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( 2017年 4月 発表資料 )

『GRA、過去、そして現在の目標』

NPO法人GRAの活動目標は、「 いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフ環境の育成、そしてその環境を創る人の育成 」です。

これからもこの目標の達成のために活動を続けていきますが、これまでの活動を見直して、もっと直接的な表現を用い、時には反発や誤解も恐れず、私たちが信じている道を歩んでいきます。

私たちのこれからの活動に強い興味と関心を持つ方へ、この信じる“道”を発表し届けていきます。
 

【 20年後の決断 】

1991年、「ジムカーナ文化の創造」を目標に発足させたGRAでしたが、2010年に発足後の 20年間を振り返り、「 このままではダメだ 」とある決断をしたのです。

発足後の20年の間に、関西を中心に北海道から沖縄まで全国各地で、558回のイベントを開催して、延べ 20,157 名の参加ライダーを動員し、自動車学校など多くの会場管理責任者の方々や協賛企業担当者の方々、そして雑誌などマスコミライターの方々の尽力を得てきた結果、オートバイの楽しみ方を全国へ広める事は達成しました。

しかし、このオートバイでの楽しみを続かせて深めていくために、自らが積極的に他のライダーや家族、社会に働きかけるなど、良い環境を創る意識を持った人が充分に育ったとは言えない現状に変革の必要性を感じていました。

サーキットという一般からは隔離された場所で、公道走行は出来ない専用車両を走らせるレーサーの人達には、社会への良い認知度を高める努力をしている人は多いものです。
しかし、公道仕様のオートバイで競技を楽しむ人達には、オートバイを操る楽しさ、同じ趣味を持つ仲間との楽しみに没頭し、練習と改造を重ね、大会などで良い成績を残す事を追い求める人が増えただけの様にも見えるのです。

それでは、社会的な観点からは、峠道を我が物顔で走りまわっている峠ライダーが市街地の一角でやや合法的に遊んでいるのと変わりありません。

直接社会と接する機会の多い環境の中で、公道仕様の車両を改造して、上手になる事や速く走る事だけに熱中し、社会全般からのオートバイやライダーに対する認識や評価を良くする努力をしないライダーは、オートバイでいつまでも楽しむ環境を作る責任を放棄しているだけでなく、オートバイの社会的な評価を高める活動をしている団体やその環境創りに協力している一般ライダーの人々にとっては迷惑な存在でしかありません。

この20年の間に、以前とは較べられない程に多く開催されるようになったジムカーナですが、この20年間の GRA の「ジムカーナ」がそういうライダーを育てた存在であるならば、GRA では「ジムカーナ」をこれまで通りに開催する事を止める決断をしたのです。

 

【 4年間のイベント休止の後で 】

4年間のイベント休止期間には、主に 公式Webサイト や 各種 公式ブログサイトやFacebook など 各種公式SNSサイトを通じて、ライダーが自らオートバイライフ環境を整えていく考えやその大切さを発信してきました。

そして、2014年、イベントを開催休止してから 4年後、イベント開催活動を再開する事になりましたが、そこで改めて強く感じさせられた事は、オートバイを深く味わうにはイベント開催が最適である事と、そしてイベントでその楽しさを実感するからこそ 発信情報の価値が上がる事を実感しました。
だから、情報発信とイベント開催は並行して行なう事を新たに決意しました。

これらの経緯の後、このGRA活動を通じて伝えたいと考えている事を、四つの要素に分けて説明すれば下記の通りです。

 

【 心、技、体、バイク の全てを伝える 】

オートバイに乗る事は私たちに大きな喜びを与えてくれます。
そして、その喜びを安全に、いつまでも保つには、「心、技、体、バイク」の 四つの要素が欠かせないと考えており、それぞれの要素ごとにテーマを絞ったイベント開催や意見文章の発表を行なっていきます。

要素別に簡単な説明をします。
順不同になりますが、最初は「バイク」の説明です。

【 バイク 】
  いつまでも、楽しく、安全に走るためには、オートバイの正しい整備が欠かせません。また、身体に合わせた調整(セッティング)は整備と同様に大切です。
しかし、壊さないための予防整備や壊れた時の整備(修理)はあっても、安全に楽しく乗り続けるための基本整備は浸透しておらず、調整(セッティング)に至っては全く不足しています。
整備や調整が不足したままでは、安全性が低い他に、誤ったライディング技術を身に着けてしまうきっかけになる例も少なくありません。
そのために、公式サイトとイベントを通じて、整備と調整の知識や情報をもっと多くのライダーへと広めていきます。

 
【 技 】
  安全なオートバイライフを続けるためには、一定レベル以上のライディング技術が必要なことは多くの人に認識されている通りです。
しかし一般的には、ライディングフォームや視線など外観に重点を置いた技術指導や、タイムで測定できるライディング指導などに偏っている風潮があり、その事は決して良い事とは考えていません。
「オートバイはライダーが操るモノ」という考えに執着したライディング技術指導は、往々にしてオートバイの物理的な基本動作原理を無視したライディング手法が広まる原因であり、オートバイとの深い会話を阻害する不幸を招いている例が多く、それらの是正提案をしていきます。

 
【 体 】
  四輪車の場合よりも身体的負荷が大きくなるオートバイの運転ですから、筋力や視力などの身体的能力の維持には多くの人が気を遣っている事でしょう。
しかし、身体的能力に合わせた車両選びが見過ごされている点は決して看過できません。
ロードバイク(自転車)は身体に合わせた車体を選択するのが常識ですが、自転車よりも更に重くパワーがあり、危険性の高いオートバイにこそ、身体的能力に合わせた選択が不可欠だと啓発していきます。

【 心 】
  この「心」こそが、NPO法人GRAとして最も啓発し啓蒙していきたい事柄です。
それは、「いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフ環境の育成」に一番大切な事だからです。
では、この「心」に対する活動方針について、次の章で述べます。

 

【“わがまま”であれ! 貪欲であれ! 社会の一員であれ!】

一般的なスポーツ、例えば 柔道や野球とかで言われる「心」は、「努力」とか「自信」、「信頼」や「礼儀」を指す場合が多いかも知れません。
しかし、私たち GRA が伝えたい「心」はそれらと似ても似つかない内容です。

私たちが伝えたい「心」は、「“わがまま”であれ! 貪欲であれ! 社会の一員であれ! 」の言葉で表せます。

所詮、一人で操縦するオートバイの楽しみは、“ わがまま ”にやりたい事をやる時が最も情熱が湧き、最も学習意欲も高く、一番楽しいものです。
だからこそ、私たちは“わがまま”である事、貪欲である事を強く推奨しています。
しかし、自分勝手なだけの中途半端な“わがまま”は推奨していません。

本当の“わがまま”は、家族や社会など周りの人々に一切の迷惑を掛けないモノであり、その言葉のイメージとは逆に、社会の人々の共感が得られるモノだと信じています。

過去において、私達ライダーの楽しみ方により社会的な反発を多く生み、現在も 免許取得制限や二輪通行禁止道路の他、オートバイライダーである事への 一般社会からの偏見的意識として残っている事は事実です。

現在においても、限られたエリア内だけで合法的に楽しみを追及するライダーは多く居ますが、真に深く楽しみたいと願うならば、一般社会に残る偏見や風評を払しょくする存在になる努力をするべきだと考えます。
特に、一般公道仕様の車両で楽しみたいならば、尚更、その努力は欠かせない筈です。

それらの努力を行なわず楽しむだけならば、他の一般的ライダーの楽しみや他のライダーが“わがまま”を発揮する機会を奪う事に繋がるのです。

私たちは、他者の楽しみや“わがまま”の機会を奪うのではなく、より多くの人々を納得させられる“わがまま”の努力を貪欲に発揮してこそ、もっと深く大きな楽しみの環境が実現する事を伝えていきたいのです。

以上、NPO法人GRA、過去、そして現在の目標です。


NPO法人GRA  代表  小林 裕之 





 
 

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