2020年 9月 6日 開催 オートバイとライダーのための“クリニック”
2020年 9月 6日 (日)
受診した方の要望に合わせて、オートバイの整備状態の診断とアドバイスの他、乗る人に合わせたオートバイのセッティングの診断とアドバイス、そして苦手に感じて不安に思っているライディングへのアドバイスや練習指導を行なう“クリニック”の様子を、行なった内容の順に報告します。 多くのオートバイとライダーが、いつまでも、安全で、楽しいオートバイライフを過ごせる事を願っています。
私達ライダーと関係が深い事柄を「お題」として取り上げ、その事柄について意見交換を行なう中で、オートバイの整備やライディング練習だけでは克服できない課題について一緒に考える時間を設けています。 オートバイやライディングとは違って、良否の判断や結論を出す事はせず、一緒に考える事が大切だと考えています。
今回の「お題」は以下の二つでした。 【高速道路の完全ETC化について】 東京都の小池知事が高速道路の完全ETC化 の要望を政府に要望した報道です。 社会と技術の趨勢から、ETC化への流れは 当然だと思われますが、人は様々な事情の 中で生きていく権利は保障されるべきです。 一人ひとりの責任が問われる内容です。 【どっちが 上手い?】 一般道であれば、緊急回避の場合を除き、 限界的な走行を行なう事は許されません。 しかし、同じ道路を同じ速度で走る場合は、 ライディング技術の優劣によって安全レベ ルが大きく異なる事は事実です。 では、一般道を走る多くのライダーが安全 レベルを向上させるにはどうすれば良いの でしょうか。
受診した方は、社外製のリアサスペンションユニットの分解整備を発売元に依頼して、クリニック直前に装着しなおしたとの事で、改めてオートバイとライダーに合わせた適切な調整・セッティングを行ないたいという要望を受けました。
“リアの車高”の調整は、スイングアームの垂れ角を適切に調整して、加速した時にリアサスペンションの動きを妨げず、常にリアタイヤのグリップ力を最適に保つための調整です。それほどに、“リアの車高”調整は大切な調整ですが、正しい知識と適切な環境があれば、それほど難しい事ではありません。 しかし、大変に高額な社外製リアサスペンションユニットへ換装している多くのライダーを始め、市販状態のノーマル車両の人でも“適正なリアの車高調整”を行なえている人は多くありません。 GRAは、多くの人が、より安全で楽しいオートバイライフを過ごすために、適正な“リアの車高”の調整の正しい知識と調整技術が伝わる事を願っています。
直立走行状態での“適正なリアの車高”調整は比較的容易ですが、もっと大切な調整は傾斜走行時(バンクさせている時)のリアの車高調整です。その理由は、適正なリアの車高調整は加速時のリアサスペンションの作動を保障して、リアタイヤのグリップ力を守るのに大切な働きをしているので、特にグリップ力が必要な傾斜走行(バンク走行)時の調整が大切なのです。 しかし、傾斜走行時の適正なリアの車高調整は、直立走行時の場合よりも繊細で微妙な調整が必要ですから、一般道では決して行なうべきではありません。安全が確保された特別なエリアでこそ、精緻な調整が行なえるのです。
受診した方から「 Uターンができる道幅を確認したい 」という要望を受けましたので、Uターンが可能な幅を実際に実感して練習に適した “ ボックスセクション”で走行してもらいました。
オートバイは車と違って後退(バック)する事 ができないため、街中で方向転換が必要な時や、行き止まりの道に遭遇してしまった時など、U ターンができるかどうか見極める能力と実行で きる能力が必要になります。 そんな能力を伸ばすには、ボックスセクション の利用が一番適しています。
“適正なリアの車高”調整が終わった後、受診者の要望に合わせて“前後の車高バランス”の確認と調整を行ないました。 “前後の車高バランス”の確認と調整をする目的は、旋回を行なう時、前後のタイヤがバランス良く同時に旋回を始められるようにするためです。前後のタイヤが息を合わせて旋回を始めれば、オートバイは気持ち良く旋回を始めて、ライダーにとってもコントロールが容易になるのです。
リアの車高調整を行なってから行なうフロントの車高調整の方法は、フロントフォークの固定位置の変更で行なうのが一般的です。 フロントフォークを固定している上下のヨーク(ブラケット)の固定ボルトを緩めて、フォークの固定位置を変更した後で、改めて固定ボルトを締め付けます。ほんの数ミリの変更でも、前後の車高バランスは変わります。 前後の車高バランスの確認方法は、下の画像の様に、時速10〜15q で直立走行しながら、特定の地点で左右どちらかの方向へ旋回を行なった時、その旋回開始直後、リアタイヤの旋回と同じタイミングでフロントタイヤが旋回を始めるかどうかで判断します。下の画像では、フロントの車高が低くて、リアタイヤの旋回に対してフロントタイヤの反応が遅れています。つまり、フロントの車高が低い状態です。 『 最後に 』
受診した方の要望に合わせて、主にオートバイの前後の車高調整を丁寧に確認して、調整のサポートを行なったクリニックになりましたが、想定していた以上の驚きがありました。それは、前後の車高バランスの調整による大きなメリットがあった事です。 最初にUターン幅の確認を行なった時には、約 8.7m幅では軽々とUターンできたものの、その幅を 約 6.5m へと狭くするとクリア出来なかったのですが、前後の車高バランスを調整した後で、再びUターン幅の確認をしてみると、約 6.5m 幅でもクリアする事ができたのです。これは 一般国道の 2車線分の幅以内で Uターンができる事になり、実用的にも大きなメリットと自信が得られた事でしょう。 GRAは、長年の経験や知識を活かして、オートバイや運転の不安を取り除き、オートバイとの親密度を高める適切な整備と調整や、オートバイの能力を活かした適切で安全な運転方法為の情報発信を行なうと同時に、社会とのより良い関わり方を築くために、様々な情報発信や講習活動、啓発活動を続けていますので、安全で楽しいオートバイライフに関心がある方は、“クリニック”を受診される事をお勧めします。また、受診が難しい方へはオンライン“クリニック”での対応を致しますので、不安な事や困っている事、知りたい事などをご連絡ください。