こんばんは 小林さん
8/9のクリニックありがとうございました
私のX-ADVは、2年ほど乗っておりましたが、
コンビニなどに入る時の縁石で、コツンと音がする
ことに悩んでおりました。
また、高速走行時のリヤの揺れにも悩まされていました。
リヤのホイールトラベル130mmとして43mm縮むように調整しておりました。
そこから、1段程度動かしながらフォークを突き出したりなど
試行錯誤をしておりました。
小林さんの仮説に同意して作業に入りました。
国内仕様ではローダウン効果で、スイングアーム角度が悪くなる
のでEU仕様の位置に合わせるとする方向で調整となりました。
直線加速走行で良い場所を探し7段目or8段目となり
最終的には、私の好みで7段目にしました
*標準は4段目なので、私の体重では2段目程度になるので
今まで5段目以上は試すことすらありませんでした。
昼前からの課題 旋回性と加重
小林さんの座学での説明を受けてからの
実走行で普段はなれない動作でしたが
右手のブレーキとアクセルだけで
旋回のコントロールが可能であることを
理解することはできました(力量は追いついてませんが)
帰宅後のX-ADV考察です
EU仕様
150mm だと サグ50mmになるので縮側100mm
JP仕様 130mmとするサグ30mmにすると縮側100mmで
上手くいくのでは?
それぞれの段数での数値を測定しました
測定時体重は56kg (ライディング時は62kg程度)
段数 |
0G 時車高
(o) |
1G 時車高
(o) |
1G' 時車高
(o) |
サグ 値
(0G時 - 1G'時) |
備考 |
1 |
620 |
588 |
572 |
48 |
|
2 |
620 |
590 |
575 |
45 |
8/9 朝仕様 |
3 |
620 |
592 |
578 |
42 |
|
4 |
620 |
595 |
580 |
40 |
出荷時 |
5 |
620 |
598 |
583 |
37 |
|
6 |
620 |
602 |
585 |
35 |
|
7 |
620 |
605 |
588 |
32 |
8/9 調整後 |
8 |
620 |
608 |
590 |
30 |
|
9 |
620 |
610 |
592 |
28 |
|
10 |
620 |
613 |
595 |
25 |
|
なお、バネレートは140.7N-189.2Nらしいです。
(YSSさんに問い合わせした時の情報です)
8/9朝の時にはフロントが5o突き出ししていましたが、
リヤが13mm上がったので
フロントも上げようと10mm付下げしました。
(フルブレーキで約100mmストロークで1G'で37mm沈みでした。)
かなり、軽快になりましたが 少しフロントからの
ギャップを拾いやすくなった様に感じます。
様子を見ながら、微調整していこうかと考えてます
結果としてシート高は、810mmまではいってないが800mm超えて
そうな測定値になりました。
両足でつま先立になっておりますが、低速でも安定性が
増しているのか今のところ気にはならない状態です。
以上 ありがとうございました
【 後日、別便でのお便り】
私のx-advですがパーツカタログとにらめっこです。
プリロードが効きすぎで
良いのか?悩んでます。
足つきは気にはなりませんが、三分の一が足りて無くて良いのかと。。。
リヤのリンクなどは、同じでした。ショックのみがちがうようで4万程度です。
ナイロンで10万ですね。
リンク換えても車高は変わるので、これが良いのか?
フロントフォークは、純正で二十万です。突きだしで我慢です。
フォークには、スラストベアリング入れみたいところです。
【 担当講師より 】
今回は、とても珍しい車両での受診・参加、お疲れさまでした。
受診予約の際から、この車両で、どんな場面で、どんな風な状態に困っているかを説明して下さったので、クリニック当日を迎える迄に、下調べと幾つかのプランを想定する準備をする事ができました。
そして、クリニック当日の問診と調整案に積極的に取り組まれただけでなく、その後でも、走行中のオートバイのバランスを整える調整と検討に取り組まれている様子に感心させられています。
オートバイを安全に楽しく走らせるには、オートバイ自体のバランス調整とライダーに合わせての調整が大変に重要な事ですから、どうぞ、現在の熱心さのまま、オートバイとの良い付き合いを目指してください。
そして、社会との関わりの『心』と、運動力学に基づいた適切な運転『技』とのバランスも大切です。
どうぞ、次の機会には、バランスの良い『心』や『技』との関わりについても、あなた自身が考えている事をお聞かせください。
* * * * 以下は、調整に関する詳細な回答です * * * *
≪ 不安要素とその変化について ≫
不安な点はサスペンションに関連していましたが、調整によって、どう変化したのでしょうか?
高速走行時の不安な揺れ、段差を超える際の異音などがどう変化したかが分かりませんので、具体的に細かなアドバイスは難しいのですが、車両・X-ADV の設計や成り立ちと、現在取り組んでいらっしゃる内容から幾つか提案をお届けします。
≪ ホンダ X-ADV について ≫
クリニック当日にも簡単に私の見解を伝えましたが、X-ADV は 主な販売市場である EU 用の設計と仕様を日本向けに変更した車両だと推定しています。そして、最も重要な変更が前後サスペンションストロークの短縮で、それにより 前後共に約 30o 車高を低くさせていると推定しています。そして、その推定が正しいとすれば、その車高低下させる変更によって運動特性や安定性の悪化は生まれている筈だと考えています。
そして、それらの悪癖を改善する最も確実な方法は EU 仕様での運動状態に近づける事だと言えます。
≪ リアサスペンション について≫
最善の対策は、EU 仕様のリアサスペンションユニット に換装する事です。
または、求める サスペンションユニットを 社外製ユニット組み立て販売を行なっている会社へ発注する事ですが、この際には ユニット全長の指定の他に、ユニットの全ストローク量、そして スプリングレートの指定が必要になります(ダンピングユニットは、スプリングレートとストローク量でメーカーお任せ設定)
現状のユニットのスプリングレートを事前に必ず測定と計算で求め、そのレートの 5% アップが妥当だと思います。同様に、日本仕様ノーマルユニットの プリロード段数 2段目でスプリングに掛けていたプリロード荷重が確実に掛けられる構造になる事が必要になります。
社外製ユニット組み立てメーカーが EU仕様のデータを持っていれば簡単ですが、仮に備えていなかったとすれば 充分に細かい仕様を指示出来ないと大きなリスクと一緒に購入する事になるのは確実です。
そこで、ノーマルユニットでの対応について述べると、今回のスイングアーム たれ角を基本にした調整にすべきだと考えています。 スイングアームたれ角が適正でないと、バンク中のアクセル ON・OFF 時はもちろんの事、アクセルを開けての 直立走行時でも 路面の細かな 凸凹に反応して スイングアームが不適切な動きを行ないます。 それによって、リアタイヤの適切なグリップが得られ難くなり、特に 15インチ と小径で方向安定性に欠ける X-ADV の リアタイヤが 左右方向にも不正な動きを見せる筈です。
リアサスペンションをライダーに合わせて 適切なプリロード量に合わせる事は、適切な サスペンションの動きを確保する為に重要な事ですが、それ以上に 適切な スイングアーム のたれ角 をサスペンションに与える事は大切な事だと思います。
≪ フロント サスペンション について ≫
ご存知の通り、オートバイにとって前後の車高のバランスは重要です。
仮に EU仕様 で前後の車高バランスがとれていたとするならば、EU 仕様に近づけた スイングアーム たれ角に合わせて フロントの車高も調整する必要がありますが、既に フロントの車高を高くされた様子で正解だと思います。
その調整幅(値)が明確に記載されていないので断定はできませんが、仮に 15 o 車高を上げる調整であったのなら、かなり大幅な調整だったと言えますが、その結果から良いヒントが見えている様ですね。
と言うのは、フロントの車高バランス点を超えている様子だからです。 ご存知の通り、調整作業とはバランスを整える作業の事ですが、その バランスするポイントは 一つの点で、調整でその点を超えてしまうとそれ以前と全く違う表情を見せてくれます。 今回、車高の偏向によって「 軽快になった 」という事、そして「 ギャップを拾いやすくなった 」(路面変化による フロントの左右方向への反応が感じやすくなった?)という具合に別の位相(フェーズ)へと変化している様ですから、バランス点を少し超えてしまっているという判断は間違いないと思います。 最初は 2〜3 o 単位で変更して確認を行ない、最終的には 1o 単位以下で調整すれば良いバランス点に巡り会えるでしょう。
そして、ここで一番大切な事は、フロントフォークの突出し(突き下げ)量の記録ではなく、1G' 時(乗車時)の フロント車高を正確に計測して記録する事が一番大切です。
本来であれば、EU仕様の サスペンションストローク量の大きなフロントサスペンション ユニットへと換装したいところで、仮に換装した場合でも、ここで求めた 1G'時 フロント車高 へと調整する事が一番初めに行なうべき事です。 また、ストロークアップを求めて、ノーマルのダンパーユニットの換装を行なう場合でも、または より適切な フロントサスペンションの ストローク位置調整の為に フロントスプリングの 換装変更を行なう場合でも、最初に行なうべき事は 求めた 1G' 時車高に調整する事だという事を伝えます。
ここで、一つ 気になる事、疑問に感じている事を書き留めます。
それは、フロントサスペンションの ストローク量の事です。 X-ADV の フロントサスペンションの仕様を調査・確認した時、記憶では、EU 仕様が 150 o 程度で 日本仕様が 120 o 程 との記載記事が多くありました。 が、ご自身の ストローク量確認で 「 フルブレーキで 約 100 o ストローク 」という記述が気になっています。
現行の多くの大型車両では、フロント サスペンション ストローク は 120 o で設計されるのが一般的で、X-ADV の 姉妹車種・NC750 や NM4 など 同様のフレームとエンジンを採用した車両でも 同様の傾向の設計になっていますが、仮に 0G (無荷重時)車高 から フルバンプストローク時車高を差し引いた値、つまり フルストローク量が 100 o であれば 考慮すべき事柄が増えるのです。
フロントスプリングの スプリングレート と 全ストローク量には密接な関係があり、この二つは 良いバランスを保つ事がとても大切で、仮に 全ストローク量 を 120 o で設計した フロントスプリング を ストローク量 100 o の環境で働かせてたなら、エアスプリング 成分とのバトンタッチが上手に出来なくて、ストローク後半の領域で “ 段つき ”“ しゃくり ”に似た症状をフロント サスペンションが 表します。
フルブレーキでの ストローク量確認は、路面状況やブレーキ開始速度、路面温度、そして ABS介入の有無によって 左右されますので、それらの条件を常に一定に合わせる難しさがあります。が、どう測定しても 100 o 程度しか示さないとすれば、ストローク量を 増やす調整は欠かせないと思います。
< 追伸 >
長くなりましたので、ここで筆は置きますが、今回 私が書いた事柄の中で参考になる事があれば、是非、参考にして進めてみてください。 また、不明な事や質問したい事がありましたら、些細な事柄でも精一杯回答に努めますので、どうぞ、変更や調整による変化などを含めて詳しく教えてください。
蛇足になりますが、オートバイの調整・セッティングの面白さを末永く楽しむためにも、『心』や『技』についても 目を向けてる事を続けてください。
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