では、一人で リアサスペンションの“プリ ロード調整”をする方法を解説します。
ここでは、一人でプリロード調整する方法と注意点だけを解説しますので、サスペンションの伸び切り時の車高(0G時車高)や、フルボトム時車高、または ストローク量については、前ページまでの解説を参照してください。
〇 メジャー(巻尺)の装着 Mounting of the measure |
リアタイヤ(ホイール)中心部の付近に、メジャーの端部を、ガムテープ等
を使って固定します。
〇 測定部にガムテープ貼り Tape for measurement |
測定する箇所をマーキングするため、ガムテープを貼ります。
ガムテープを貼る場所は、一人だけで確認ができる、リアシート上面がお勧
めです。
マーキングするためのガムテープの位置は、メジャーを上下方向に真っ直ぐ
か少し前傾させた時、測定しやすい場所を選びます。
そして、適当な場所に、マーカーなどでマーキングをします。
〇 伸び切り時の車高(0 G時)の測定 Height measurement at 0G |
オートバイのサイドスタンドを出して、そのサイドスタンドを支点にして、
オートバイを左側に傾けて、リアタイヤ(ホイール)を路面から離します。
この時、マーキングした場所でのメジャーの目盛を読み取り、その数値を
mm単位 で 書き留めます。
<修正します>
上の画像では シート中央部でマーキングしていますが、後に行なう作業
(乗車時の車高測定)を考慮すれば、読み取りやすい シート端部(画像手前側)
での マーキングを勧めます。
〇 乗車時(1G'時)の車高測定 Measurement of height when riding |
ここが一番のポイントです。
オートバイに乗車して、両足をステップの上に置いて、オートバイを直立
させた状態で測定を行ないます。
そのため、乗車している状態で、直立状態を腕で支えるため、オートバイ
を壁面の側などへ移動させます。その時、前ページで解説している通り 、
路面(地面)は水平な場所を選びます。
乗車状態のまま、顔を後に向けて、マーキングした場所のメジャーの目盛
を読み取ります。
直立さえている間、より正確な測定の為に、可能な限り、支えている腕や
手に大きな力をかけない様に注意します。
〇 沈み込み量の確認 Confirmation of the depressed amount |
基準とする“沈み込み量”の計算には、リアサスペンションのストローク量
が必要ですが、一人でプリロード調整をする時は、フルボトム時の車高の測
定が出来ないため、実車でのストローク量の計測はできません。
そこで、リアサスペンション の ストローク量は、メーカー発表の リア
ホイールトラベル(ストローク)量の利用をお勧めします。
メーカー発表の リア ホイールトラベル(ストローク)量は、その車両の
サービスマニュアルか、公表資料が掲載されている Webサイトで調べます。
<注意!> 公表されているリアのホイールトラベル量は、車両形式や設計
年代によって異なりますが、現代のオンロード車両の場合には、120
〜 130o 前後が一般的になっています。
* * * * * * * *
測定した 伸び切り時の車高(0G時車高)から、ストローク量の 1/3 の量を
引き算した時の数値と、乗車時車高(1G'時車高)の数値とを比較します。
<修正します>
上の画像では シート中央部でマーキングしていますが、振り返って目盛りを
読む作業を考慮すれば、読み取りやすい シート端部(モデル側 / 手前)への
マーキングを勧めます。
もし、乗車時の沈み込み量が、ストローク量の 1/3 になっている場合には、
目標の「基準」に合っていますし、1/3 になっていない場合には 次ページ
で解説している プリロード調整を行ないます。
<注意!> どちらの場合でも、現在の リアサスペンションの調整位置
(後述:プリロード アジャスターリング の調整位置)は必ずメモ
しておきます。
<注意!> この調整作業で合わせる 1G'時車高は、「基準」として覚えて
下さい。調整した後で走行してみて、必要に応じて、ここで求めた
基本調整 を基準にして、例えば 調整用リング (後述: プリロード
アジャスターリング)を 1段階調整とか、約 10度 プリロード量を
増やす調整をするなど、後々の調整の際の基準だという事を覚えて
おいてください。
決めた基準から、何ミリ とか 何段 という具合に調整を進めるのが
整備・セッティングの基本的な進め方です。
<補足> この 乗車時車高(1G'時車高)の測定時には、リア用のレーシ
ングスタンド を使用すると簡単に測定が行なえます。
さあ、次のページの解説を参考に、プリロード量の調整をしましょう。
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