オートバイの基本的な特性を体感して学ぶには、とても簡単なセクションを作成して、運転操作の要素を可能な限り少なくして、特にブレーキを一切使わない走行で、繰り返し練習を行なうのが最も効果的です。
しかし、身に付けた感覚や技術を一般道走行の安全に役立てるには、様々な要素が入れられた練習用のコースで、時速40q 程度の走行速度と前後ブレーキを使用して、体感して学んだ特性や運転操作を応用する練習が必要になります。 そこで、下図の様に、学んだ事が応用できる練習コースを作成しました。

更に、オートバイの運動感覚とそれを活かした運転操作を効果的に一般道でも活かす為に、走行の一回ずつ、スタートラインからゴールまでのタイム測定を行ないました。 タイム測定は、時々誤解を受けますが、速く走る為に行なうのではありません。毎回、同じタイムを記録する事を目的に行なっているのです。
その理由は、オートバイの運動特性を正しく理解して、適切な運転操作が身に付いていれば、毎回の測定でほぼ同じタイムを記録するからです。逆に、測定したタイムにばらつきが多ければ運転操作の不安定さが多い事の結果ですし、速く走ったと思っても遅いタイムしか記録できなければその運転には無駄が多くて危険だという事を示すので、とても有効な練習方法になるのです。
実際、今回も受診者の方は同様な現象を体験していましたし、練習では上手に走れたのに、実践的コースでは思ったように走れない箇所がある事を発見したようです。
『 最後に 』
オートバイは自然法則、物理法則に従って運動・走行している物体ですが、その法則の理解を一切行なわず、「こんな時はこうして、こういう風に走らせべき」とか「ニーグリップが基本」など、基本を無視したライディング論がはびこっています。
今回のクリニックを受診した人もその事に気付いて、「オートバイって、ボーリングの玉と同じなのですね」と話してくれました。「ボーリングで玉を投げる時は、奥にあるピンを目がけて投げるのではなく、レーンの途中にある三角形の目印・スパット を見て、そのどこに向けて投げるかで玉の行先が決まるのと同じですね」という事でした。
オートバイで走行する場合も同じで、コーナーやカーブに向けて進入する時は、【コインの法則】で解説している通り、手前のどこからバンク・旋回を開始するかで殆ど決まってしまうのです。しかし、多くのライダーや彼らを指導するインストラクターも自然の法則を無視して、オートバイにとってグリップ限界を下げられてしまうハンドル操作やバンク角変更、ブレーキのON・OFF操作を強いて、人間が勝手に思い込んでいる理想的な走行ラインを走らせる事に捉われてしまっている様に思います。
どうぞ、サークル旋回を行なうサークル練習や、コインの法則に従ってノーブレーキでサークル旋回へと進入する練習する機会を設けて、オートバイのありのまま・自然な動きを受け入れて、その上でライディングを組み立てる事に目を向けて欲しいと願っています。

GRAは、オートバイや運転の不安を取り除き、オートバイとの親密度を高める適切な整備と調整や、オートバイの能力を活かした適切で安全な運転方法為の情報発信を行なうと同時に、社会とのより良い関わり方を築くために、様々な情報発信や講習活動、啓発活動を続けていますので、安全で楽しいオートバイライフに関心がある方は、“クリニック”を受診される事をお勧めします。
また、受診が難しい方へはオンライン“クリニック”での対応を致しますので、不安な事や困っている事、知りたい事などをご連絡ください。
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