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 Common sense and insane

オートバイの運転では、両手と両足での操作以外に、上体や両ひざの使い方、そして視線の向きが大変に重要ですが、一つひとつの要素に分けて運転技術の基本を学ぶシステムがありません。よく知られている練習方法を離れて、要素ごとに運転技術の基本を正しく学ぶ必要があります。

When driving a motorcycle, it is important to operate with both hands and feet, use the upper body and knees, and use the perspective. However, there is no system to learn the basics of driving techniques separately.So, you should learn the basics of driving techniques correctly for each element of operation.


10/25/2020 開催オートバイとライダーのための“クリニック” 』リポート


 < サークル練習 >  

  Riding Basics "Circle Practice"



  まえがき

実は、オートバイの運転は、ピアノの演奏よりも難しいのです。

何故なら、ピアノでは両手と右足で演奏ができますが、オートバイでは両手と両足以外に、状態や両ひざを使って運転するうえ、視線の動かし方によっても大きな影響を与えるからです。その上、ピアノと違って、操作の間違いによっては人の生命を奪ってしまうので、ピアノの演奏よりも遥かに難しいのです。
 
しかし、ピアノ演奏の技術習得では右手、左手と要素に分けての簡単な基本練習を行なうのが常識ですが、オートバイの場合には要素に分けて基本練習を行なう意識が全く欠けており、複数の操作要素を同時に使う練習を強いています。そのため、運転技術のレベルが充分でないライダーが多いだけでなく、狭路(一本橋)走行や 8の字走行、パイロンスラローム走行が基本練習だとする誤解が溢れています。

右手でのアクセルとブレーキ操作に始まり、左手、右足、左足がそれぞれに担当する運転操作毎に要素を分けて、その一つひとつを意識して練習が行なえる練習メニューこそ、真に求められている基本練習であり、オートバイの楽しさと安全を高めると信じています。








  サークル練習用のセクション(コース)は

サークル練習は、基本練習の中の基本ですから、とても簡単なセクションです。

下図の様に、一定半径の円です。円の半径・大きさはどんな大きさでも構いません。初級者の方へお勧めする大きさは 半径4m、直径8mほどで、自信がつけば徐々にサークル(円)の半径を小さくしても結構ですが、半径2m以下にする必要はありません。








  走行する時の注意点は

基本練習の中の基本ですから、運転操作(要素)の数は少ないのが特徴です。

サークル練習では、以下の要素だけに留めます。この要素を守るだけで、オートバイは綺麗なサークル(円)を描いて走ります。

  アクセル(開度)は一定に保つ
  バンク角は一定に保つ
  ブレーキは、可能であれば、使用しない



初めてサークル練習をする時には、以下の事に気をつけると綺麗に走れます。

  サークル(円)が一定なら、大きさは気にしない
  ハンドルから力を抜き、オートバイの動きにまかせる
  視線は、無理して先を見ないで、オートバイにまかせる





  動画の紹介

サークル練習の参考にしてもらう為に動画を制作しています。

簡単な内容で、短い案内動画ですが、きっと多くの方の参考になると思いますので、ぜひ一度ご覧ください。







  綺麗なサークル(円)が描けない時は

サークル練習は、大切な基本練習ですが、最初から綺麗にはできないものです。

どんなに簡単な事でも、最初から綺麗に出来る事はありませんし、それが“基本”であれば、もし最初から綺麗に出来たとしても、繰り返し繰り返し練習して身体の芯で覚える事が大切です。
けれど、以下の様な事に気付いた時には、オートバイ側に問題がある場合が多くあります。どうぞ、それをライダーの責任とは思ないで、オートバイを正しく調整・整備する事に注意を払ってください。
   
  困っている内容は ? 困り事への、アドバイスと対応
右と左の周回が、同じ様に出来ない

右回転での周回と左回転で、サークルの大きさが大きく違ったり、走行している時の安定感や怖さが違う場合は、ほとんどの場合、オートバイ側に責任があります
ハンドル位置の調整やアクセルケーブルの調整、フロントフォークの整列や前後タイヤの整列調整などで、多くの場合は解消しますので、当Webサイトの関連記事を参考にしてください
※『 クリニック 』での診断も行なっています

小さな大きさ(半径)で出来ない 大きなサークルで安定して周回が出来れば、全く問題ありませんし心配する事はありません。仮に、半径5m(直径10m)以上でも、いつでも安定して、右周回も左周回も同じようにサークル走行ができる事が一番大切です。機会がある度に、少しずつ練習すれば、やがては小さいサークルも描けるようになります
サークル練習で走っている時、右でも左でも、怖さを感じてしまう アクセル(開度)とバンク角を一定に保っていても、周回走行中に感じる場合の多くはライダーの責任ではありません
本来、オートバイはサークル走行中は安定するように作られていますが、調整・整備が充分でない場合には、それをライダーに伝えてくれるようになっているからです
タイヤの空気圧の確認と調整、ライダーに合わせたリアサスペンションのプリロード調整、チェーンの適正な“遊び”の調整などの他、サスペンションのダンパー(減衰力)調整を弱(ソフト)側へ調整するのをお勧めします
また、ステアリング(ハンドル操作)の動きが悪い場合にも怖さを感じますので、ステムベアリングの状態確認やハンドル(ステム)周囲のケーブルやハーネス(配線束)など、必要に応じて行なう事をお勧めします  ※『 クリニック 』での診断も行なっています





【 まとめ 】

とても残念な事ですが、オートバイの運転免許教習を行なう教習所でも、より高度な運転操作を教える講習会でも、「オートバイを運転操作する事」や「オートバイの動きを制御する事」だけしか伝えていません。
本来ならば、オートバイにはオートバイなりに(物理学的に)自然な動きを行なうのですが、そのオートバイなりの“声”に耳を傾けようとせず、ライダーが思った通りにオートバイを動かしてみせる技術が一番大切な技術であるかのように広く理解されている現状は、オートバイにとって不幸な事ですし、ライダーにとっても大きな不幸です。

どうぞ、この基本練習 <サークル練習> を通じて、オートバイの“声”を聞き、オートバイなりの自然な動きに合わせるライディング技術を身につけてください。
そして、この <サークル練習> に慣れた頃には、必ずオートバイを自然に動かす運転技術が身に付きますし、オートバイが発する整備や調整不良の“声”も聞き分けられるようになり、オートバイにとってより良いパートナーになれるでしょう。


Motorcycles are vehicles that move according to the laws of physics, but many riders misunderstand that it is a good driving technique to control the movement of the motorcycle the way they want it to.
The basic practice "Circle Practice" breaks down the misunderstanding of such a rider and teaches the rider the natural movement of the motorcycle.
In addition, it is a basic practice that can become a better partner for the motorcycle because the sign of the maintenance and the adjustment failure that the motorcycle issues comes to be felt.


解説記事と画像 :小林 裕之
  
Texts and images : Hiroyuki Kobayashi



● 次ページで<サークル練習・実験編> を解説します


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「サークル練習のススメ」のページへ移動します   サークル練習のススメ
   Circle practice is basic
  オートバイに備わっている、自然にサークル軌道を描く特性を
いつでも正確に引き出す為の練習は、確実な上達に繋がります

 サークルが教える、正しい調整とライディング
  Circle practice teaches correct adjustment and riding 
  一定の円を周回するだけの簡単な“サークル練習”は、色々な事を教えてくれる、 オートバイとライディングの基本練習です






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