店舗にて At KFC store
土曜日、世界的に有名なフライドチキンチェーン店へ行った。
何故か無性に食べたくなって、10年以上ぶりに、立ち寄ってしまったのだ。
支払を済ませると、チキンが入った紙器パックを、レジ袋に入れて渡された。
「レジ袋は不要」と伝え、「客の選択に任せるようにすべきでは」と言うと、
マネージャー格の男性が、「これはバイオマスです」と自信満々で応えた。
しかし、彼は、法規制をクリアしただけで、環境負荷の深刻さを全く無視している。
植物由来素材を 30% 配合しただけのバイオマスで、生分解性に関する説明は無い。
例え、海洋生分解性の素材でも、使わないのが一番良い事だと高校生でも知っている。
そんな説明に怪訝な顔をする男性を横目に、紙器パックでチキンを持ち帰った。
何故か、50年以上前、初めて食べた時のような味も感激もしない。
チェーン本部の経営陣を刷新して、共感で応援したくなる運営を目指すべきだろう。
バイオマス Biomass
バイオマス(Biomass)とは、本来、生物(Bio)の量(Mass)を、物質の量として
表現する際に使われ始めた言葉、つまり「生物の量」を生態学的に扱う時に生まれた
学術用語だ。
そんな生物の量を示す学術用語が、「バイオ燃料」や「エコ燃料」など、木材や穀物
などの自然素材を石炭や石油などに代わる資源として研究が求められる様になり、や
がて、代替プラスチック(バイオプラスチック)の実用化研究も浸透する様になって、
それらを総称する言葉として“バイオマス”という用語が使われているだけだ。
レジ袋の話題に戻ろう。
一般的なレジ袋は石油から作られたプラスチックだ。
それを「バイオマスプラスチック」に置き換えると、元々地上にある植物を原料にする
ために、地上の二酸化炭素の増減に影響を与えない(カーボンニュートラル)性質の
ある材料とされ、“地球環境にやさしい素材”だと言われているが、実際の製造過程
では従来のプラスチックと同様にエネルギーが必要なので、決してやさしい素材だと
言い切れない。
生分解性 Biodegradable
「バイオマスプラスチック」の最大の特徴で、環境負荷の低減に最も有効だと考えられ
ているのが“生分解性”だろう。 生分解性とは、プラスチック製品になった後でも、
微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される特性の事だ。
従来のプラスチックが生物分解されず自然界に残り続け、微細化して海洋環境などに
深刻な影響を与える「マイクロプラスチック」になってしまうのと較べれば、生分解性
のあるプラスチックは環境にやさしいのは間違いない。
しかし、誤解してはいけない。
「バイオマスプラスチック」が必ず“生分解性”を備えている訳ではない。
バイオマスプラスチックであっても生分解性のないプラスチックも多いし、生分解性
を備えているとしても、“土壌生分解性”もあれば“海洋生分解性”もあって万能で
はなく、全てが環境への負荷が小さいとは決して言えないのだ。
まして、環境保全対策の為に“レジ袋有料化”が法制化された際、産業・経済界からの
反発を減らす目的で、「バイオマス配合率が 25%以上のレジ袋は除外」という規定を
満たすために、KFC が バイオマス 30%配合の レジ袋を採用したに過ぎないので、
生分解性は元々期待できない。
明日への責任 Responsibility for Tomorrow
日本は “使い捨てプラスチック” にとって天国です。
“使い捨てプラスチック” の存在自体が、地球環境や自然界の多くの動植物にとって
有害である事を知りつつ、その製造には石油という有限資源と電力が必要な事は明らか
なのに、積極的にその利用の禁止へと取り組んでいないからです。
その原因は、自らの周囲の人々と同調する事を好み、社会的・歴史的な課題に自ら取り
組む事を拒み、世論という大きな流れと法律による罰則だけに注意を払い、自身の行ない対して責任ある行動を採る事を正義と思わない人達が多く占めているからです。
本来ならば、他者に同調して群衆の一員になる事に執着せず、自ら社会的・歴史的な
事実を学び、その課題解決の為に政策や立法、世論の動向に依存せず、一人ひとりが “善し” とする事を、日常生活の中で一つひとつ実践していく事が大切です。
それが、“ 人 ” が成し得る最大の特徴であり “ 功績 ” であると思います。
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