<簡潔編> では、「見かけ上のバンク角」と「実質的なバンク角」という考え方には価値が乏しいと書きましたが、条件によってはこの考え方が当てはまる場面もありますので、それが成立する場面を紹介します。
■ スタントカーの片輪走行の場合 ■
スタントカーで片輪走行を行なう場合、車体全体の重心とタイヤ接地面の中心を結ぶ線と地面が直角を成す必要があります。 より正確に言えば、地面は水平で、重心と接地面中心を結ぶ線は鉛直で、「実質的なバンク角」は 90度 である必要があります。
片輪走行という条件下であれば、「実質的なバンク角」的な考え方は一見では有効に見えますが、実際にはこの片輪走行の状態で、アクセルやブレーキ操作をすると旋回動作を始めるので、少なくとも「バンク角」だけで旋回特性を説明できない事は明らかです。
■バット・ポッドの場合■
正義のヒーロー・バットマンが乗るオートバイ「バット・ポッド」の場合も、スタントカーの片輪走行の場合と同様に、重心とタイヤ接地面中心を結ぶ線と地面が直角を成す時、つまり「実質的なバンク角」を 90度にした時、直進して旋回しない事は確実です。
しかし、スタントカーの片輪走行と同様に、バンクさせて直進させている状態で、アクセルやブレーキの操作をすれば旋回動作に入る事も確実です。ですから、バンク角だけで旋回特性や旋回力を説明できない事は明らかです。
余談ですが、バットポッドの様な極太タイヤの場合、重心とタイヤ接地面を結ぶ線が垂直になるまで間、多少バンクさせても逆の方向へ旋回する事になりそうですね。
なお、バンク角以外で旋回特性や旋回力を決める要素と、その要素で効率良く旋回力を高める為に必要な理解とライディング技術などについて、次ページで解説しますのでご覧ください。
There is an idea that the line connecting the center of gravity of the vehicle and the center of the tire ground surface shows a substantial lean angle, which is effective only under limited conditions.
The following section explains that the turning characteristics of a motorcycle are determined by the turning moment, which is a different element from the lean angle.
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