フロントフォークを脱着すれば、ステムベアリングの分解チェックは必須作業だ。
何故なら、ステムベアリングはオートバイに数多く使用されているベアリングの中で最も不適切な設計環境で使われ、不適切な整備方法が指定されているため、殆ど全てのオートバイで“問題”が発生している箇所だからだ。
実際に分解を行なう。
ベアリングは回転する箇所に使用される部品で、金属とそれを潤滑するグリス(油)で構成されているが、確認してみるとグリスがやせ細って本来の役割が期待できる状態ではなく、ボールと接触するレース部には打痕が若干ある。
が、オーナーの意向と準備の関係で交換はせず、古いグリスを拭き取って新しいグリスを詰めて組み上げる。
≪ エンジンオイルの定期交換だけでなく、車体各部のグリスの交換に気を配る人が多くいたら喜ぶオートバイが確実に増える.。しかし、そんな常識を伝えて啓発する専門誌さえ殆ど無い。これが、世界4大メーカーがある国の現状 ≫
そして、一番大切なのがベアリングのクリアランス(隙間=ガタ)の調整だ。
ステムナットの締め付けトルクを色々と変更して(クリアランスを変更)し、アッパーブラケットを仮組みした状態で、オーナー自身の手でガタが無くステム(ハンドル回転軸)のフリクション(摩擦)が最少になるポイントを確認選択をしてもらい、次にアッパーブラケットをきちんと装着固定して完了だ。
メーカーを問わず、マニュアルで指定されるステムナット締め付けトルクは、ダブルナットで固定する設計と同様に前時代の遺物だ。
ステムブラケット(アンダーブラケット)を確認していて発見した事。
フォーク固定用ボルトが左右で異なっている。
左側は純正ボルトだが、右側はホームセンター
で売っている様なボルトだ。
オートバイの数多くあるボルトの中で、最もボルトのコンディションや締め付けトルクが操縦性に影響するボルトなのに素人作業歴然だ。
ネジ山のクリーニングを行ない、左右に純正と非純正を1本ずつ振り分け左右バランスの均衡を図った。
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