このエントリーをはてなブックマークに追加


オートバイ基本講座「心」のページへ移動します オートバイ基本講座「技」のページへ移動します オートバイ基本講座「体」のページへ移動します オートバイ基本講座「バイク」のページへ移動します


以下、私達・NPO法人GRAが主催する各種イベントにおけるポリシーを説明する文章です。
他の開催団体が主催するイベントとは開催ポリシーが異なる特徴がありますので、参加の際には留意願います。


“桜見”ツーリング リポート

Cherry blossom touring report


30年以上振りの マスツーリングに参加して、色々と 現在のライダー達の状況など、 色々と考える事や発見した事があったので、良い経験だった事は間違いない。
また、ツーリング当日や直後に感じていた “ モヤモヤ感 ” や “ 不完全燃焼感 ” の幾つかは、ようやく 消化 が進んできたので、ここに書き留めておきます。
                               小林 裕之


『 朝、サービスエリアの違和感 』Incongruity in the moring


当日は、早朝、奈良県にあるサービスエリアで集合・待ち合わせして、そこからツーリング出発だと、ツーリングリーダー(企画運営担当)に告げられていたので、初めて行くその場所へ指定時刻10分前に到着した。

このサービスエリア(道の駅)は、ライダー達にとって有名な場所らしく、早朝にも関わらず、多くのライダー達が集まっていたが、それを見て “ 親近感 ” と同時に
“ 違和感 ” を感じた。



画像を見る限り、当日朝に感じた感覚は全く無い。 が、実際にその場所に居た 一人のライダーとしては感じてしまった “ 違和感 ” は、小さな “ 嫌悪感 ” を その場の雰囲気から感じていたのだと思う。

こうして画像に写っている車両を観る限り大幅な改造を施した車両は無いが、実際の現場では “ 音 “ が目立つ場所になっていた。 駐車してエンジンを停止させる車両は静かだけど、この場所へと向かってくる車両の半数近くは “ 音 ” が先に到着していた。

明らかに 排気系を改造している スポーツ系 や アメリカン系 は当然の様に 低い回転数でも大きな音を出して走ってくるけど、ノーマルの車両でも 100m以上手前から 高い回転数に保ったままやって来ているのだ。
これを “ 傍若無人 ” 、“ 周囲への迷惑 ” と言わず、別の表現方法はないだろう。

オートバイを車に置き換えたり、サービスエリア(道の駅)を ファミリーレストランに置き換えると “ 傍若無人 ”、“ 周囲への迷惑 ” が理解しやすいと気付いた。
例えば、ファミリーレストラン、多くの客は 少人数グループ ずつで 静かに入店するが、大きな声を出しながら入店する者達がいて、その者達は同じ様な服装をして店の一角にまとまって座っている者達の近くへと歩いていくのと似ている。
先に座っていた者達は全員がマナーを守って静かにしている人達だとしても、同じ場所に座る同じ様な服装をした者達であれば、他の客からは “ 傍若無人 ” な連中の一部としか映らなくても当然だろう。 そんな “ 違和感 ” であり、マナー無視する者への “ 嫌悪感 ” だったのだろう。

この事に対して発信できる事は、色々と考えてみたが、『 ライダーが元凶だ 』で書いている通り、マナーを破る者に対して 他のライダーが 注意するなどの行動をするのが最善だろう。




『 帰路は一人旅 』 Return ride alone


ツーリングの話に戻ろる。
出発以降、奈良県と三重県の山奥深い道を走り、特にオプションで選んでもらった県道でみた桜の花は格別の美しさだった。 それまでの行程でも花咲く桜の樹を観てきたが、この県道の桜はケタ違いに良かった。
明らかに桜の品格が違っている。街で見かける染井吉野(ソメイヨシノ)ではなく、濃い目の ピンクから薄いピンク、里に咲く桜から山の中腹は咲き誇る山桜たちのステージに。 道沿いでは、枝垂れ桜(シダレザクラ)や樹齢100年を優に越しいるのか空高く雄大な姿の桜の大木。

さらに山頂へと続く道端には、観る人も居ないのに 僕達を出迎える様に20mおきに咲く満開の桜たち。 山頂から下る道では桜の花吹雪でうっすらと白くなった道を走った。道幅も十分にあり、視界も開けて、交通量も殆どない 正に“ さくらロード ” 三昧でした。



無事に、全員が目的地の食堂へ着き、一緒に昼食を摂った。
他の参加者との会話も弾み、少し年配のウエイトレスさんとの会話はもっと弾み、予定より少し長い昼食タイムとなったが、皆とはここでお別れだ。

「また、会いましょう!」



近くのガソリンスタンドで給油。行程 約 230q で 給油量は 約 6リットル。 悪くない。 やっぱり 250t を選んで正解だ。 これで 高速料金が 軽自動車の半額なら文句は無い。

帰路に選んだ道は、奈良県を最南端から真っ直ぐに北上するような道で、途中はずっと山中の道程だ。 ツーリングに慣れたリーダーは居ないので、この時のために装着した NAVI が頼りだけど、自転車用に以前購入した機種なので、10年前の地図データしか入っていない。
でも、「きっと、大丈夫だろう ♪」

途中、選択した “三ケタ国道” から外れて、更にアドベンチャー要素の強い “三ケタ国道” へルートを変えると通行止め、引き返すハプニングもあったけど、信号は少なく、センターラインは白の破線区間が多く、交通量もまばらな川沿いのワインディングロード。

それはそれは、快適なツーリング、と言いたいけど、二つの懸念が残った。
一つ目は、僕の VTR、ツーリングでは挙動が洗練されていない事がわかった。
元々、街中やさほど広くない場所を走るのがメインの用途。一週間前には、整備・セッティング講座用収録の為に、フロントフォーク内部の変更と整備を行なっている。

組み上げた後に必要なデータ確認と調整は手抜きのままだとは言え、追加したスラストベアリングは良い働きをしているのが実感できたとは言え、バランスが悪い。

「フォークオイルは少なくとも 5t抜いて、残ストローク 5o 程度下げなくては」
「イニシャル(プリロード)は 0.1〜0.2 Kgf 程度下げるか?」
「ツーリングしてみないと車両バランスは分からないかも知れないな」



『 ツーリングでの走らせ方 』How to ride on public roads


さて、もう一つの懸念は、ライダー達の走らせ方だ。
これは僕の信条だけど、公道上では交通法規(ルール)は可能な限り順守すべきだし、公道上では限界域に近づく走らせ方はしてはいけない。
だから、車線変更前には 3秒以上ウィンカーを点滅させ、右左折時には 20m以上前からウィンカーを点滅、民家地区を走行する際には 必ず制限速度以下で走行し、車間距離は十分に取るし、コーナーへ進入する際には、回避と機動性の確保のため、必ずノーブレーキのままで入れる速度で走る。別の主義の人も居るだろうが、次の動作に備えて右手操作の選択肢は多い方が安全だと信じている。

そんな僕なりの交通法規やマナーに従った安楽な走りをしている中、道で出逢った多くのライダー達は、こちらが挨拶をすると 四人に一人以上の割合で会釈や腕を大きく上げて挨拶を返してくれたし、走らせ方も概ね平和だ。でも、一部のライダーは 知らずに限界域に入る走らせ方をしていたのだ。
公道では、一般乗用車よりオートバイの方が加速力が勝り、機動性も高く、機敏な走りが可能だ。 まして、山中の道でリッターバイクを走らせれば、その差が一気に大きくなるので、自分自身を誤解する機会があるので注意が必要だ。
気になるライダーが居た。




『 公道上で限界域に入るライダー 』 Do not try the limit


ツーリングの帰路、緩やかな 山中ワインディングロードで、僕を追走しようとした CB1300SF のライダー、僕は安楽ペースで無理せずノーブレーキ走行、安全マージンを多く残している時に彼を抜いたのに、彼は自身の限界域を自覚せずに、ただ追いつこうとペースを上げてきたのだ。

僕は、自分なりの安全ルールを守って走るけど、彼の走りは明らかに リッターバイクの性能まかせ、自分自身の限界を知らない走りだ。 30歳代できちんとした身なりの人。社会的にもしっかりと働いている方と思うけど、公道では自分自身のライディングスキルの限界域に近づいてはいけない。
見通しの良いコーナーの連続では 100m ほどに近づくが、ブラインドコーナーが続くと見えなくなった。「アクシデントか?」と思って、少しだけペースを緩めると、長いブラインド気味の右コーナー、100m以上対向車線を割って走ってやって来ている。自分自身のスキルの限界を公道で試してはいけない。
「せめて、車線変更前 3秒間、ウィンカーは使うべし」
  
基本的に、公道上では自身の限界域に近付く走り方をしてはいけないのは当然の事。
しかし、現実に見かけるライダーの多くは、知らず知らずの内に限界域の近くで走行している。
圧倒的な加速力や機動力を味わうかの様に、法定速度を遥かに上回る速度で走るライダーやワインディングロードで先行車両を抜き去ろうとするライダー達は、実際その場で 想定外の事態に直面した場合には安全マージンが殆ど残っていない事に気付いていない。 これはやってはいけない事だ。
同じ様に、道路をUターンする際に、自信は十分に無いのに Uターンを試みるライダーも 限界域に入る行為だし、高速道路などで 低速走行する車両の間を縫う様に走り抜ける行為も事故回避の為の限界域を超えているから、公道上ではやってはいけない行為だ。

最善の対応策は、限界域で走行させて想定外の事象に直面する経験を積む事が出来る講習機関を設ける事だが、現実的には その様な講習を行なえる機関は殆ど無く、限界を超えた際には転倒や負傷は付き物だから実現は難しい。

せめて、80 q/h や 100 km/h からの急制動や 制動&緊急回避行動 を ドライ・直線の他、ウェット・コーナー での講習を全ライダー必須とすべきだと信じているが、現実的には やはり 機関 と リスク の課題は解決できないだろう。

とすれば、何が最も有効なのか 今も悩んでいる。
自動車が今後一気に フールプルーフ化への道を進み、狭い場所への 縦列駐車や車庫入れ だけでなく、高速走行時の 急制動&回避行動 も含めて全て自動で行ない、ドライバーの技量を問わず 安全確保 へと進むのに較べ、オートバイだけが 取り残され、今よりも危険な乗り物の代表格として 社会から認識されるようになったとしても不思議ではない。

やはり、楽しい乗り物の代表格の一つとして オートバイを残すためには、それを楽しむライダー 一人ひとりの自覚と、他のライダーに自覚を促すライダー達の存在が最も有効なのかも知れない。









クリエイティブ・コモンズ・ライセンス ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています
文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved.