このエントリーをはてなブックマークに追加


 GRA コラム   「 VTR を買った彼 」
『コラム一覧』 ページへ
 
     
  5. VTR の素性は    

 前ページへ


オートバイに“魂”を注入するのがテストライダーの役割だが、その独特な“匠” (たくみ)とも
言える能力は、決して一朝一夕で身につくものではない。その上、彼らにも定年があるので、いつまでも開発現場で“魂”の注入は続けられない。

購入するライダーの眼が以前より肥えてないのか、メーカーの営業部門のマーケッティング戦略意向が強過ぎるのか、コスト削減圧力が厳しいのか、以前ほどに細やかな“魂”の注入作業をされていない車両が目立つようになっている。

そんな中、設計年次が古い VTR は、簡素な設計ながら、絶妙な車体剛性バランスに優れた、“ 魂 ” の籠った車両だ。 それも、一度目のマイナーチェンジを行なった車両が、一番バランスの良さを発揮している。

残念ながら、マイナーチェンジ2回目以降の車体は、当初備えていた 「ライディングの楽しさ」 や 「スポーツ性」 を犠牲にして、とっつきやすく購入しやすいツーリング車になっている。 ・・ という背景があるので、 僕は俗に 2型と言われる車両に惚れている。

だから、当初の “魂” が籠ったその車両を中古で購入して、塗色など細部は変更したものの、車体の基本的な仕様はそのままで、主に練習用として活用している。

実際に、ノーマルのままでも懐がとても深い車両で、乗れば乗る程に様々な感覚やライディングスキルを、優しく教えてくれる大切な“ お師匠様 ” だ。

だから、彼にも長年その車両を勧め続け、ようやく買ってくれたのだが ・ ・ ?


次ページへ


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています
文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved.