がありました。
殆どのライダーは、教習所や講習会などで 直立・直進走行でのブレーキングの練習や検定を受けた 経験がある筈ですから、直進走行時のブレーキングに自信があるでしょう。リアタイヤが浮くほどにフロントブレーキのコントロールが出来る人も少なくないでしょうが、旋回中でもフロントブレーキを限界までコントロールできる自信がある人は多くはないものです。

そこで、直進走行時と旋回時とで、ブレーキングの違いやフロントブレーキの役割に違いがあるかを、ホワイトボードに図を描きながら、一緒に、一つひとつ解析を進めてた後で一つの「問い」を一緒に考えてみました。
問い |
直進走行時のブレーキングでは、タイヤにかかる荷重は前後
どちらの方が大きいでしょうか? |
この問いには、きっと多くのライダーは正しい答えを知っているでしょう。そうです、直進走行中にブレーキングをすると、フロントタイヤの方にリアタイヤよりも大きな荷重がかかります。つまり、ブレーキングで減速すると、車体全体の荷重が前方へと移動しますので、フロントタイヤと路面との接地面に掛かっている荷重が大きくなります。
そして、タイヤの接地面にかかる荷重が大きくなる程にグリップ力も大きくなるので、フロントブレーキを強く使ってもフロントタイヤはグリップを失い難くなるので、更に自信を持ってフロントブレーキを使えるのです。

ただ、リアタイヤは状況が違う事もわかります。 ブレーキングをしっかりすればする程に、リアタイヤの接地面にかかる荷重は小さくなるので、リアブレーキでの減速は期待ができない事がわかります。
そこで、車体をバンクさせ、旋回中にブレーキングをした場合、荷重はどちらに移動するのか?
何故、恐く感じるのか? について一緒に解析してみました。 |