しかし、簡単な調整で大きく操縦性が改善して、苦手だった左への旋回もオートバイが自発的に左へと旋回をする姿を自身で体感した後なのに、オーナーさんは「車体ガード」の後部固定ボルトを締め直して、改めて同じセクションコースを走行したのです。
その行動、行為はとても良い事です。
書かれている事をそのまま信じて、書かれている通りにオートバイを調整して、それで良いと信じてしまっているライダーが多い中、自分自身で試して体感をして、その変化の理由や原因を考察しながら調整を進めていく行為こそ、オートバイを適切に調整する事であり、良きオートバイライフにするのに大切な事です。
じっくりと走り較べた結果、「車体ガード」の悪影響が想像以上に大きかった事をオーナーさんは納得されたのでしょう。最後は後部固定ボルトは緩めた状態を選択されました。そして、走り方は断然スムーズになったのです。
この状態であれば、要請された項目の一つ「フロントサスペンションの減衰調整」も正確に進められます。
実際、セクション走行を繰り返しながら、伸び側と縮み側の減衰(ダンパー)調整で基本設定(バランス点)を探る診断もスムーズに進み、最後には ダンパー調整の 1/4 回転や 1/8 回転 での微妙な変化を感じながら、大変に正確な基本設定出し作業(セッティング)が出来たのです。
「車体ガード」の調整とフロントサスペンションの伸縮両方の減衰(ダンパー)調整、そしてプリロード調整を行なった結果、下の画像の様な違いを生んだのです。

この違いは、ライダーの技術が変わったのではなく、練習量を数多くこなして変わったのでもなく、オートバイが自然に走れる様に調整を施して、ライダーも恐さを感じずに楽に走れる様になったので、自然に生まれた違いです。
これで、ようやく、オートバイと正面を向いて会話できる状態なり、これからオートバイの能力を活かした運転技術を高める練習を積んでいける状態になったと言えます。
以前の受診での“リアの車高調整”に始まり、“前後の車高バランス調整”、「車体ガード」の悪影響排除を挟んで“フロントサスペンションの減衰調整”そして最後に“フロントスプリングのイニシャル調整”までを行なって、車体セッティングの基本の大半(7割方)が済んで、操縦性や安定性も大きく変わりましたが、一番の収穫は オーナーさん自身が調整の一つひとつを着実に検証しながら、体感して納得しながら進めた経験です。その経験があれば、更にオートバイを乗り易くする事も出来ますし、他の車両を観て車体バランスの良否や原因を推定できるでしょう。
そして、それが貴重な“宝”になるのです。

『 最後に 』
とは言え、練習用のセクションコースを何回も走り込んだとして、それで自信がついたとしても、一番大切なのは一般道での安全性を高める運転技術です。事前に想定とは異なる状況に遭遇したとしても、オートバイと自身が備えている能力を正しく発揮できる能力を養うには、様々な場面や要素を組み込んだコースで、練習無しで、タイム測定を行なうのが最も安全で適しています。
最後に、Uターンセクションとオフセットスラロームセクション、そして 時速 40㎞まで加速できるセクションを組み合わせたコースで数本のタイム測定を行ないました。
それまでの練習で感じていた感触や自信とは別に、持っている能力を正しく活かす事の難しさを実感されたでしょう。

Uターンセクションで使用した、ゴム製のマーカーを紹介します。
硬式のテニスボールを半分にカットしたもので、内面はゴム製ですから、万が一、タイヤで踏んだとしても潰れてしまう事はなく、滑って転倒する恐れもなく、携行も楽で、蛍光色が選べる点から、安全な場所で少しだけ練習を考えている人には最適のグッズになるでしょう。

GRAは、オートバイや運転の不安を取り除き、オートバイとの親密度を高める適切な整備と調整や、オートバイの能力を活かした適切で安全な運転方法為の情報発信を行なうと同時に、社会とのより良い関わり方を築くために、様々な情報発信や講習活動、啓発活動を続けていますので、安全で楽しいオートバイライフに関心がある方は、“クリニック”を受診される事をお勧めします。
また、受診が難しい方へはオンライン“クリニック”での対応を致しますので、不安な事や困っている事、知りたい事などをご連絡ください。
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