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2021年 7月11日 開催
オートバイとライダーのための“クリニック”

オートバイとライダーのための“クリニック”では、オートバイに関する様々な不安や疑問と悩みを、一人ひとりの要望に合わせて、適切な診断とアドバイスでサポートしています。
今回は、サスペンションのセッティングについて相談を受けましたので、内容別にクリニックの様子を報告します。

 The clinic for motorcycles and riders is a special event to respond to the worries
 and needs of each recipient." This time, it was a request regarding the suspension
 setting, so I will report it by content.



  ダンパー調整の基本、最適値は一つ
  
  Optimum Rear Damper Adjustment is one



受診した人の要望が 「 リアの車高調整がしたい 」と「 トレール量と旋回性との関係を体感したい 」、「 オートバイの構造を理解して安全な運転を続けていきたい 」という事でしたから、オートバイの働く力学的作用を一つひとつボードを使って説明した後、実際に車両を調整して走行確認を行ない、その変化を体験しながら調整を進めていきました。更に、その調整と走行確認の様子を動画で撮影して、『 クリニック 』を受診する事が出来ない全国の多くのライダーに届けられる様に、セッティングの様子も動画でお届けします。






『 誤解の多い、ダンパー調整 』  Lack of Understandings


最近では、市販オートバイの多くで、ダンパー(減衰力)調整ダイヤルがついた前後サスペンションが最初から装備されていて、ダンパーの調整に関心を持っている人も増えています。

それに合わせて、「 〇〇〇(車名)の リアの伸び側(Tension)のダンパー調整は **(ダイヤル数)で、縮み側(Compression)は ・・・がベストだ!」など、ダンパー調整本来の目的を無視した記事・投稿も多くなっています。 更には、プロと称するライダーが、「 △△△(車名)のダンパー調整は、高速道路を走る時は ** で、市街地走行では ***、山道(ワインディング)を走る時は **** だ 」などと、ダンパー本来の働きさえ理解せず、一方的に危険な情報を発信している例も少なくありません。
 
 
ダンパ^調整の基本 / リアのダンパー調整方法、GRA
 
 
そのため、ダンパー調整機構が備わった車両を購入した人や、高額な社外製サスペンションユニットを装着した人の多くは、調整への関心や機会はあるものの、車両メーカーやサスペンションユニットメーカーから適切な調整方法を知らされず、一方的で誤った投稿や情報の中で彷徨い、高価な買い物の真価を発揮できずにいる状態に近いと言えるでしょう。









ドアクローザとダンパー調整 Door Closer Damper Adjustment


サスペンションの働きを説明する際、時々、話題にするのが「ドアクローザ」です。ドアクローザとは、扉の上部によく取り付けられている装置で、出入りの為に開けた扉を自動的に閉める役割の装置です。
 
 
ダンパー調整の基本 / ドアクローザとの共通点
 
 
ドアクローザの仕組みはオートバイのサスペンションと同じで、スプリングとダンパーがセットで組み込まれています。そして、ダンパーはドアが閉まる時の動き(速度)を最適にコントロールしているのですが、殆どのドアクローザには “ダンバー調整ダイヤル(弁)” が備わっている事は知られていません。


ダンパー調整の基本/ドアクローザー
 
 
その上、オートバイでは一般的ではなかった時代から、ドアクローザには既に調整弁が備わっていて、少ない機種でも1個、多い機種では 3個の調整弁が備わっているのが一般的なほどに、ドアクローザーのダンパー調整機構は緻密で、調整機構の重要性と必要性が高く認められているのです。









『 最適なダンパー調整は 』  Optimum Adjustment Method


最適なダンパー調整を、ドアクローザの場合に当て嵌めて説明してみましょう。 開けたドアが閉まり切る直前までは、スプリングの力で閉まろうとするドアの動きを強くは抑えず、閉まる直前になってから制御を強める様にする調整が最適でしょう。 つまり、開けたドアが閉じていく時の速度は危険でない程度に少し早目にして、閉まり切る直前には大きな衝撃や音が出ない様に速度を抑える調整にすべきですが、かと言って、完全に閉まり切らない様なダンパー調整は良くないのです。


リアのダンパー調整 / ドアクローザとの共通点 GRA


実際に、ドアクローザのダンパー調整を行なってみると理解できますが、理想的なドアの閉まり方を求めると、そのダンパー調整には微妙な調整が必要で、最適(最善)の調整値は一つしかないのです。その上、同じドアとドアクローザでも、家や部屋が異なると、最適(最善)の調整値は同じでない事にも気付くでしょう。 更に、ドアの種類や大きさ(重さ)が違ったり、子どもも出入りを良くするドアだったりすると、最適な調整は一つしかない事がわかるでしょう。



実は、オートバイのダンパー調整もドアクローザの基本と同じで簡単です。
[伸び側](Tension)か「縮み側」(Compression) のどちらか一方の調整ダイヤルを、最弱から最強の範囲へ変更しながら確認走行を行ない、車両の挙動が “重い” から “軽い”  またはその逆へと変化する調整値を探し出すだけです。その挙動が変化する調整値を基準にして、その調整値か 1クリック分ソフト側(弱い)へ調整するのがお勧めです。 なお、確認走行の方法は、安全が確保されたエリアの中で、低速・時速 10q程で真っ直ぐ走り、ブレーキを一切使わないで、決めた地点で左右どちらかに 90度 旋回(曲がる)という簡単な確認走行がお勧めです。そして、使用車両やライダーによって最適な調整値が異なる点もよく似ています。

ただ、一番の問題は、ドア以上に人の命に関わるダンパー調整なのに、その最適な調整方法と調整場所を責任を持って提供しているメーカーが一つも無い事です。そこが、ドアクローザの製造メーカーと大きく異なり、オートバイ業界のとても残念な点です。
 









『 その他、伝えたいこと 』  Another thing I want to tell you


僕は、以前、調整機能がたくさんついた市販のダンパーを購入する時は、「伸び側調整幅 〇〇クリック」とか、「縮み側調整幅 △△クリック」、「車高調整幅 □□mm」とか、その数字が大きければ大きいほどに優れていると信じていました。でも、車両を代える度に、色々なメーカーの社外製品(ダンパー&スプリング ユニット)を購入して、最適調整を求めて調整作業を繰り返す度にその考え方が変わったのです。

 「 調整クリック数が多くても、実際に使うのは一つだけ 」
 「 調整クリック数が多いのは、ある意味で“ごまかし”と同じ 」

その理由を説明しましょう。
オートバイの重量とライダーの重量(体重)が決まり、スプリングレートなどを決めれば、自然に最適なダンパー設定値(設定減衰量)は一つに決まる事はドアクローザーで説明した通りです。だから、市販車でダンパー調整が無い車両の場合、車両メーカーが想定したライダー体重でスプリングレートとダンパー設定値を決めて、実際にテスト走行を繰り返した後で販売しているので、基本的には最適に近いバランスに整えられています。

しかし、社外製ダンパーユニットの多くは、実際にテスト走行を行なわずに「〇〇車専用」として販売されているのです。それは、数種類ずつ部品として輸入したダンパーユニット用部品を、〇〇車に合うサイズで組み立てて、市販車両と同じレートのスプリングを組み込んで販売されているからです。そのため、市販車の場合とは異なり、販売前に最適なダンパー調整を行なえないので、調整幅を少し広くして販売する方法を選んでいるという事を知っていて欲しいのです


ダンパー調整の基本 / 特製ドアクローザー
 
だから、どんなに高額で高性能・高品質を謳った社外製品を購入したとしても、ドアクローザーを高性能な製品に交換するのと同じで、「最適な調整値」は一つしかなく、その「最適調整値」へと調整する責任は購入者・ライダー任せになっていて、最適調整が出来なければ“宝の持ち腐れ”になりかねないのです。そういう意味で、ダンパー調整の基本的な考え方と調整の進め方が、より多くの人々に広まる事を願っているのです。


また、最初からダンパー調整機構が備わっている市販車のオーナーへ伝えたい事が二つあります。
一つは、ノーマル部品は結構良い製品だと言う事です。もちろん、高額で販売されている社外製品よりも工作精度や材質レベルは低いかも知れませんが、専用設計されて繰り返しテスト走行を行なった後で採用された製品ですから、定期的な分解整備や交換を行なうなら、社外製品に見劣りする事はないのです。

二つ目は、最適調整が簡単だと言う事です。それは、専用設計で試験走行済みの製品のため、ダンパーの調整幅も必要な範囲に合わせてあるからです。だから、どんな調整をしても、的外れな調整になり難いので、社外製品の場合と較べれば、最適な調整値への調整も容易なのです。
そして、調整クリック数が社外製品と較べて少ない事を不満に思っている人に伝えます。クリック数が多いのは、細かな調整を簡単にするために、調整用ダイヤルの回転幅を小さく区切っているからだけなので、ノーマル部品でも「△△クリックの位置からの 30度回し」など、クリックからクリックの間をアナログで角度調整すれば OK です。調整用ダイヤルの構造上、クリック機構を無くして、全て角度調整にしても良いぐらいで、“無段階調整”できる事を覚えてください。



以上、簡単ですが、ダンパー調整について伝えましたが、不明な事やもっと知りたい事がありましたら、ぜひ、ご連絡・問い合わせください。








インストラクター:小林 裕之
  
Instructor : Hiroyuki Kobayashi






* * *  次ページでは 『 前後の車高バランス調整 』の報告です * * *
The theme on the next page is "Front and Rear Height Adjustment".

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