正規とは異なる設計の車両が売られている一番の原因は、恐らく、大陸的・欧州的な考え方と日本的な考え方が違うからだろう。英国(トライアンフ)ではさほど問題にならない事で時々ある事かも知れないが、日本では滅多にない事だから少しだけ驚かされました。ただ、英国(トライアンフ)の設計や品質は、日本的な“優等生”ではないと実感する場面は数多くあるので、僕はそんなに大事(おおごと)とも問題とも思ってはいません。
では、なぜ、正規の設計とは違う部品で製造した車両が販売されたのかと言えば、部品が間に合わなかったのだろうと思われます。設計を変更した新型式の車両の販売開始時期は決まっていたけど、新しく設計し直した部品の納入が遅れたので、販売店への(輸出)納期に間に合わせる為に、暫定的に他車で使われたりして実績のある部品で代用した結果だと思われるのです。暫定的な仕様だと考える根拠は「リンクロッド」だけではなく、上の画像の中でリンクロッドの上側に写っている4個の“円柱状”の部品を見て判断しました。その 4個の部品は 1個ずつ旋盤で加工され、重く、本来ならば無駄な造作になっているからです。だから、正規の部品が納入されるまでの初期ロット、20 〜 50台程は暫定仕様的な部品で組み立てているのだろう。
そんな販売開始に合わせた、車両メーカー・トライアンフの“ずさんさ”(日本的視点では)は、パーツリストだけに留まらず、同じく 2011年型・スプリントGT 用の整備ガイド用サービスマニュアルにも表れていました。サービスマニュアルにはパーツリストに掲載された部品形状とも全く異なる リンクロッドが描かれていたのでした。
まあ、こんなモノだと思っていれば納得もできる(?)でしょう。
ただ、心配なのは、正規販売店などへ修理に持ち込んだ時の対応だ。 パーツリストが無いショップだったら、車両メーカー名と車両名、年式(製造型式)を伝えて「リアサスペンションのリンクロッド の ・・・」と発注するしかないから、入荷までの1ヶ月弱待ってから合わない部品だと気付くでしょう。 仮に、正規販売店だったとしても、同じ様な事になる可能性は小さくない。
そうなると被害を受けるのはユーザーです。車両を預けてから少なくとも 1ヶ月以上は待たされる可能性は高いし、部品代もベアリング代だけに留まらず、パーツリストに掲載されている「リンクロッド」など一式への換装などで高額請求される可能性もあるからです。
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