参考までに、添付で「基本的な調整・セッティングの進め方」の一覧をお届けします。
基本的なセッティングの進め方
この「 進め方 」での基本は、最も大切な要素から順に進める事です。タイヤの空気圧の
調整の次にリアサスペンションの調整を行なうのは、特に大切な要素である事と同時に
比較的簡単にバランス調整(セッティング)が決まるからです。
一方、フロントサスペンションの調整が後になっているのは、リアの様にライダーが積極
的に操作を行なえる箇所ではなく、同時にとても繊細な調整が必要だからです。
整備&調整箇所一覧表
「整備は充分にしているよ」と言われるかも知れませんし、蛇足になる可能性もあるので
すが、オートバイの整備と調整が必要な箇所の一覧表をお届けします。
サスペンションセッティングを、ライダーや用途に合わせて、より正確に適切に行なうと、
車体のバランスが整っていく過程を実感できる一方で、サスペンションの調整だけでは消
し切れない、一種の澱(おり)の様な、不安や不信を覚える嫌な特性が見えてくる事があ
りますが、そんな時には一度、基本的な整備の精度を高める事をお勧めしています。
【 補足説明】
オートバイのリアサスペンションの調整は、測定と簡単な確認作業で行なえるので、
迷う事も少なく、比較的短時間の作業で行なえます。 が、フロントサスペンション側は
リアに合わせた車高調整作業に始まり、ステアリング関連のハンドリング特性の調整は
多くの時間と手間が必要になります。
ただ、バンク角の指定と調整や、アクセルのオンとオフなど、ライダーが積極的に行な
えるオートバイ操作の殆どはリア側です。特に、コーナリング操作に限ると、圧倒的に
リアサスペンションの担当範囲ですから、リアサスペンションのセッティングを最初に
行なう事は大切です。
一方、フロント側の動きは、リア側のバンク操作との同期性(前後の車高バランス)や、
フロントサスペンションが縮む量によって変化するフロントタイヤの旋回特性(旋回
モーメントの変化)など、リアの動きに合せる調整や、フロント荷重に応じた特性変化
など、幾つかの要素を調整する必要がある為、より繊細な調整が必要になります。
バンク角やスロットル開度、速度やスリップ率などを考慮して、スロットル開度や燃調
に介入制御を行なうトラクションコントロール機能や、ダンパー調整機構は、あくまでも
サスペンションの基本的なバランス(調整)が整っている事が前提で、バランスの崩れた
サスペンション調整を最適セッティングに整える働きはありませんので、サスペンション
セッティングを行なう際には、それらの機能を オフか、最弱にするのがお勧めです。
なお、一般的なサスペンションセッティングを行なっても、左右のバンク特性の違いや、
低荷重走行(積極的なアクセルやブレーキ操作をしない)でのグリップ不安感を感じる
場合には、基本的な整備を最適に行なう事(特にアライメントと遊び関連)や、サスペ
ンションの最も大切な部品・スプリングの変更を考慮される事をお勧めします。
市販状態の車両は、基本的に正確なアライメント調整や遊び調整は行われていませんし、
欧州マーケットを考慮した高荷重・高速走行を前提で装着されるスプリングでは、日本
人ライダー一人乗りでの 100km/h 以下での走行の場合、とても不適切な動作を行な
う事を多くの車両で確認しています。
The reason for adjusting the rear suspension first is that most of the rider's motorcycle driving operations, such as lean angle adjustment and throttle opening adjustment, are transmitted to the rear. Especially when it comes to cornering operations, it is important to set the rear suspension first because that operation is the responsibility of the rear suspension.
In addition, damper adjustment mechanism and traction control device are auxiliary on the assumption that the traction of the tire is maximized by the action of the suspension. Therefore, when setting the suspension, it is recommended to make damper adjustments the weakest and cancel the traction control function.
ここまでの解説で、もし、ご不明な点や確認が必要な事がありましたら、ぜひ、お問い合わせください。 では、秋空の下、より楽しくて安全なオートバイライフの実現を目指してください。
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